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大団円は嫌いじゃない




 そこからはトントン拍子に話が進んだ。



 シャロン伯爵家へ訪れた私は、セロを見舞うフリをしてセロの身代わりにしていたゴーレムと本人を入れ替え、所謂『愛の力』により昏睡状態から目覚めた設定のセロと共に、シャロン領の結界の修復を無事に成功させた。


「完全に塞いじゃうと特産品のドラゴン革が手に入らなくなっちゃうから、少し隙間を作っておいてね」


「………….」


「まあ、流石セロ!絶妙な隙間だわ!大き過ぎず、小さ過ぎず。これで程よく魔物が溢れ出してくるわね」



 そうして結界の修復を終えると、クッセル湖畔へと出発する事になり、レオンとマリアンヌ、セシリオとモヴィアンヌも見送りに来てくれた。


 この2組のカップルも、私達が引き籠っている間に色々とあったようね。


 レオンは私とセロの仲を引き裂くような手紙を持ってきたことを、なかなかマリアンヌに許してもらえず。名誉を挽回するため急増した魔物を狩りに狩りまくったらしい。


 お陰で王都は魔物の被害が最小限で抑えられていた。そんなレオンの活躍を見て彼に惚れ直したマリアンヌは、私達の復縁を機にレオンを許したのだそう。そしてレオン以上に活躍したのが、意外にもセシリオだった。


 見た目は温厚そうな爽やかイケメンのセシリオは、すっかり調教されたモヴィアンヌを見て解る通り、完璧な外面からは想像できない大変結構な性格をしている。


 更には平民出身の身であったため、野心家であり柔らかな物腰とは裏腹にとても貪欲でもあった。

 魔物の急襲をこれ幸いとして討伐しまくり、武功を立ててその活躍ぶりから爵位を授与される事になったそうだ。どこまでもやるわね、セシリオ。


 ちょっと意外だったのが……セシリオは思いの外モヴィアンヌを気に入ったらしく(当初の予定では飽きたら捨てるつもりだったとこっそり教えてくれた)、侯爵令嬢であるモヴィアンヌとの将来を考えて貴族爵位を狙ったと言うので驚いた。


 あのセシリオが、あのモヴィアンヌの為に……ねえ?


 まあ、お似合いだものね。最近モヴィアンヌの首によく嵌めてあるのは首輪のようにしか見えないのだけれど、本人は大きめのチョーカーだと言い張るのでツッコむのはやめておくわ。


「……セシリオ卿ならモヴィアンヌに鎖を付けて四つん這いで歩かせるくらいするかと思ってましたわ」


「はは、アリス様は私を何だと思ってらっしゃるのですか?人の目がある所でそんな事するはず無いでしょう?神経を疑われてしまいますよ」


 ……つまりは人の目の無い所ならしていると言うことね。


 そんなに爽やかに言う事じゃないでしょうに……恐ろしい男だわ。


 


 そんな訳で、あれだけの魔物を放ったにも関わらず、悪役令嬢マリアンヌとモブ令嬢モヴィアンヌのお陰でロムワール王国の被害はそんなになかったのだそう。つまらないわね……じゃなくて、本当に良かったわ。


 リンムランド王国の方は、エミリーとニコラスが活躍して魔物を押し留めていたそうだ。悪女として有名だったエミリーは一転して国中から聖女のように敬われていた。悪女と聖騎士、不釣り合いだった2人の関係は誰が見てもお似合いの恋人同士になった。

 まあ、それでも国としてはそれなりに魔物の打撃を受けたそうだけれど。

 他国だしちょっとくらい被害が大きくても別にいいのではないかしら。



 いずれにしろどちらの国も痛い目にあったのですもの。これでもう誰も、私とセロを引き離そうなんて思わなくなったでしょうね。私達を引き離すと国が潰れる程の災害が起きるんですもの。

 2人を引き離す事は"巨悪"であると、誰もが認識するようになったかしら。だと良いのだけれど。足りないようならもう少し暴れる事になってしまうわ……





 私とセロの婚約が復活した事で別荘の凍結魔法は解け、新たな保護魔法を掛けてリンムランド王国側の魔穴もすぐに塞がった。


「呆気ないわねぇ。皆様、これに随分と苦労したようだけれど。もう少し多めに魔穴を開ければ良かったかしら?」


「…………」


「おねぇ様、何を言ってるの?本気で国の危機だったのよ?こんな騒動を引き起こしておいて、どうしてそんなに呑気なのよ。ニコラスなんか、国を守る為に戦いっぱなしだったのよ?」


「まあまあ、お二人も苦労されたんだし、悪は滅んだ。これで君の憂いも晴れただろう?それでいいじゃないか」


 ぷりぷりと怒るエミリーを、ニコラスは苦笑しながら宥めた。


「まったく。おにぃ様もあなたも、おねぇ様の千分の一でもいいからもう少し利己的になっても良いんじゃなくて?いつも他人のことばかり。

 ……私は二人のそういうところが心配なのよ」


「僕は君がいればそれでいいんだ。君の幸せだけを願ってしまう僕は、充分利己的だ。

 だからそんな顔をしないで。君に涙は似合わない。僕のカナリア。いつだって太陽のようなその笑顔で僕を照らしておくれ」


「ニコラス……」


 うん。ニコラスは顔も性格も良いのだけれど、ちょっと気障なのよね。エミリーは頰を染めてるけど、私はちょっと鳥肌が……









 悪女は倒したし、国は救ったし。ここまですれば、物語として一つの区切りになるでしょう。


 なかなか長い道のりだったわ。でも大満足よ。これで誰にも邪魔されずセロとの将来を過ごせるんですもの。




 私とセロも、レオンとマリアンヌも、モヴィアンヌとセシリオも、エミリーとニコラスも。


 それぞれいい感じのハッピーエンドを迎えたわけだけれど。


 こういう大団円も悪くわないわね。





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