都至りて
リーシャ視点ですが、閑話ではありません
ユニエに高く飛んでもらって、街が無いから探してもらった。今度はちゃんとパンツを履いてるね。
「リーシャ!街だ!街があるぞ!」
「本当!?やったね!」
ようやく歩き詰めの毎日から解放されるんだ。やっと地べたに寝ころばなくて良いんだ。なんだか泣けて来たよ。
「ただ、今日中に着くのは難しいかもな。」
「そっか。じゃあ、今日は早めに寝て、明日朝早く出発しようかな。夜中だと街には入れないかもしれないし。」
残念、でも今日が最後の野宿だと思うと感慨深いなあ。
日が暮れる直前まで歩いて、直ぐに野営の準備をして寝る。
「おやすみ、ユニエ。」
「おやすみ、リーシャ。」
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翌朝、目が覚めて歩いていくと、私にも街が見えて来た。だけどおかしい、人が見当たらないよ?
「人気が無いね。本当に何か政変が起きたのかな?」
ユニエにもそれが分かったのか、怪訝な顔をしてた。
「道を歩いていたはずなのに、あの戦いの時しか人と出会わなかったしな。確かに何かあったのかもしれん。まあ、ここで考え込んでも始まらん。行くしか無いだろう。」
最近になってユニエの性格が分かった気がする。水を飲んでしばらくは色々と慎重なんだけど、血しか吸収してないと思いっきりが良くなる。無鉄砲とも言うけど。最後に水を飲んだのは、確か馬車にあった水瓶のを飲んだ時だっけ。それからだいぶ経つから、やっぱりあまり深くは考えない状態なのかな。
「そうだね。行こっか。」
それでも進む道は一つしかないし。
門が見えた。側には門番かな?人がいる。あの人達もこっちに気付いたのか、一人が慌ただしく中に入って行って、何人か引き連れて出て来た。
「止まれ!!」
番兵と思わしき統一された服装で、腰に剣を吊っている。ただの旅人に対して随分と物々しいね。ユニエも不審に思ったのかな、小声で
「もしかして、非常事態か何かなのか?」
「本当に帝国に占領されてるとかな?」
「何を喋っている!」
割と小さな声で話していた筈なのに、それが分かったなんて!
驚いていたら、かなりピリピリした様子で男性が三人、剣を抜いて近づいて来た。
エルフ?ん?犬耳?それに角?
一人は耳が長く、たぶんエルフだと思うんだけど、他の二人は知らない種族。やっぱり私は世間知らずって事になるのかな。
近くにまで来た三人は、険しい表情で私を囲んだ。ユニエを指して
「あの浮いているのは精霊か?」
厳つい顔をした角の人に訊かれた。
「そうだぞ。」
こんな時でもユニエは堂々としていた。それはすごいと思うんだけど
「貴方に聞いているのではありません。」
エルフの人に、案の定注意されてる。ユニエはなんだか不機嫌そうだけど、そりゃそうなるよ。
「はい、こちらは私の契約している水の精霊です。」
ユニエの所為で、空気がもっと張り詰めてる。うー、緊張する。
「お前は人間か?」
どうしよう、エルフだって話した方が良いかな。三人とも人間じゃ無いのは確かだし、エルフだって事がマイナスにはならないと思うけど、この肌と髪の色で信じてもらえる?でも人間じゃ無いのは右耳で証明出来るし、ここは素直に
「いいえ。私はエルフです。」
「耳を見せろ。」
肩に垂らしていた髪を持ち上げて右耳を見せる。
「反対側はどうした。」
黙ってしまう。
「おい!」
あまり人に見せたいものじゃ無いんだけどな。
「左耳は捥げました。」
髪を掻き揚げて見せると、エルフの男性が息を飲んだ。こんな醜い傷痕を見られたのは屈辱、早く隠してしまいたい。
「おい、こいつは本当にエルフなのか?おい?おい!」
犬の耳?の生えた人が隣に立いる、未だに呆けてるエルフに尋ねた。そんなに驚かれると、惨めな気持ちになるなあ。
「あ、ああ。間違いなくエルフの耳だ。」
それを聞いた途端、明らかに他二人がホッとした表情になった。
人間で無いと言う確証が得られたから?つまり、人間だと不味い?連邦は人間も平等に生活してると思っていたけど、違うの?
自分が知っている状況では無いのは確か。少し緊張するな。
「街への入場を許そう。来給え」
兵士達に連れられて門に行った。ユニエは人工物か、それとも高い壁が珍しいのか、フヨフヨと壁の上に引き寄せられる様に浮かんで行ってしまった。
「あー、そこの精霊、こっちに来てくれ。」
ユニエは言われて初めて私たちから遠ざかっている事に気が付いたのか、あっ、という表情になった。
「もう、ユニエったら。」
少し笑いながら窘めると、
「笑わんでも良いだろう。」
少しむくれながら反論して来た。ほんと、こんな時は子供っぽいんだから。ふふ、なんだか緊張してたのがアホらしくなっちゃたよ。
リラックス、とまでは行かないけど、お陰で緊張は解れたかな。
門に隣接する詰め所につれて来られた。机の周りにある椅子を勧められ座ると、エルフ以外の人は出ていってしまった。門番の仕事を再開するのかな。
「さて、クライランの街へようこそ、と言いたいところだが、その前に質問がある。何故この微妙な時期に君のような子供が、精霊を伴ってとは言え一人でいたんだい?」
微妙な時期、やっぱり何かあったのかな。
「私の髪と肌の色、そしてこの耳と目で、納得いただけませんか。」
眼帯を外して、首を右に回しながら髪を持ち上げる。あまり詳しく説明したく無いな。いやな事をを無理に思い出したくなんて無い。
「すまない、無神経だったね。」
「構いません。」
エルフ同士、思いが伝わったのか、申し訳無さそうな面持ちで謝られた。
「ここでは種族や、身体的特徴で差別する人は誰もいないさ。髪や目の色、肌の色、もちろん耳だって気にする必要はない。」
それが本当だとしたら、とても良い事なんだけど、何かがあったのかわからない以上素直に喜べない。
「今帰ったわよ。あら、その子は?」
突然一人の女性が入ってきた。この人もエルフだ。
二人で囁き合った後、女性を指し示して
「この後はこの人が、君のの面倒を見てくれることになったから、頼ると良い。じゃ。」
そう言って詰所から出て行ってしまった。
これからどうなるの?




