表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/251

064話 御利用は計画的に!

「意図的に暗黒神の封印を解放する事は可能なのですか?私達は何度もこの世界の事象を経験して来ました。貴女がこの都市を閉鎖した理由に悪意が無い事も知っています、私達が貴女と戦う理由は有りません。」


『・・・・・暗黒神の封印を解く事は可能です。貴方達の希望は別次元への帰還方法の模索と私を破壊せずに暗黒神の復活を意図的に実行すると言う事ですね。』


咲耶が私達の希望を簡潔に話し、私達の意思と互いの世界の事は概ね伝える事が出来た。

マザーブレインの破壊はこの都市の破壊と同等の意味が有る。


ゲームのストーリーモードではマザーブレイン破壊後はフリーフィールド扱いになる。


MMOの通常モードでは都市やマザーブレインは健在で 国営賭博場(カジノ)公営競売場(オークション)、伝説の鍛冶屋イベントが解放される。


マザーブレインとの戦闘はミッションとしてシミュレーション形式の疑似戦闘が出来る様になっている。


この世界は現実のゲームより難易度が高く、イベント内容の自由度も無限大に近い。

現に洞窟のドラゴン戦は回避し、オスロウ国とハイメス国の戦争も引き分けで終わった。


被害と言えばオスロウ城が壊滅しただけで、街は両国共にほぼ無傷。

そして現在マザーブレインとの戦闘は起きる事無く自分達の意思を伝える事が出来ている。


懸念されるのは宝玉を壊して回っている謎の存在。

各国の宝玉を破壊し物語を強制的に進めている節が見受けられる。


まるで何か意思が有る様に。


実際ゲームでは宝玉は名前だけの存在で、アイテムと存在している訳では無い。


言ってみればフラグスイッチその物だ。

私達とは別の方法やルートで物語を進めているプレイヤー?


それは無いか。

侵入不可能な場所に突然現れたりしている。


私達プレイヤー組はこの世界の人々よりも格段に強い身体能力を持ってはいるが、犯罪者印(どくろマーク)や五感それに死等の様々な制約やルールに縛られている。


全知・・・ゲームの知識だけど全能でも万能でもないんだ。


完全復活薬が売っていないのも、そのせいかも知れない。

ゲームと似ているが現実寄りの制約が有るんだ。


『分かりました。少し考える時間を貰えますか?私の未来予測を含め最善の方法を模索いたします。別次元への帰還方法は申し訳有りませんが、私では方法を探る事は不可能でしょう。』


「あの、ありがとうございます。」


『サクラ様、DOS(ドス)様以外の方々は正面のサークルに一人ずつ入り目の前のパネルに両手を置いていただけますか。』


私達はそれぞれ指定された通り両手をパネルに置くと、身体データをスキャンされる。

そして特別階級の市民IDが発行された。


労働組合(ギルド)カードと統合された、この国の身分証明書だ。


おお!ついに私にも労働組合(ギルド)カードが出来た。

これは素直に嬉しい。


「名前」「職業」「ランク」「所持金」が表示されている磁気カードの様なプレートを手にする。


・・・うん?


ただ一つ疑問が湧く。

所持金額が物凄い金額のマイナスとなっている。


特殊市民ID*忍人忍(にんにんしのぶ):所持G:-800000000G

特殊市民ID*伊集院咲耶(いじゅういんさくや):所持G:-710000000G

特殊市民ID*暗黒神ハーデス:所持G:-205000000G


「え~とっ・・・・いち、じゅう、ひゃく、せん、まん・・・マイナス8億ゴールド?」


これは一体・・・・IDカードの記載された所持金を見て愕然とする。


これは何の冗談なのだろうか?

現金自体はポシェットに有るのだけれど。


『犯罪者印による賞金金額に加え、この都市での器物破損金額が適応されています。内訳が必要でしたら、都市各所に設置してあるATMにて自己照合して頂く必要が有ります。その再手数料が発生しますので、お気を付けください。』


ATMって・・・しかも手数料取るのか。


「クレジットカードの金融ガイダンスみたいでござるな。シノブ殿、高校生が借金したら駄目でござるよ。ぷぷぷ。」


こいつムカツク!

確かにかなりの数の機械兵を破壊したし、大門の守護機械兵(ガーディアン)も破壊したさ。


・・・・まさかこの都市で借金完済しないと出れないとか?

自己破産申請とか「ももたろう●鉄」みたいに【徳政令カード】とか無いのだろうか。


DOS(ドス)様は不法侵入と地下9階層守護者3体の破壊が加算されます。3体のうち1体分は貴方の体と同期し防衛をすると言う事態になっていましたので多少減額しております。サクラ様は上層部侵入と器物破損が適応されております。ATMでカード挿入時に自動更新されますので、御了承ください。』


DOS(どっちゃん)は地下9階層の守護兵に乗っ取られていたと言う事なのか、機械種(アンドロイド)って同期って言う謎の状態異常が存在するのか。


そしてサクラはいい気味だ。

自分のカードを更新したら大幅にマイナスになっているはずだ。


「サクラも人の事は言えない様ですけど?」


「ぐぬぬ。」


・・・・駄目じゃん。

一緒に借金返済計画を立てましょう。


マザーブレインに詳しく話を聞くと、やはり借金返済をしなければ都市から出る事は出来ないそうだ。


なお懸賞金額以外の都市損害金を支払うだけで良いそうだが、もし全額支払う事が出来たら犯罪者印(どくろマーク)自体を消去可能らしい。


「所持現金は使用しても問題有りませんか?」


『問題有りません。他国から来られた方様に現金での物資購入も盛んに行われております。都市民の間ではカード決済が主流となっていますので、現金を好まれない販売店も多いですが問題ありませんよ。』


「大丈夫ですよシノブ。この都市には公営競売場(オークション)国営賭博場(カジノ)が有ります。一発逆転が出来きます。私に任せてください!」


咲耶は自信満々にドヤ顔で仰け反り胸を叩く。


1番駄目な大人の思考の様な気がする。

次勝てば倍になると自分に言い聞かせ勝つまでギャンブルを続け、そして借金が膨れるパターンなんじゃ無いだろうか。


咲耶は自称トレーダーだから「損切り」とか分かってて発言しているとは思うけど。


でも金額が金額だ一気に稼ぐ方法としては有りかも?

そしてこの忌まわしき犯罪者印(どくろマーク)を取り去る絶好のチャンスだ!


『ポイント還元率の高い分割払いや、リボルビング払い等の方法もございますので、ご利用ください。リボルビング払いをご利用の方には抽選で借入金額の倍増が当たります。』


ポイント還元って何だよ、絶対利用しないぞ。


リボ払いで借入金額倍増って罠じゃん!

・・・抽選とか言って絶対に当たるヤツだし。


借入枠限界まで借金をする人は、借用枠が増えれば増える程使うに違いない!

完全に借金漬けにする気満々じゃん!


マザーブレインを造ったのは古代科学文明に存在したクレジットカード会社じゃないかと疑ってしまう。


世界の危機より金銭面の話の方が饒舌になるスーパーコンピューターって・・・・

ある意味人間味溢れている証拠かも知れない。


もしかしたら巧みな話術で国民を借金漬けにして奴隷として支配しているんじゃないだろうか?

表向きは裕福で不自由の無い暮らしをしている様に見えて、実は多額の借金を抱えている奴隷とか怖過ぎる。


器物破損したのは我々が全面的に悪い、機械兵を壊しまくったのは事実だし。


取り敢えずIDカードを発行して貰えただけでも、優遇してくれたと考えるべきなのかな。


このIDカードが有る限り、都市内部で逮捕連行される事は無く自由に行動が出来るそうだ。


『国内での労働許可と優遇措置を発行します。ただし、借用金額返済完了までは出国を禁止させていただきます。私の予想では貴方達の能力なら数年で返せる金額だと思います。』


マザーブレインの未来予測で数年か、問題は都市外部に出れないと言う事だけだ。


マザーブレインと話し、クリスタルタワー防衛勤務と言う形で住み込みで兵士長階級の配属先を貰う。


8時間の三交代制らしい。

余剰時間に副業も可能、馬車馬の様に働けと言う事か。


国内で働く事で借金返済を行いつつ要望の審議を待つ事を了承した。

取り敢えず衣食住は保証されたので少しは安心出来るかな。


労働組合(ギルド)経由で優先的に高額配当の仕事も斡旋して貰える様になるらしい。


借金は私達5人の共有金額として再登録をして貰らい、ミカエル=アルファの所在も捜索してくれるらしい。

借金額以外は至れり尽くせりだ。


ここから私達の借金返済生活の始まりであった。


「深紅の薔薇」統合市民IDカード


所持金合計金額

マイナス19億2000万ゴールド(累計)

所持現金合計1億5000万ゴールド

お読みいただきありがとうございます。

少しでも面白いと思ったなら「ブクマ」「いいね」「☆での評価」お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ