閑話 忌子の真意
後一話で閑話は終了です。
ユニエは何をしたいのだろう。何を求め、何に成ろうといるのかな?
わからない。ユニエの事も、私の事も。私は彼女に何を求めているの?彼女を守りたい?何から?あの子は守られている事を必要としているのかしら?
『ユニエは、ずっとここにすんでるの?』
気付いたら質問していた。
「へ?あっ、ああ。生まれた時からな。」
『ひとりで?』
「そうだ。」
特に気にした素振りはない。
『、、、さびしくないの?』
自分で言っていて理解した。私は寂しかったんだ。だから一人でいたユニエを、守ろうと思ったんだ。一緒にいる理由が欲しくて。
「そうは言っても、この泉からはでられん。出られるものなら、出たいさ。」
寂しいって事は、否定しないんだ。なら、私が一緒に居ても、いいよね。
外に出る。それが彼女の望み。それを叶えてあげれば、きっと感謝してくれる。私が頼めば、共に生きてくれるかもしれない。
精霊についての知識を総動員する。精霊、自然の申し子や、世界の意思のと言われているけど、その正体がなんなのかは結局わかっていない。
全ての精霊は依り代を持っている。ユニエのは多分この泉。精霊使いが精霊と契約する時は、普通だと精霊が満足する新たな依り代-多くの場合精霊石-を差し出して契約する。契約と言っても口約束なので、精霊が従う義務は無い。しかし依り代を変な所に捨てられると困るので、自分で如何なる状況も打破できる強い精霊か、余程契約者を信用する精霊しか契約しない。
何はともあれ依り代だ。精霊石が採取できる場所は限られていて、私は持っていないし、この近くにも無い。他に依り代になりうる物を私は知らない。
手があるとすれば、代償魔法だ。何が代償になるかわからないけど、一番可能性がある。
(よし、覚悟を決めよう。)
日が傾き始めている。もう直ぐ魔眼の期限がきてしまう。
そして
(ぐぁぁぁ、く、目が、目が抉り取られるっ!!)
だけど痛がっている場合じゃ無い!
「ユニエ、私が貴方を外に連れ出してあげる。だから、私と家族になって!」
そうか。私は、家族が欲しかったんだ。
体に水がかかったのと、代償魔法が行使されるのは同時だった。
お腹の中で、何かが動き出した。捻り上がるような痛みに、私は失神した。
体の中に、何かがいる。その違和感で覚醒した。何が代償になったかは、一瞬でわかった。本能的に理解した。子宮と卵巣。子供を産むのに必要不可欠、女性にとって最も重要な所。そこが、ユニエの新しい依り代ね。私は悲しまなかった。どころか、運命さえ感じる。ユニエ、ユニエ、私の娘、、、
魔力が高ぶり、高揚とした気分に浸る。ユニエ、ふふふ、どこにいるの?
周囲は暗くなっていたけど、牢屋生活のおかげで夜目が利くようになった。辺りを見回すと、ユニエが倒れていた。血の気が引いた。精霊は疲れないし、眠らない。なのに倒れていたのは、依り代が変わったから?でも依り代を変えたからって、精霊が意識を失うなんて、聞いたことも無いし、、、
「ユニエ!」
とにかく名前を呼ぶ。
「ユニエ!」
やっと見つけたの!
「ユニエ!」
一緒にいてくれる人を!
「リーシャ」
ユニエが目を開けて、私の名前を言ってくれた。
~~~~~~~
私はユニエに説明する。
「子宮と卵巣、もしかして知らないの?「いや知ってる説明しなくていい!」、、、そう。」
依り代とか自分のことは知らなかったのに、そっちは知ってるのね。知ったかぶり?
「その、なんていうか、いいのか?子供ができない体になっても。」
本当に知ってるんだ。何でかな?まあ、いっか。
「大丈夫よ。だって、これからはずーっと、貴方と一緒に居られるんだから。それに、、、」
貴方が私の子供みたいな物だから。ああでも、こんな事言ったら引かれちゃうかな。
さっきは「私と家族になって。」と、勢い余って言っちゃったけど、考えてみればすごい恥ずかしい事じゃない!どうしよう。聞かれちゃったかな?
いけない!少し声に出てた。
「ほら、もう夜遅い時間だ。続きは明日にしよう。」
「ふふふ、、そうだね。おやすみ。」
ユニエは私の事を気遣ってくれた。魔眼も言霊も使ってないのに。それが嬉しくて、笑みが溢れる。
もう不安に思う必要は無い。
リーシャが思ったよりヤンデレらない、、、