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翌日の早朝、フランソワは緊張していた。

この日は昼に、ロイドと一緒に食事をすることになっている。勿論、目的は婚約破棄についての調査結果報告ではあるが、フランソワのなかではもうひとつあった。

婚約を破棄され、ただの村人に戻ってしまった自分に目をかけてくれ、さらにはリスクを冒してまで自分のために調査を続けてくれているロイドに対しての感謝を伝えたかった。

それ故に昨晩は必死になって、ロイドをどこに招待するか考えた。考えに考え抜いた結果、なんとか結論を出すことが出来た。

今、フランソワが緊張している理由はその事だ。つまり、自分の招待をロイドは喜んでくれるか、それに対する不安と期待の気持ちで胸がいっぱいだった。

道端で石炭を売る仕事をしている最中、その事ばかりがどうしても頭の中を右往左往する。

それによってフランソワはまともな仕事が出来なかった。やはり工場での作業とは違い、セールスは考えごとをしながらでは出来ないのだ。








石炭はいつもより売れなかった。

フランソワはしっかり集中して仕事に取り組むことが出来なかった自分を責めたが、ロイドのことを考えると、今日は例外だと割り切って頭を切り替えることが出来た。

野菜売りの仕事を解雇されてからというもの、フランソワは昼の間、自由な時間が生まれていた。といっても、それは収入が減るということを意味するので決して喜ばしくはなかったが、こんな日にはかえって丁度良いと思った。

気分を落ち着かせ、リラックスしながら街をぶらぶらと歩く。幸い、一般民衆はついひとつき前に起きたドリス王子の婚約破棄という出来事を既に忘れ去り、フランソワが街を闊歩してもいちいち気にするものなど誰1人としていなかった。

もっとも、フランソワの透き通るような美しさに振り返る者は少なくなかったが。















約束の時間がきた。

仕事のないフランソワがひと足早く待ち合わせ場所に着いてしばらく待っていると、丁度ぴったりの時間にロイドは車に乗ってやってきた。

真っ黒な高級車を運転しているのは、見慣れた執事だ。ロイドは車から降り、フランソワよりも若干遅れたことを詫びる。

相当に身分の高い王族の一員であるにもかかわらず、細かいところにまで気をつかうことが出来るロイド。

フランソワはロイドのそんな一面に対しても尊敬の念を抱いていた。













「フランソワさん。今日はどこに招待してくれるのですか?」










早速ロイドはたずねる。心なしか少し楽しそうだ。











「ええ。ロイド様。ご案内いたしますわ」











「はい」









2人はロイドの執事を伴い、市場の方へと歩いていった。


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