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222話 破壊神ヨグトス

-アビスダンジョン 最下層-


アビスダンジョン100階層。

高さ30メートル以上は有る黒い大扉の前に私達は横一列で並んでいる。


武器を収め非戦闘態勢を取り大扉の前に佇む。

出来るかどうか分からないが神を自称するプログラムAIと話をするのだ。


「皆で生きて帰ろう。」


ミカさんが大扉に手を添える。


「ああ、必ずだ。」


DOS(どっちゃん)が大扉に手を添える。


「オフ会楽しみでござるな。」


サクラが大扉に手を添える。


「皆、復活の呪文を忘れてないですね?」


咲耶が大扉に手を添える。


「復活の呪文って何?」


私も大扉に手を添える。


「ふん、電話番号の事だろう?」


暗黒神ハーデス(ハーちゃん)が大扉に手を添える。


「電話番号とは何ですか?」


クリス君が大扉に手を添える。


「異世界の通話魔法らしいよ?」


シャルが大扉に手を添える。


「異世界の魔法か興味深いな。」


デイアが大扉に手を添える。


「私は魔法は使えんぞ。」


セーニアが大扉に手を添える。


「よし!開けるぞ!!」


ミカさんが一際大きな声で叫ぶ。

そして全員が力を込めて大扉を押す。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・



大きな音を立てて、巨大な扉がゆっくりと開いて行く。


その瞬間に開いた大扉の隙間から光が溢れ視界を遮る。


その光はまるでゲームで暗黒神ザナファを倒した時に受けた光の様な感じがした。

周囲を取り巻く空間が一瞬で変化している事に気が付く。


宇宙空間。

第一印象はまさに宇宙空間に放り出された様な感じがした。



見渡す限り星、星、星。



先程開けた扉も消えている。

まるで宇宙空間に浮いている様な風景だ。


星雲や銀河とでも言うのだろうか?

果てが見えない程に黒い空間に美しく煌めく光の粒が無数に浮いていた。


その情景に見惚れていて気が付かなかったが床がきちんと存在している。

透明な見えない床を確認する様に足踏みをする。


土でも無いし石でも無い。

ガラスに近いがガラスよりも強固な音がする。


「なんだ、この空間は?夜空?」


最初に口を開いたのはクリス君だった。

誰もが感じた感情をそのまま口にした感じだ。


その言葉を期に、呆気に取られていた皆が正気を取り戻した様に周囲を確認し始める。


「ゲームでもこの様な場所は無かった。」


「ここはどこなんだ?ハーデス。」


「我も知らないフィールドだ。油断はするなよ。」


思わず忘れていたが私は【索敵】を使用する。


そこはまるで広大なフィールドの様に部屋の境界が無い。

【索敵】範囲内にフロアを隔てる壁が存在しない。

まるで本当の宇宙空間のように果てが無く、無限に広がっているかの様に思えた。


「広すぎて【索敵】に何も映らないよ!」


その時、少し先の太陽の様な恒星が真っ赤に光り巨大な敵性反応を発していた。

ええ!?でかい!!


「あ、あの太陽が、多分・・・魔人、いや破壊神ヨグトス。」


私の言葉を聞き、皆が一斉に恒星を見つめる。

少しずつ恒星が大きく膨らんでいる様な気がする。


いや、違う近付いているんだ。

飲み込まれる!?


眩しい!

思わず目を閉じる。


誰かが私の頬をそっと触れる。


私はゆっくりと目を開ける。


『会いたかった、相葉忍(あいばしのぶ)。』


目の前には素っ裸の「私」が居た。

素っ裸の私が浮いた状態で私の頬に触れていた。


はっ!?


意味分からないし、ってか何で裸!?

つーかこれが破壊神ヨグトス!?


私とそっくりじゃん!

いや、もう少し胸が有ると思う・・・


いや、あんなものか?

頭が混乱する。


「「「「「「おおおおおおお!!!」」」」」」


後方から歓声に似た声が聞こえ振り向くと、「外人4コマ」の驚きを孕んで叫んでる写真の様なガッツポーズをしたネカマ共が素っ裸の私の姿をした破壊神ヨグトスを凝視していた。


女性陣が驚いた表情で眺め、クリス君は紳士的に?目を逸らしていた。


自分そっくりの他人が裸で浮いている。

そして目の前には女の姿をした男共が私の裸を凝視している謎の状況。


正確には自分では無いのだが、確実に「裸の偽者=私」の構図が彼らの脳裏に変換されているのが表情で分かる。


「ちょっ!見るな!馬鹿!」


私は思わず【煙幕弾】を地面に叩きつける。

周囲を濃い鼠色の煙幕が周囲を包み皆の視界を奪う。


「おわっ!?シノブ殿!」


「何してるんですか!?危ないです!」


危ないのはお前らの脳内にいる私だ!

汚れる!


私は徐に振り向くと、裸の私がナチュラルに抱き着いてくる。


自分の体にそっくりなのに恥ずかしいと感じる。


・・・良く分からない感覚だ。


彼女は私の頬に右手を触れたまま愛おしそうな表情で私を見つめて来る。

そしてゆっくりと抱きしめられる。


『はじめまして、私の名前はヨグトス。会って直接話がしたかった。』


何だろう。

少しだけ好意の様なモノを感じる。


とても不思議な感じだ・・・・


自分の中では、破壊神ヨグトスは横暴で傍若無人で暴力的で目が合った瞬間に殺気で動けなくなる様なイメージが有った。


まぁ勝手なイメージなんだけどね。


私は破壊神ヨグトスに優しく抱きしめられたまま呆然とするしか無かった。

お読みいただきありがとうございます。

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