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短編・季節もの

海辺の親睦会

作者: 鵠っち

 五月第一週の日曜日。我ら二年二組は若干名の欠席者があるものの、親睦会という名目で海へと繰り出していた。 しかし、まだまだ海に入るには早いようで、ビーチに人はいるもののまばら。ほぼ貸し切り状態なのである!

「隣でブツブツ変なナレーション考え始めないでよ。きもちわるい」

「きもちわるいとはなんだよ。ひでーな」

 隣にいるのは女子だが、小学校の一年からずっと同じクラスで、気心が知れているというか、お互いにぞんざいに扱える仲だ。殴り合いのケンカをしたこともあるほどで、付き合ってるとか絶対に違う。

「ていうか、なんであんたなんかと公認カップルみたいにされて隔離されなきゃならないのよ。意味わからない」

「それは俺も同感だ。でもあのキラキラした輪の中に入っていけない自分がいることも自覚している」

「ま、私らはショセン無口キャラだしねー」

 無口キャラと現状にはあまり関係性がないと思われる。しかし、五月になるまで席が近い数人としか喋ったことがないというのに、この会にお呼ばれしただけでも奇跡だと思う。

「おーい、なに二人でたそがれちゃってんのー? こっち来いよー!」

「今行くー!」

 どうやら忘れ去られたわけではなかったようだ。なんだか嬉しい。待たせるのも悪いので手を取って立たせてやる。

「お前らやっぱり付き合ってないとかおかしいよな。二人とも自然に手を伸ばすあの感じなんなんだよ」

「はぁ、もういいわよ。二人三脚で変な転び方したとはいえファーストキスはあんただったわけだし付き合ってるでいいわよこのバカ」

「おい、それは忘れたことにしておこうっていう約束だったじゃねえか! なんで今更そんなこというんだよ」

「いい加減にうんざりなのよ。付き合ってるだの付き合ってないだの面倒なのよ」

「やばい、痴話げんかはじめやがった……」

 あーだこーだと一時間半くらい言い合いになった結果、いつの間にかクラスメートたちは遠くの方で遊んでいるようだ。

「じゃあ、まあ、そういうことで、改めてよろしく」

「もう、はぁ、もっとロマンチックな展開がよかったんだから」

 今度は手を繋いで、二人一緒ならみんなの輪の中に入っていける気がする。……たぶん茶化されるけど。

 ゴールデンウィークにみんなで集まろうぜー的な、なんかこんなのいいなー的な。

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