お騒がせ痴女を探し出せ!1
プロットとかあんまりなくて自由気ままに書いていきます。
可愛い子を登場させたいだけの小説。
多くの人が疑問に思う事、普通。
人の言う普通とは一体なんなのだろうか、生きてきた中でそういう事が多々ある。
そして、この今自分の置かれている状況での普通が今までで最も訳の分からない''普通''であろう。
「敵の攻撃は全て受けて見る、それが普通でしょ?」
これが僕の彼女とのファーストコンタクトであり、最後にして欲しかった会話である。
―――山岳の街 フラン、この街では今突拍子も無い噂が流れている。
全裸の女が森のモンスターをバッタバッタと薙ぎ倒していると言う話だ。
この女を見たと言うのがいつもホラを吹く、ホラ吹き爺さんと、酒豪のおっちゃんという、まぁ発言に信憑性の欠片もない二人なのだが。
事実、大量のモンスターの死体が転がっていたり、拳大の穴がモンスターに空いているという、証言と一致するところが多く。
そんなこんなで謎が謎を呼ぶ展開に、街の人のあいだで慎ましやかに噂になっているのだ。
「そんなものは変態の産んだ幻想よ!はぁ……男ってどこまで汚らわしいのかしら」
そうボヤくのは、僕の幼馴染のアイリスである。
アイリスは、ことある事に僕に愚痴を漏らしては突っかかってくるのだ。
「まさか……?あんたもあんな噂信じてるわけじゃないでしょうね?」
「そんなわけないだろ、第一ここら一帯のモンスター達は凶暴だし装備なしで戦えるはずはないんだよ、モンスターの死体もどうせモンスター同士の争いで死んだものだと思う……し……」
「あー!!あんた最後口ごもったわね!この変態!ド変態!」
うっ……やってしまった、これは仕方ないよな、男なら誰しも女性の裸というものに幻想を抱いてしまうものだ。
そうだ、仕方ない。
「へ、へーあんたもそう言う事に興味あるんだー……」
アイリスは含みのある言い方をして腕を組む。
頬を赤らめてチラチラとこちらを見て来るがよく意図が読み取れない。
「……このバカ!」
いきなりの悪口である。
これが男女の壁というのか、何とも女心とは複雑怪奇、よく分からないものである。
「はぁ……全く、ハインは鈍感だなぁ……そんなんだから皆に彼女ができないって言われるんだよ?」
袋片手に、深くため息をついて、僕の家へ堂々と不法侵入してきたのは、もう一人の幼馴染クルト。
こいつはイケメンで優男それでいて町長の息子という、まるで男の敵を体現したような様な奴だ。
「ノ、ノックくらいしてくれよ、何かあったら大変だろ……」
「何かってこの前の―――」
「あー!あー!なんでもないから!なんでもないからアイリスは気にしないで!も、もう帰ってくれクルトぉ!」
僕の体に冷たい血が駆け抜ける。
あれは、まずいし……単なる事故であってだね―――
僕が真剣に知恵を振り絞っている中、クルトはおどけた様子で、話を変える。
「はははー悪い悪い、あ、そういえば、聞いたかハイン全裸の女が森でモンスターをバッタバッタと薙ぎ倒しているって話」
話は振り出しに戻る、やはりこの噂はクルトの耳にも入っていたのか。
そう言ってクルトは僕のベットに、どっしりと腰を下ろす。
「あ……あぁ、知ってるよ、ちょうど今その話をしていたところなんだ」
これ見て転機と、僕はすかさず返答する。
「それはよかった、それじゃあ探しに行こうか!」
やはりそう来たかクルト……言い出したら最後もう止まらないクルトの冒険癖、この癖に何度殺されかけたか。
バックベアーの時も、翡翠の剣の時も、こういう時は毎回俺が怪我をしてだね……―――
「いいわねそれ!そんな痴女はいないってこと証明して、ハインを健全に戻してあげるわ!」
やけに乗り気のアイリス、健全やら不健全やらと言う言葉に、秘密がバレていないかと内心冷や冷やしている。
「ようし!決まりだな!そうと決まれば今から行くぞ!」
どうやら僕には選択権は無いようだ、もうこうなったら手遅れだ。
「でもクルト、その痴女どこにいるか分かるの?」
「フフ、任せておくれよ、まぁとりあえずこれを見てくれ」
クルトは、万を持したように、袋から羊皮紙の地図をサラリと取り出し机の上に広げる。
そして、羽根ペンで点を打っていく。
「ここと……ここと……ここ、この点の位置でモンスターの死体が見つかっている、しかし倒されたモンスターを見ると全て素材も魔石も取られていないし、このモンスターを倒した女性は戦闘に快楽を覚える狂戦士なんじゃないかと僕は推測しているんだ」
「んー、でもそんなことは地図を見なくても分かるよね?」
「その通りなんだけどさ、この地図を見て何か気づかないかい?」
クルトはニヤニヤとした面構えで地図のモンスター死体周辺を羽根ペンで囲む。
「そう言えばここの近くにモンスターの主の遺跡があった様な……」
「そう!それだよ!この女性はこの付近で狩りをして、戦いに飢え!強い獲物を探している!それなら次に行きそうな場所はここで間違いないと思うんだ!」
クルトは興奮冷めやらぬといった勢いで僕に詰めかける、思わずキスをしてしまいそうな所まで顔を近づけてくると、アイリスの平手打ちが飛ぶ。
「ぐふっ……」
「冷静になりなさいクルト?」
アイリスの後ろには、うっすらとこちらを覗く般若様がいた。
「す、すまない……僕とした事が取り乱してしまった……だ、だからその物騒な物をしまってくれないか?」
完全に借りてきた猫と化したクルト、僕ら二人はいつでもアイリスには頭が上がらない。
「次は無いからね」
アイリスのその愛らしい顔には、一切の表情がない。
後衛職の僕達は絶対にアリスにはかなわないのだ。
「さぁ、早速準備して出発しましょ、バレないように作戦は深夜決行!いつもの古屋に集合ね!」
「はーい!」「は……い」
その言葉に僕は力なく返事するのだった。
コメント等でやる気出ます。
見るだけでもやる気出ます。
ありがとう(^ω^)