大魔王になる為に
この世界には最初から、僕達の居場所など、存在しなかった。
世界を滅ぼす大魔王が倒されて、世界は平和になった。
神は、大魔王を滅ぼした勇者の願いを叶え、誰もが幸せに暮らせるようにと不老不死の世界を作ってくれた。
けれど、世界は平和になんかならなかった。
「行くぞ。フェイ」
リオンがボクを呼んだ。
世界でただ一人の友にして仲間。
魂の半分。兄弟よりも心分かつ者。
「ここもダメだ。俺達の居場所はない」
小さく舌を打って荷物の入ったバッグを担ぐ。
大人達はみんな不老不死。
住む場所も、食べ物も、何もかも全て彼らのもの。
新しく生まれた子どもが生きる分などもうどこにも残されていなかった。
どこに行っても、見つからない。
どこに行っても、裏切られて。
それでも、探し続けずにはいられない。
自分達が生きていられる場所を。
自分達が生きていていい場所を。
「なあ、フェイ」
リオンが僕を呼んでいる。
「どうしたの?」
何かを決意したような彼に僕は問う。
「一緒に人間止めないか?」
きっと目を見開いたであろう僕に彼はこう宣言した。
「俺は魔王になる。そして、こんな世界をぶっ壊してやるんだ」
いつもと同じ夢を見る。
まっすぐな、真っ直ぐすぎる瞳で。
当てなんか、何もない。
魔王になんかなれっこないと解っている。
でも…。
「魔王なんかダメだ!」
僕は答えた。
肩を落とすリオンに僕はニッと笑って見せた。
「どうせなら大魔王になれよ。そうしたら、僕はその参謀になってやる」
今度、目を見開いたのは彼の方だった。
そして大きな声で、歌う様に笑うと。
「ああ、そうだな。大魔王になってやろう。
そして大軍団を率いて、人間達を滅ぼしてやるんだ」
強く、手を握りしめた。
「まずはお城を作ろう。大魔王が住むにふさわしい城を!」
「それから、仲間じゃなくって手駒を集める。
高級優遇、三食昼寝付き」
僕達は肩を並べて歩いていく。
行先は未来。
目標は大魔王。
この世界には最初から僕らの居場所はない。
だったら、全てぶち壊したって良い筈だ。
こいつと一緒に生きられる世界を作るならいつだって、人間なんて止めてやる。
二人が城と、仲間と運命と出会い、世界を滅ぼす大魔王となるまで残された時間はあと12年。