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聖女様はド変態でした。  作者: 不束 モノ
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お騒がせ痴女を探し出せ!2

忙しくて書けない時間が多すぎるよ……。

時間が無い……お金欲しい……。

場所は変わって、【フラン大森林】


 例が如く、痴女を探しに来たのである。


 フランの大森林には様々なモンスターがいるが、そのモンスター達の殆どが好戦的かつ凶暴なのだ。


 僕ら3人、職業バランスがよく戦いには慣れているが、今回は探索がメインなのでモンスターは避けて通ることになっている。


「今、どの辺かな?」

 軽く息を乱しながら、僕はクルトに尋ねる。

 逆に全く息を切らさないクルトやアリスは、僕の情けなさに呆れたように返事をする。


「ハイン、君はもう少し運動をした方がいいんじゃないか?」


「何言ってんのよクルト、ハインはこのままが1番ベストなのよ?馬鹿なの?死ぬの?」


「はぁ……これだから親バカは……」


 そう言ってやれやれといった表情をつくると、クルトはアイリスを見つめ、ため息をついた。


 まぁ、当然短気なアイリスがそんな事を許容するはずもなく、クルトは無慈悲にも飛来してきたアイリスの肘打ちにより、今歩んできた道、後方へと吹き飛ばされることになった。


「はは……少し手加減して上げなよ」


 いつもの事とはいえ、10メートル以上吹き飛ばされる友人を見るのは、やはりいたたまれない。


「手加減はしているのよ?手が滑っただけなの」


 アイリスは髪に指をかけ、くるくると指に巻き付ける。


 これは確信犯だ、アリスは嘘をつく時、髪を指に巻き付けるのだ。


 強情なアリスな割にわかり易い癖だ。


 しかし、こんな事を口に出せば、僕もクルトの二の舞なのでここは口を噤んで、クルトの冥福を祈ろう。


「誰が死んだんだって?」


 クルトは魔女なのかなんなのか、何故か心を読んでいるようだ。


 こんな奴に心を読まれてはたまったものでは無いな。


「クルト、生きてたのか」


「当たり前だろ?」


 毅然と構えるクルトの頭部から流れる血を見れば、そのダメージは一目瞭然なのだが、男としてここは口を挟んではいけないと理解する。


「ほら、このくらいクルトにはしてもいいのよ!」


 そういってアイリスはブンブンと肩を鳴らし、ジョブを繰り出してみせる。


「はは……」


 反応してはいけない、そう思い怯えるクルトを無視して僕は前を向く。


「ほ……ほら、皆見えてきたよ」


 僕が指を指すのは、目的地である遺跡。

 主の遺跡、ここではそう呼ばれている。


 昔はナナシ教団と言われる、アルペト神信仰者の根城だったのだが、いつしか魔物の住処になっており、一説では儀式に失敗して魔物が大暴れし、乗っ取られたのだと言われている。


「やっぱり雰囲気あるよな、ここ」


 クルトが独りでに呟いた。


 僕も見るのは初めてではないが、毎回の様に感じるこの空気、ここの空気は異様に沈んでおり、畏怖のような、一種の恐怖めいたものを感じる。


「ここに入るの?」


「当たり前だろ、何のためにここに来たんだよ」


 クルトはジト目で落ちらを睨み、踵を返すとズカズカと中へ押し進んでゆく。


「ほらほら!ハインも行くわよ!」


 それに合わせて、アイリスは僕の背中をその馬鹿力で押し込んでゆく。


 こうなれば仕方ないと意を決して僕ははじめの一歩を踏み出した。


―――遺跡の中は薄暗く、ジメジメと癖の強い湿気が舞っており、装備品を着込んだ僕達の額に汗を滲ませる。


 時より入口から吹く風は、何か大きな生物の呼吸のようにも聞こえる。


 最初は慣れなかった暗闇も段々となれると、ものの輪郭が見えだしてくる。


「こりゃあ……すごい」


 クルトは感嘆のため息をつくと、目の前にある女神の像を眺めた。


 女神の像は右手の剣を地面に突き刺し、左手の盾を掲げ、悠然と遺跡の中央に佇んでいた。


 さながら、戦場の女神と言ったところだろうか。


「ねーねー!見てシャキーン!」


 アイリスがにこやかに笑いながら剣をブンブンと振り回している。


 余りにも何かに酷似したフォルムに僕は頭をひねる。


「ねぇ、アイリスその剣って……?」


「ああ……これ?ここに刺さってた剣よ?」


 やりやがった……、気づいた時には時すでに遅し、後の祭りだ。


 地鳴りのような音が響き、壁に立てかけられた本棚が横へとずるりと滑る。


 それに気を取られている隙に、唯一の光源である、入口の扉は重く分厚い岩が降りてきて閉じてしまう。


 真っ暗闇、僕たちの間で一時の静寂が訪れた。


「その光で闇夜を照らせ【光球】」


 僕は取り敢えず、光源の確保のため最下位階魔法【光球】を放つ。


 ブワッと広がる光に目を細めながらあたりを見渡す。


 目に付いたのは先程横に移動した本棚の裏、隠し通路が生まれていたのだ。


「この扉硬いわよ、ビクともしない」


 そう言って、アイリスが閉まった扉に手を当て正拳突きを放つが、表面に傷が付く程度でダメージを与えられたようには見えなかった。


「んー……この感覚、何か魔法がかけられているようだな」


 クルトも下がり、傷の付いた壁をなぞった。

 僕も軽く魔力を流してみたが、波紋状に魔力が打ち消されるだけであった。

「じゃあ、僕らは閉じ込められたってこと……?」


「まぁ、そうなるな」


 僕は帰れない事に落胆するが、クルトは案の定嬉々とした表情を浮かべている。


「まぁ!帰れないなら進むしかないよな!」


 この状況下、軽い足取りで駆け抜けるクルトに僕は少し尊敬にも似た何かを感じた。


クルトは絶対にこう思っている……『新しい冒険の始まりだぜ!』っと。

取り敢えず「ヒロインまだか?」って、声が聞こえそうなので、なるべく早く出したいと思います。


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