天使と悪魔と僕
真新しい制服を着て、大人っぽくをイメージして買ったリュックの中身を確認して、おじいちゃんからもらったお守りのペンダントを付けて、今日から僕は高校生になる。
「いってきまーす。」
「あきー、気をつけて行くのよー!」
いつまで経っても母さんは心配性だな、と思いながら返事をしてから外に出ると、僕と同じ制服を着たよく知った顔が見えた。
「あ、あき!おはよう!」
「おはよう、亜沙。」
幼馴染の亜沙は1つ隣の家だから、こうして朝遭遇することは割と多い。でも高校初日から一緒に登校できるなんて幸せだ。
(ふーん、これがお前の女か。)
(可愛いじゃない!)
え、、、?
今なんか、男の子の人の声聞こえたよね?
そう思って周りを見渡しても、この時間の住宅街は主婦や学生ばかり。さっきの声はもっと大人の声だったと思うんだけど。
「あきー?置いてくよー。」
「あ、ちょ、待ってよ!」
声の主を探してキョロキョロしてる僕とは違い、亜沙はどんどん先に行っていた。僕は慌てて駆け寄り隣に並ぶ。亜沙の右側にはいつだって僕がいたい。
(見かけによらず独占欲つえーのな。)
(いいことじゃない。一途な男は素敵よ?)
!?
またさっきの声。しかも改めて聞くとなんだか頭の中に直接響く感じがする。
「どしたの?」
「ううん、なんでもないよ。高校楽しみだね。」
「だよね!友達できるかなー。」
とりあえず変な声は聞こえなかったことにしよう。そう思い、亜沙と話しながら高校へ向かう。
僕こと廣田秋良と、隣にいる平井亜沙は小学校から一緒で、高校も同じ。まぁ近くだしレベルも普通だから、他にも何人か同じ中学の友達がいるはずで決して僕が亜沙を追いかけたわけじゃない。
「お、秋良と平井じゃん、おはよ。」
「おはよー!」「おはよう。」
「クラス表貼ってあるらしいから行こうぜ。」
高校に着くと中学からの友達の1人、相田博隆が僕たちを見つけて挨拶をし、昇降口を指差して言った。クラスか、亜沙と同じだといいんだけどなー。ちなみに中学の時は3年だけ同じクラスだった。あー、神様、お願いします!
(あんな適当な神様に願ったって意味ねーのに。)
やっぱり、なんか、聞こえるんだけど。
どうしよう、僕、おかしくなったんだろうか。
(ふふ、そんなに凹まなくても大丈夫よっ!おかしくないから!)
いや、おかしくなったかもしれない原因の声に励まされても逆効果だと思うんだけどな。
「ねぇあき!同じクラスだよ!」
「相変わらず仲いいねぇ2人は。」
「え、ちょ、なに言ってんの相田!もう!」
なんだか嬉しそうな恥ずかしそうな亜沙の声が聞こえる。あぁ、これも僕の幻聴とかだったらどうしよう。
(いや、大丈夫だから。つか俺らの声も幻聴じゃねぇから。)
(なんだか混乱してるわね。私たちのことは学校が終わったら教えてあげるから、シャキッとしなさい。)
「ほら、あき行くよ?大丈夫?」
いろんな情報が入ってきてキャパオーバーになりそうな僕を亜沙は心配そうにしながらもクラスまで引っ張っていってくれた。平井と廣田だから、出席番号順の席も前後なのだそうだ。
それから入学式やらHRやらあったが、僕の頭の中は学校が終わったら教えてくれるという声の主のことでいっぱいだった。
学校が終わると相田の誘いを断りまっすぐ家に帰った。こんなモヤモヤした状態で遊びに行くのはさすがに無理がある。相田、ごめん。
部屋で制服から私服に着替え、学校は午前中までだったので用意してもらったお昼ご飯を食べたら部屋に篭って念のため鍵をかける。よし、もうなにが出てきても大丈夫だ。
(なにが出てきてもって、大袈裟ねぇ。)
そう言いながら僕の前に現れたのは、真っ白と真っ黒な2人の男だった。
「え、と、なに、コスプレ?」
なにが出てきても、とは言ったもののなにもないところに突然人が2人も現れるとかちょっと意味分かんないし、しかもどう見ても天使と悪魔をイメージしましたと言わんばかりの格好は大人の男の人がするにはちょっと痛い。
「おいこら、痛いってなんだ。本物だっつの。」
悪魔の格好をした方は、黒髪短髪で一重で切れ長の黒目と眉間の皺が特徴的で、キレイな顔をしてる分余計に怖い。
「コスプレじゃないのよ、これでも本物の天使よ。」
パチっとお星様が飛んできそうなウインクを決めた天使の格好の方は、金髪にパッチリ二重で少しタレ気味の青い目となんといってもオネェ口調が特徴的。
いや、てか冷静に観察してるけど肝心なのはそこじゃない。本物ってなんだ、どーゆうことだ。
「私たちはね、そのペンダントに宿って代々持ち主を守護する天使と悪魔。私はハニエルよ。」
「俺がウアル。守護っつっても見て楽しんでるだけだけどな。」
ペンダントっておじいちゃんがくれたこれのこと?
着替えてからもずっとつけていた小さな琥珀色の石が輝くペンダントを服の外に出してみると、それに反応するようにハニエルが言葉を続ける。
「それはね、つけた者は恋が叶うなんて言われているんだけど、実際は私たちが協力してるのよ。男にしか効果が現れないから、大体持ち主は息子に渡していくんだけど、前の持ち主の忠良は娘しかいなかったから孫のあなたに渡したのね。」
忠良、とは僕のおじいちゃんでこのペンダントをくれた張本人。名前が出てくるってことはこの2人は本物なんだろうか。そんな話おじいちゃんは一言も教えてくれなかったけど。
「じゃあ、2人の声が聞こえるのは僕だけなの?」
「もちろん、ペンダントの持ち主だけよ。」
「それにお前は声出さなくても、心の中で会話出来るから変な奴には思われねぇよ。」
あ、だから僕の心の中の声に反応してたのか。納得はしたけど、それって結構恥ずかしい気がしてきた。
「そんなこと気にしなくていいわよ。それより、亜沙ちゃんについて教えてよ?」
「あ、そうかそれもバレてるんだ。やっぱり恥ずかしいじゃん、これ。」
そう思いながらも、いつまでも疑っていても仕方ないと思い2人に僕のことや亜沙のことについて話しだした。
「ふーん、つまり秋良は中1から亜沙ちゃんにベタ惚れなわけね。」
「ベ、ベタ惚れって。否定はしないけど。」
「勉強も運動も普通、顔は中の上、しっかり者の幼馴染ね。ありきたりだな。」
「あら、普通が一番よ?秋良も普通だもの。」
ウアルは割とはっきりと毒を吐くけど、ハニエルも実はさらっと毒を吐く。それに意見は反対のことが多くて、現実的なウアルとポジティブ思考のハニエル。
話せば話すほど、あぁ天使と悪魔だって実感してしまってなんだか不思議な気分だ。
「んなことよりお前いつまでお人好しの幼馴染続けんの?」
「そーよ、同じクラスで席も前後!チャンスじゃないの!」
「え、そんなこと言われても。亜沙は僕に対して恋愛感情無さそうだし。」
亜沙は確かにウアルの言った通り普通な子だけど、中学に入った頃からちらほら告白されてるらしい。でも全て断ってるし、好きな人がいるなんて話は聞いたことがない。
「はぁ?んなもん関係ねーだろ。」
「亜沙ちゃんも秋良のこと好きだと思うんだけどなー。」
「お前はまた適当なこと言いやがって。」
「あらなによ?ウアルよりよっぽど人の感情に敏感なんだから私は。」
僕がちょっと悩んでいるうちに言い合いを始めた2人を止めて話を戻す。この2人正反対なだけあってさっきからすぐ言い合いするんだから。
「とりあえず告れ。話はそれからだ。」
「えぇ!?いきなりすぎでしょ!無理だよ!」
ウアルは現実的って言うよりめんどくさいだけな気がしてきたぞ。そんな簡単に告白できたら苦労してない。
「じゃあ告白大作戦を考えましょう!」
いや、そもそも亜沙の気持ちが僕に向いてるか分からないのにいきなり告白なの?かっこいい所を見せようとかそういうところからじゃないの?
「んなめんどーなことしてられっかよ。」
や、やっぱりめんどくさいだけだった。
こうして告白大作戦について(主に2人が)いろいろ案を出していった。
◇◇◇◇◇
翌日、まずは1つ目を決行することになった。
作戦その1
『亜沙をお姫様扱いして意識させよう作戦』
女の子は誰だってお姫様扱いされるときゅんきゅんするものよ。とハニエルは言ってたけど、お姫様扱いってなんだろう。とりあえず優しくしろって言うのはウアルのアドバイスだ。
昨日と同じ時間に家を出るとやっぱり亜沙も出てくる。これから毎日一緒に登校できるかもしれない。
「あき、おはよう。」
「おはよう。あ、かばん重くない?持とうか?」
「え?いいよー、どうしたの急に。」
変なのって笑いながら亜沙は歩き出す。あれ、おかしいな。優しくってこうじゃないの?早くも作戦が難航しそうな予感がしながらも、並んで学校へ向かった。
(おいハニエル、お前の作戦笑われてんぞ。)
(まだこれからよー。)
午前中の授業は特に問題もなく終わり、お昼休みになった。僕は購買に買いに行くつもりだからお弁当を持ってきてないけど、亜沙はどうするんだろ。
「亜沙、お昼どーする?」
「あ、私ね購買に行ってみたくて1週間はお弁当いらないって伝えてある!」
(あらチャンスじゃない。男気見せなさいよ。)
「な、なら一緒に行こうよ。」
「いいよ行こう!」
ハニエルの言った通りこれはチャンスかも。よし、頑張ろう。
購買は昇降口の横にあって、結構な人だかりになっていた。想像通りだけど買うの大変そうだな。
(ここは男が買ってくるもんだろ。ほら行け。)
「亜沙、人すごいから僕が買ってくるよ。どんなのがいい?」
「え、いいの?じゃあクリーム入ってるやつ!」
亜沙は甘いもの好きだからな。
よし、と意気込んで人ごみの中に入っていく。上級生は体が大きい人が多くてちょっと大変だったけど、なんとかお目当ての物は買えたし成功だ。
人ごみから抜け出した僕を見つけた亜沙はニコニコしながら駆け寄ってきた。あれ、なんか持ってる。
「あき、ありがとう!あきの分も飲み物買ってきたから教室戻って食べよ!」
「え?あ、ありがとう。」
(あら、なんていい子なの!)
(けどこりゃお姫様扱いはできなさそうだな。)
そうだった、亜沙はすごく気がきく子だった。そんなところも好きなんだけど簡単にはお姫様になってくれなさそうだ。けどなんか幸せだしいっか、なんて思いながら教室へ戻った。
(こんなことで満足してちゃダメじゃないの。)
ハニエルはため息ついてたけど、幸せなもんは仕方ないと思う。
◇◇◇◇◇
それから1ヶ月。
作戦その2『他の子と仲良くして気を引こう作戦』はむしろ亜沙にどんどん男友達が出来て僕が焦る結果に終わり、作戦その3『さりげなく手や髪に触れてドキドキさせよう作戦』は僕のヘタレ具合を露呈する結果に終わった。
「秋良がヘタレすぎんだよなー。」
「う、言われなくても分かってるよ。」
学校が終わり、部屋でウアルとハニエルと作戦会議。2人の姿も声も僕しか分からないらしいが、それでももし突然部屋に誰か入ってきたら困るのでやっぱり鍵はかけてある。
「それにしても、亜沙ちゃんはいい子よねぇ。早くしないと誰かに取られちゃうわよ?」
それも分かってる。高校に入ってさらにモテるようになってる気がするし、そろそろ部活も始まるから他のクラスの奴や先輩との接点も増えるのだ。
「部活な、お前はなにやんの?」
「僕はサッカー部だよ。亜沙は吹奏楽って言ってた。」
グラウンドで汗を流す僕と、音楽室でフルートを演奏する亜沙。あぁ、なんだか青春だ。
「うるせーよ。んなことより作戦どーすんだよ。」
「もう残り1つなのよね。」
ウアルにばっさり切り捨てられ、僕を置いて話は進む。悪魔が悪魔らしくてつらい。
「『ピンチをかっこよく救おう作戦』だろ?そもそもあいつがピンチにならねーと決行できねーじゃん。」
「いっそピンチ作っちゃう?」
「お前、たまに天使としてどうかと思うこと言うよな。」
うーん、ハニエルの意見は却下だけどなにか作戦を考えなくちゃ。ここ1ヶ月の成果は毎日一緒に登下校することだけ。それだけでも嬉しいけど、部活が始まったらそれも無くなるんだ。さすがに付き合ってもないのに待ち合わせして帰るなんて高度なことはできない。
◇◇◇◇◇
それからさらに約2ヶ月。
期末テストも終わりあとは夏休みを待つだけだけど、亜沙との関係は相変わらず幼馴染のまま。登下校が一緒なのも部活の無い月曜だけで、そろそろほんとに焦ってきた。
そんな時、ちょっとした変化が起きた。
週に一度だけ一緒に帰れる月曜日の下校中だった。
「え、野球部のマネージャー?」
「そうなの。優里と先生に頼まれちゃって。」
優里とは同じクラスで中学からの友達でもある清水優里で、野球部のマネージャーをしている。それにうちの担任も野球部の顧問だったっけ。
「でもマネージャーってもう1人いたよね?」
同じグラウンドだからたまに見かけるが、確か2人いたはずだ。2人とも1年生でうちの担任がすごく嬉しそうにしてた。ちなみにサッカー部は2年の先輩が1人で、キャプテンの彼女なんだそう。よくあるパターンだ。
「なんかね、もう1人の子が怪我で入院しちゃったんだって。1週間くらいで完治するらしいんだけど、野球部ってもうすぐ大会でしょ。だから優里だけじゃ大変らしくて、手伝ってほしいって。」
「吹奏楽は?」
「私はまだ大会とか出られないからさ。」
吹奏楽部は確か先輩多いんだっけ。
いや、それよりマネージャーだよ。亜沙は周りに気を配れるから向いてると思うけど、でも野球部はなぁ。
(やばいんじゃね。野球部なんて女に飢えた奴多そうじゃん。)
(亜沙ちゃんまたモテちゃうわね。)
「優里を助けられるならって思ってオッケーしたから、明日から頑張るんだ!」
「そ、そっか。がんばれ。」
あぁどうしよう。ハニエルとウアルの言う通りやばい気がする。と言っても僕にできることは無いんだけどね。
でもせめてできる限りで見守ろう。それに部活中に亜沙が見られるのは僕もちょっとラッキーかも。
(お前な、そんなお気楽で大丈夫かよ。)
そんなウアルの心配は当たることになる。
◇◇◇◇◇
亜沙がマネージャーを手伝いだして3日。ジャージにポニーテールとしっかりマネージャーらしい格好をして走り回る亜沙はとっても可愛かった。
「よーし、今日はここまで!」
「ありがとうございました!!」
今日も無事部活が終わり、僕は1年の仕事である片付けをしていた。
(おい秋良。ちょっとあっち見ろ。)
珍しくウアルが僕を呼んだ。部活中はあんまり話しかけてこないのに。てゆうかあっちってどっちだろう。
(秋良、右よ。手洗い場の奥に向かって野球部の2年生と亜沙ちゃんが歩いてる。)
僕の問いにすこし慌てながらハニエルが答えてくれた。え、全然見えないんだけど。さすが天使と悪魔だ。
(感心してる場合じゃねぇよ。)
「相田、ごめん。ちょっとトイレ行ってくる。」
「おー。早く戻ってこいよー。」
確かに感心してる場合じゃないなと思い、同じサッカー部の相田に声をかけてから亜沙がいるという方へ向かう。この3日間、ちょくちょく亜沙に声をかけてる2年生がいたけどやっぱり狙われてたのか。
急いで手洗い場まで来ると、奥の死角になっている場所から声が聞こえてきた。
「や、あの、すみません。」
「付き合ってる奴いないんでしょ?じゃあいいじゃん。ね?」
思いっきり口説かれてるじゃん!
どうしよう、これ僕が出てっていいのかな。部外者なんじゃないかな。
「ほんと無理なんで。」
「えー、なんでよ?」
(亜沙ちゃん困ってるじゃない。)
(これはまさしくピンチだな。)
そうだ、これはまさに作戦その5のシチュエーション。亜沙が困ってるなら助けてあげないと。あぁでも、相手は先輩だし緊張する。
「「いいからさっさと行ってこい!」」
「あ、亜沙!」
2人に背中を押され(物理的に)亜沙と先輩がいるであろう場所に飛び出した。そこには壁に追い詰められた亜沙と、壁ドン状態の先輩がいた。
「あき!」
亜沙は僕を見ると、パッと笑顔になり先輩の腕をすり抜けてこちらにかけてきた。そして僕の後ろに隠れると、少しだけ顔を出して先輩に向かい言った。
「ほんと、ごめんなさい!じゃあ失礼します!」
「え?」
びっくりする僕の手を掴み手洗い場の方へ走り出す亜沙に引かれ、僕は慌てて先輩に軽く会釈し少しニヤける口元を必死に抑えて亜沙に合わせて走った。
「ご、ごめん。もう大丈夫だから。」
「ほんと?怖かったでしょ?」
手洗い場を越え、グラウンドへは戻らずに校舎の方へ少し走ったところで亜沙は止まった。すると僕の方を向いて俯きがちにそう言った。
掴まれた手はそのままで、少しだけ震えてる気がする。それに気づいた僕はその手をぎゅっと引き寄せた。
「亜沙、無理しなくていいよ。安心して。」
「う、うん。」
手を引き寄せた反動で僕の方へ倒れてきた亜沙を受け止め、抱きしめる。あれ、なんてことしてるんだろう。そう思うけど、体も言葉も止まらない。
「ごめんね亜沙。これからは僕が亜沙をちゃんと守るから。もう怖い思いなんてさせない。」
「え?あき?」
「亜沙が好きだよ。ずっと大好き。だから僕の隣にいてほしいんだ。」
僕の腕の中にいた亜沙はびっくりした様子で顔を上げた。あぁもう、なんでそんなに可愛いの。
「ほ、んとに?あきが私を?」
「うん、ほんとだよ。」
段々恥ずかしくなってきた僕は、亜沙に顔を見られたくなくてもう一度抱きしめる。これが亜沙に触れる最後になったらどうしよう。ヘタレは治らないな。
そんなネガティヴ気味になっている僕の背中に暖かい腕が触れた。え、と思っている間に亜沙の声が聞こえる。
「嬉しい。私もね、ずっとあきが好きだよ。」
え!?
思わず腕を掴んで体を離すと、顔を真っ赤にした亜沙が微笑んでいた。
(よかったわねぇ。)
(長かったな、ったく。)
やれやれと言った2人の声を聞きながら、夢じゃないことを確かめるようにもう一度ゆっくり亜沙を抱きしめた。
「次はやっぱり初デートよね。」
「それにやることやらねぇとだろ。」
「え、ちょ、なに言ってるの!」
天使と悪魔の守護(お遊び)は続く、、、。