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216話 母からの贈物(血税と借金の結晶)

-機械都市ギュノス国-


転送完了っと。

まるで外で起きた今までの出来事が嘘だった様に、ギュノス国は平常運転な日常が広がっていた。


この国は街を覆う強固なドーム状の防壁と、防壁の外を守護する複数の 守護機械兵(ガーディアン)が城壁外に構築された難民キャンプを含めた周辺地域を守っている。


流石世界一の最先端技術と防衛能力を持つ要塞国家だ。


「おい!何だこの術は!?ここはギュノス国じゃないか!?」


「デイア、落ち着け。私も最初は驚いたが、あなたの国で神器と呼んでいた物は瞬間移動装置だ。同じ装置が設置して有る場所に瞬間移動するらしい。」


転送装置を不思議そうな表情で触りながら驚き戸惑うデイアにセーニアが落ち着く様に宥め、改めて装置の事を説明していた。


見慣れた光景では有るが、少し気持ちが和む。


今日の予定はマザーブレインに会った後、長期遠征用の材料等の買出しをしてその足でアビスダンジョンへと向かう予定だ。


この国で英雄として有名な私達は道すがら冒険者に発見され、周囲を囲まれ始める。


クリスタルタワーに到着する頃には、さながら巨大な大名行列の様なパレードとなり衛兵が出動して交通規制が行われていた。


正直申し訳ないと思う。


無神経なサクラと咲耶は笑顔で住民に手を振って答えている。

行列を引き連れたまま私達は都市中央のクリスタルタワーへと赴き、最下層のマザーブレイン「クトゥル」と謁見する。


-クリスタルタワー最下層 mother's room-


『あら~お久しぶりですね~。皆さんが来ると~都市機能が20パーセントくらい低下するので事前に連絡を頂きたいです~。』


クリスタルビジョンに映し出された3Dオリジナルクトゥルはおっとりとした口調で笑顔を浮かべているが、映像自体が赤く染まっているので怒っているのが明確に分かる。


ちなみに先程、変声ジュースの効果が完全に切れたらしく全員の声が男性に戻っていた。


なんだかすごく懐かしい。

ミカさんが皆を代表してクトゥルに陳謝すると、簡単に機嫌を直してくれた。


そして笑顔のクトゥルは贈物が有ると言って機械兵数人が大型の宝箱を渡してくれた。

宝箱を開けると、そこには20本の完全回復薬【ハイエリクサー】が入ってた。


この世界では上位回復薬【ハイポーション】が販売されている中では最高級品だ。


完全回復薬【ハイエリクサー】なんて死ぬ1歩手前でも完全回復出来る。

まさに神薬と言っても過言では無い。


一体この数をどうやって揃えたんだろうか?

私達の表情を読んだのか、質問する前にクトゥルが答える。


公営競売場(オークション)で揃えました~。結構掛かったんですよ~?予定通り強大な大型モンスターは全て討伐したのですね~、素晴らしいです~。これは生き残った人々から防衛費として徴収したゴールドで調達しました、言わば血税と借金の結晶です~。大事に使って下さい~。』


汗と涙とかじゃないんだ。

血税と借金ってなんか嫌な結晶だな。


アレか!

リボ払いか!?


まさか国民全てが国営賭博場(カジノ)で借金を負っていて原本の減らないリボ払い地獄に陥ったまま、この国に閉じ込められているんじゃないか?


永久機関・・・?

もしかして魔人ヨグトスより(たち)が悪いんじゃ・・・・


いやいや、考え過ぎだ。

ここは彼女の好意として受け取っておくべきだ。


『大丈夫~、綺麗なお金ですよ~。』


少しだけ笑顔が怖いのは私の気のせいだろう。


『貴女方はこの世界の希望です~。どうかお気を付けて下さい~。』


私達は有難く完全回復薬【ハイエリクサー】を受け取り、クリスタルタワーを後にする。


「ありがとうございます。大切に使わせて貰います。」


その後、北の工業地区へ行きジルナーク工房に寄り武器防具の簡単な手入れをお願いした。


「おう!元気そうだな!武器防具の手入れか?任せておけ!すぐに済ませてやる!おい!野郎ども!今の作業を止めて集まれ!!1時間で済ますぞ!」


「じゃ拙者達は食料に買い出しに行くでござる!」


「シノブとお買い物♪」


「私達も行こう!デイア!」


「ああ、行って見るか。」


そして私はサクラ、デイア、セーニア、シャルと共に東の商業地区に旅の食料と回復薬等の買出しに向かった。


「私はグラズヘイムに寄ってきます。」


「我も行くぞ!」


ミカさんとDOS(どっちゃん)とクリス君はジルナーク工房で装備品の整備、咲耶と暗黒神ハーデス(ハーちゃん)はグラズヘイムへ顔を出しに行った。


後で街の入口で集合する予定をして各々別れた。


街中で騒ぎになると困るので、私達は変装して買出しに出た。


私はサクラに借りた【黒猫スーツ】を久々に着用し、姫2人は冒険者用のフード付きのマントを着込みサクラはポニーテールを下ろし町娘の姿で変装する。

シャルは普段の装備でも問題なさそうなので通常装備のままだ。


「にょっは~!シノブ超最強イケメン猫にゃん!」


シャルはこの【黒猫スーツ】姿の私が大層お気に入りなので着替えてからはべったりとくっ付いて離れない。

そして本能なのかは分からないが語尾に「にゃん!」とか「にゃふん!」とか付く様になった。


よし、まずは食料の買出しだ!


10人分で1ヶ月間持つだけの食料が必要だ。

幸いギルド共有ストレージは新規メンバーが増えた事で最大許容量が増えた。


しかも、ストレージを圧迫していた変声ジュースも無くなったので空き容量には十分余裕が有る。


「この店の食材を全部下さい!」


「えっと、全部・・・ですか?少々お待ち頂けますか?店長をお呼びしますね。」


「あ、シュールストレミング以外でお願いします。」


王族出身のデイアとセーニアは物価に関係無く、次々と店の商品を買い占める。

世界規模の災害のせいで物価が高騰しているが関係無い。


店長と店員が忙しそうにアイテムストレージに納品作業を行う。

・・・なんだか申し訳ない。


3店舗買い占めた所で食材調達は終了する。


よし、次は回復薬だ!

上位回復薬【ハイポーション】と【毒消し薬】、【麻痺消し薬】・・・SP回復薬は売って無いんだよね。


あれば多少冒険が楽になるんだけど、特にアビスダンジョンはSP自動回復速度が低下する能力弱体魔法(デバフ)がフィールド自体に付いているので厄介だ・・・


SP消費が激しい【破壊刀イレース】は暫く封印かな。


その後、集合場所にしていた街の入口で皆と合流し街を出た。


ドーム状に閉鎖された街を出ると周辺はかなり大規模な難民キャンプが出来ており、それこそ機械都市ギュノス国の総人口に匹敵する位の難民で溢れかえっていた。


「凄いですね、外にもう1つ国が有るみたいだ。」


「入国制限を受けて入れなかった人々が新たな村を作っているのだな。しかし、この規模は凄いな。」


流石にギュノス国内部とは違い貧しいスラム街の様な感じだが、衛兵達や自警団により生活の安全性は高そうだった。


「おおお!シノブ殿に咲耶殿ではございませんか!!」


偶然、難民キャンプの警護に当たっていたギュノス国兵士長のゴウトと出会い少しだけ咲耶とレジスタンス作戦の事を思い出し話をした。

ゴウトに挨拶をして別れ難民キャンプの入口へと向かう。


難民キャンプの境目には量産型の小型化された守護機械兵(ガーディアン)が複数配置されており、強化されたモンスターを自動的に排除している様子だった。


そのまま難民キャンプを越えて北東へと足を進める。


私達はアメニーナ地方北部の桟橋へと向かって旅立った。

お読みいただきありがとうございます。

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