馴れ初め②
少しタイトル変えました。あと前回でそんな空気出してましたが、バトル展開にはならないので安心してください!
「って感じで」
ミコ様に初めて出逢ったあの日のことを、家族に説明している。
どこから説明したものかと悩んだ結果、もう最初から言うしか無いと思ったからだ。
「ん?」
Tシャツの裾をくいくいっと引っ張られて隣で正座をしているミコ様を見る。
もう土下座こそしていないが綺麗な姿勢で座っているミコ様は、なぜか俯いて顔を真っ赤に染めて涙目だった。
「どうしたの?」
「どっ、どうしたもこうしたもあるかぁ……ミツは馬鹿じゃ。大馬鹿者じゃあ……ご家族の目の前で『綺麗』だの『可憐』だの、ワシ恥ずかしくてもう死んじゃう……」
「事実を述べたまでですよ。僕は常日頃からそう思っていますから。ミコ様は出逢ったあのj日からずっとお綺麗です」
「お前様はもうっ、もうっ!」
ペシペシと尻尾で背中を叩かれた。心地よい痛みである。普段からもっとやってほしいな。ソレ。
ミコ様の顔は更に真っ赤になっていき、もう湯気でも出るんじゃないかってぐらいだ。
恥ずかしがることなんかないと思うんだけどなぁ。
「え、えっと。光昭。それはアレだな? お前が幼稚園の頃、三日間行方不明になっていたあの時の話か?」
父さんが眼鏡を意味もなくクイクイっと右手の人差し指で持ち上げながら僕に問う。
「うん。そう」
園から突然拐われて、親や警察までも巻き込んだあの時の真実だ。
「あの時、『神様のところに居た』とか言ってたのは──────本当のことだったってこと?」
話の驚愕して口を閉じれない母さんが聞き返す。
「そうだね。誰も信じてくれなかったけどさ。嘘じゃなかったろ?」
「ま、まさかそんな。ママやパパはてっきり、貴方が恐怖のあまり混乱していたとばっかり」
普通に考えてそうだよね。
時々意味不明な痛みを訴えては居たけれど、居なくなる前までは普通に笑って普通に泣いていた子供が三日間も行方を眩まして、戻ってきたらぴくりとも笑いも泣きもしなくなっていたなんて。どう考えても普通じゃない。
そんな僕が『神様』がどうとか言い出したら、マトモに現代社会を生きる大人はいろいろと邪推するもんだ。
病院でなんども精密検査をさせられたり、精神鑑定みたいなのも受けたっけ。
不快には思わなかったけど、誰も僕の話を信用してくれなかったのはちょっと寂しかったのを覚えている。
「──────つまり、その方はお前の命の恩人ってことだね?」
静かにお茶を啜っていた婆ちゃんが、湯呑みを下ろしてミコ様を見る。
「もちろん。アレ以降もずっと世話になっているし、生きていくための自衛手段として修行もして貰ったんだ。ミコ様は僕の恩人でもあれば師匠でもあるし、ミコ様と僕の関係は一言じゃ語りきれないよ」
「お、お前様っ。お願いっ。もうやめてっ」
僕が何かを発する度に、ミコ様は肩を竦めてどんどん小さくなっていく。
ただでさえ今はロリモードなのに、これ以上小さくなるともう可愛さが天井知らず。
家族の目さえなければこのまま押し倒していたところだ。
あれ?
神様も人間と同じで、妊娠してたらそういう行為は控えなきゃダメかな?
そうか、そうだよな。
大事な時期だもんな。ちょっと自制することを覚えよう。
ただでさえいろいろと感情が不足しがちで欲求に忠実すぎる僕なんだ。
一度始めちゃうと、もう自分では歯止めが効かなくなっちゃうのが悪いところ。
戒めろ、己の全てを。
「ミツくんには悪いんだけど、やっぱり話だけではどうにも納得できないの。いいえ、ミツくんが嘘を言う子じゃないのはわかっているのだけれど、突然神様ですと言われて納得できる人はいないでしょう?」
母さんはため息に似た深呼吸をして、僕の顔をまっすぐ見つめてそう言った。
うん。一理あるよね。
急に『貴方は神を信じますか?』と言われて、『神様なら僕のワイフだぜ?』と答える人間は常識で考えて異常だもの。
となると──────。
「ミコ様、いま神通力に余裕ありますか?」
「えっ、あっ、あぁ。ここのところずっと溜め込んでおったから。少しなら」
まだ顔を真っ赤にしたままのミコ様が僕の言葉に頷く。
「ちょっと大きくなって貰えます?」
「ん? おお、良いぞ?」
返事一つでミコ様はカッと短い光を発した。
神威の光はあんまり目に優しくないから、ちょっと身構える時間は欲しかったかかなぁ。
ほら、みんな突然の発光にびっくりして目を瞑っちゃったじゃん。
「これで良いかの?」
「あー、ちょっとえっちっすね」
服を大きくするのを忘れちゃったな?
ミコ様って基本ドジだもんなぁ。可愛い。
大きくなったミコ様のお胸は、びっくりするほど大きくはないがそれなりに揉み応えのある形の美しい素晴らしいお胸だ。
そんなミコ様の僕と生まれ来る子供専用のバストが、小さすぎてはだけちゃった巫女服からまろび出て率直に言ってエロいことになっている。
「父さん、そのまま目を開けずに一度家から出て」
「いやいくら我が家とはいえ目を開けないで歩けな──────え? 家から出ろ?」
「父さんと言えどミコ様の裸体を見るなんて絶対に許さない。いいか、少しでも薄目をしようもんなら実の息子に眼鏡ごと貫かれると思え」
「みっ、ミツアキ!? なんでそんな怖い言い方!?」
僕のミコ様への独占欲は普通に異常だ。
本当なら大切に大切に、誰の目にも触れないようお部屋に閉じ込めてその全てを管理しお世話してあげたい。
そんなことをしたら嫌われるとわかっているから、さすがにやらないけど。
「お、お前様落ち着け! ワシが服を替えればそれで良い話じゃろ!?」
「ミコ様が裸でいる空間に僕以外の男がいるという事実が許せないんです」
いや、マジで。一秒たりとも。
「ミツの愛が時々怖いんじゃが」
「僕も時々ミコ様への想いが募りすぎて自分が怖いですよ」
発狂しそう。
「あ、あの。とりあえず服を着ましょうね? 私の上着を取ってくるから」
ようやく眩しさに慣れた母さんがなにやら苦笑いをしながら立ち上がり、居間から出て行った。
よし、じゃあその間は。
「ミツ!?」
「なんです?」
「ご家族の目の前で裸のワシに抱きつくのはやめて貰えますか!?」
何を言っているんだ。
じゃあどうやってその肌を隠せと?
「他に方法無いじゃないですか」
「ミツの上着を貸してくれるとか、いろいろあるじゃろ!」
ああ、そういやそうだったね。
「いやこれはうっかり」
気が動転してすっかり忘れてたなー。
「嘘じゃ!」
「ええ嘘です。僕はいつ何時でもミコ様に触れる機会を狙っています。油断大敵ですよ」
「誰目線!?」
でも結局、母さんが上着を持ってくるまで僕とミコ様は抱き合ったままだった。
婆ちゃんがなんとも言えない顔をしていたけれど、こればっかりは仕方ない。
ごめんね? こんな孫で。本当に申し訳ないと思っている。
反省はしていないけど。
少しでも面白い!続きが気になる!と思っていただければ、どうかブクマと評価を!
モチベが違う! 違いすぎる!




