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結局、今回の増税はアリアス夫人が決めたのだということが分かった。

さらに執事が暴露したことは、夫人による国家予算の私的運用のことだった。

ロイドにとってみれば正直、これほどまでに深刻化しているとの予測はつかなかった。

しかしながら仮にもアリアス夫人はロイドにとっての母親だ。自分の母親のしそうなことは、少なからず予想出来ていた。

さて、ここからの問題は、どのようにしてこれらの悪事を明るみにするか。その前に、どのようにして今目の前にたたずむ夫人の執事を自分の味方に取り込むかだ。







「執事。あなたは母の悪事についてどう思いますか?」






とりあえず、執事の心境を探ってみる。







「え、ええ。悪いことだとは思います。が、しかし……」







しかし、の先に続く言葉は容易に想像出来た。

自分の責任に関することを言い出したかったのだろう。おそらく、この執事は今まで夫人から、もし万が一のことがあったら責任はひとりで被るように言われていたのだろう。いかにも夫人が言いそうなことである。

もっとも、今では状況がまるで違う。

王族の一員、このロイド王子が真実に辿りこうとしているからだ。







「とりあえずソフトを再生してみましょう。

話はそれからです」






ロイドは執事をつれ、自分の仕事部屋に向かう。大急ぎで部屋の中にあるパソコンにソフトを挿し込む。興奮のあまり、手が震える。

音声を再生すると、静かにするようにと、執事に合図を出した。

やがて会話が聞こえ始める。最初のうちは世間話であったり、 他愛もない話がだらだらと続けられる。夫人によるあまりにまとまりのない話し方に、ロイドは多少の苛立ちを覚えた。

20分ほどだらだらと中身の会話が続き、ロイドたちの集中力も切れてきた頃、事態は急展開を見せた。夫人が気になる言葉を放ったのだ。








「そういえばわたくし、今度エステを開くのよ」







「へえ、エステですか。良いですわね。でも準備するのに大変でしたでしょう?お金もかかりましたでしょうし」







「ほっほっほ!貴女なら分かるでしょうが、そんなの簡単だわ。夫に黙って国家予算を使ったのよ」







「おっほっほっほ!やっぱりそうでしたのね!

だからガイヤ村の税金引き上げたのね!

あの女にとどめもさせて、一石二鳥だわ!」







「そうですわね!けれどもね、やっぱり他にも豪華な食事だとか美容だとかでもっともっとお金が必要なのよ〜」








「あら〜アリアス夫人ったら贅沢ですこと」







「というわけですからソフィさん。貴女、もうじきドリスに嫁いだら、財産分与した分をいくらか寄越して頂戴ね。そうでもないと国家予算を補填出来なくて、夫にバレるわ」






「もちろんですわ、おっほっほ!」









その後も衝撃的でおぞましい会話は続き、1時間ほど経ったところで、 昼食会はお開きになったようだ。

衝撃だった。あまりに衝撃だった。

あのアリアス王家に、あの気高く誇り高きアリアス王家に、あれほどまでのモンスターが潜んでいたとは。ロイドは顔面蒼白で隣の執事の顔を見た。執事はロイドの心境を悟ったように、静かに頷いた。

ここで、黙っているわけにはいかないと思った。いくら自分の母親のやっていることとはいえ、黙っているわけにはいかないと思った。

誇り高き、アリアス一族のため、国のため、

そして、フランソワのために。

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