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水の精霊にTS転生!   作者: アリエパ
23/74

お灸

サブタイトルを変更しました。内容はいじってません。

「リーシャ、もしかして、ここは今までとは違う森なのか?」


 昨日谷を渡って、その近くで夜営した。今日はまた森を大体北東に向かって歩いているが、植生というか、森の雰囲気が違う。


「たぶんだけど、聖域を抜けたんだと思うよ。」


「聖域か、、、あっ、リーシャ、10m先に大きな段差があるから気をつけろ。」


「ありがとう。えいっと。そう、聖域。森の主さまが眠っているから、魔獣が出ないの。もちろんモンスターもね。詳しい事は私も知らないんだけど。」


「ということは、もしかしてこれからは魔獣とか、モンスターが出るのか?」


「そんな話は聞いた事ないよ。本にも載ってなかったし。」


「なら大丈夫か。」


 その時だった。


「む、2時の方向に何かいるぞ。これは、、、犬?3匹ぐらいいるぞ。」


「狼かもしれない。ユニエ、準備して。」


 そう言ってリーシャも弓に矢をつがえる。そして


「やっぱりっ!」


 木の間を縫って走り、泉の近くにいたような犬よりも一回り大きく、しかも針の量も多い。


「犬型の動物は、全部あんな感じに針があるのか?」


「野生のはね。人が飼ってるのには生えてないよ。」


 なるほど。


「木が邪魔ね、、、」


 弓はこっそり隠れて射るものだ。走って近づいてくる対象を迎撃するには、不向きなのだろう。


「ふむ。ここは私がやろう。くらえ!」


 そこそこの大きさの水球を3つ放つ。透明だから見えにくいが、さすがにこの大きさだと気づかれるか。狼はそれを躱そうとするが、甘い。こちらは25mまでは自由に動かせる。狙いを修正して、鼻先にぶつかる直前で、


「爆ぜろ!」


 ボムを発動する。前方に向かって無数のウォーターカッターを放つ。目や口を傷つけた。


「キャウン!」


 3匹とも突然の事にパニックになる。しかし致命傷には程遠い。やはり砂利とかを混ぜないとダメか。

 狼の顔に着いたり、命中しなかった水を集めて、口内に入れる。そしてイメージする。喉に水で蓋をするように。


「ッ、、、、、、」


 呼吸ができないから声も出ないか。咳き込もうとしたり、吐き出そうとしたり必死だが、結構な量を狭い喉に集めたのだ。もはや口に手を突っ込んで掻き出そうとしても、難しいだろう。いや、そもそも手がないか。

 動きが止まった。完全に生き絶える前に、血を吸うか。何故かはわからないが、死体から吸収しても不味いだけで、コスパが水とは変わらなくなってしまう。

 水に土や砂、砂利を少量混ぜる。混ぜすぎると、操れなくなるので、多すぎはいけない。首にカッターを放ち、傷をつける。一匹はそのままにしておこう。


「リーシャ、その一匹はお前にやろう。」


 血を吸いながら話す。ぐぐ、最近水ばっかり飲んでいたから忘れていたが、やはり不味い。


「今のは何をしたの?」


「ボムを使った後、その水を再び集めて、喉に入れ気道を塞いだ。水牢だと体が大きいと抜け出されてしまう事があるからな。」


「一度使った水は、再吸収しないの?」


「不純物が混じりすぎるとできなくなる。今回みたいに使った水の量が少ないと、相対的に不純物が混じった時、純度が下がりやすいからな。まあ、わざわざ再吸収する程の量でもない。使った水より、血の方が若干多いしな。」


「へー。」


 リーシャは相槌を打ちながら、狼を解体していく。食べられる箇所を剥ぎ取るだけのようだ。相変わらず血抜きはしないらしい。


「血抜きはしないのか?」


「血も栄養だしね。それにこれぐらい大きいと、心臓が動いてないと難しいよ。」


 そんなものか。

 移動を再開する。途中で川を見つけて吸収して休憩したり、狼を襲ったりした。

 それにしても、ウサギを全然見かけないな。


「この岩、結構大きいね。」


 考えごとをしていたから、気がつかなかったようだ。苔と蔦に覆われた、3mぐらいの巨岩があった。


「この上ならば、狼に突然襲われる事もないだろな。」


「そうだね。少し早いけど、今日はここまでにしようか。」


 そう言って、器用によじ登り始めた。苔で滑るようだが、蔦を掴んで一番上までたどり着いた。


「私は何か狩ってくるとしよう。」


「お願いね。」


 付近をフヨフヨして、2匹の狼を見つける。それにしても狼ばっかりだな。こいつら何を捕食して生きているんだ?

 疑問を覚えながらも、とにかく狩りをする。片方を瀕死の状態にして、血を吸う。さて、こっちを持っていくか。あ、これ重くて私だと運べないぞ。仕方ない、リーシャを呼ぶか。

 岩のところに戻り、訳を話す。


「分かったよ。焚き火に薪が必要だし、ついでにそれも取りに行くね。」


 上部にある蔦を頑張って燃やしていたみたいだが、生木だったからか燃えにくいようだ。狼の全てを持って岩の上に登る事は出来ないので、食べるところだけを取る。薪になりそうな落ち枝を何本か拾って、上に戻る。

 早めの夕食が終わり寝るまでの間に、久しぶりに体と服を洗ってやった。少しムラムラした。


「ふふふ、なーに?私に欲情したの?」


 渾身のセクシーポーズをするリーシャ。いや、まあしたっちゃしたんだが、前世のような感じではなくて、もっとこう、なんていうか。とにかく


「そのポーズは、もっと出るところが出ないと意味がないぞ。色気が足りないな。」


「む、ユニエだって似たような体形じゃないの。」


「年相応というものがある。お前はもっと微笑ましい感じの方がにあうぞ。」


「まさか、ユニエにそれを言われるとは、、、じゃあ。」


 なんだ?


『おねーちゃん』


 ぐは。


「そ、そそ、それは反則だろう。」


「やった。私の勝ちだね。」


 勝ち負けがあったのか。


「分かった分かった。私の負けだ。」


 得意げな表情だ。

 服を乾かしたので、着るように言った。


「おやすみ、ユニエ。」


「ああ、おやすみ。」


 リーシャが寝ようとした時、


 ゴゴゴ


 岩が動いた。なんだ?

 リーシャが飛び起きた。


「地震?」


「いや、岩だけが動いているぞ。とりあえず降りた方が良いんじゃないか?」


「そうだね。弓と、服と、、、」


 身支度を済ませて岩から飛び降りる。その途端、


「パォォォーン」


 岩が四つ足で立ち上がり、雄叫びをあげた。長い牙に長い鼻を天に突き上げ、、、象?

 怒りに燃えた双眸がこちらを捉える。そして私に鼻を向け、突然岩が発射された。


「痛!物理攻撃は効かないんじゃないのか!?」


 咄嗟に避けたので、直撃は免れたが、それでも痛かった。何か削り取られるような痛みだ。


「そ、そんな。今のは土属性魔法、、、ユニエ!これは魔獣だよ!」


 こちらを睨んでいる。


「背中の上で焚き火したから、怒ってるのかな?」


「そんなのどうでも良い!今は逃げろー!」


 象が突進してきた。こちらも急いで走りだす。もうだいぶ暗いが、リーシャは夜目が利くし、霧でナビゲートしているので問題はない。

 しかし、岩を飛ばしてくるので、避けたりなんだりで時間をロスしてしまい、なかなか振り切れない。なんとか足止めしないと。


「ボム!」


 放たれた水球は爆発する前に


「ブモーォォォ!」


 鼻で打たれた途端、制御出来なくなり、そのまま落下した。


「ユニエ!そいつの鼻、魔力を帯びてる!」


 クソ、だったら次は横から、、、


「なん、、だと、、、」


 ボムを胴体に撃ったが、苔が水を吸収してなんらダメージが入っていない。


「リーシャ!水じゃダメだ!火を撃て!」


「走りながらじゃ集中できないよ!」


 どうするんだー。



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