閑話 忌子の休息
後2話
ユニエは面倒見のいい精霊だった。幾ら言霊の影響を受けやすいとしても、私程度では警戒心を緩めるぐらいの能力しかないのに、彼女は私の為にウサギを狩ってくれた。
しかし
(ナイフか、、、これは集落で作られた物なのかな。)
疑念が沸き起こる。ユニエは殺しを楽しむような性格では無いと思う。だけど、このナイフがあると言うことは、調査員は彼女に殺された?
あまり考えては顔にでるかもしれない。それに疲れてきたし、今日はもう寝てしまおう。
『おや、、すみ、、、』
直ぐに眠りについた。
ーーー私が保護者をしているんだ!」
叫び声が聞こえた。
目を瞑ると少し魔眼の力が弱まってしまう。それが原因で、ユニエは自分の行動に疑問を持てるようになったのかな?。言霊を乗せて、呟く。
『うにゅぅ』
慌てて口を塞ぐような気配がする。ふう、ごまかせたのかな?
しかし、絞り足したような声が聞こえた。
「今までだったらほっとくか、血を吸う為に殺していたはず、、、」
殺す!?だったらやはり、、、とりあえず寝ている間に襲われることは防がないと。
なるべく表情を緩めて
『えへへ、ユニエェ』
どうだろう?ユニエはその後静かになった。
翌朝
『おはよ〜』
「お、おはよう。」
彼女は私を襲わなかった。そのことが嬉しい。
「朝ご飯はいるか?」
『くれるの?ありがとう!』
そして朝食の後、彼女は泥だらけの私を見て言った。
「さ、体を洗うぞ。服を脱げ。」
今の私は幼い、幼女、私は幼女。恥ずかしがってはダメ。
『はーい』
でもやっぱり恥ずかしい!
そして彼女に体を洗われた。服も洗っくれてた。
久しぶりに体がすっきりした。牢では偶に体を拭くぐらいしか、できなかったから。
「次は髪を洗うぞ」
『おねがいしまーす。』
至れりつくせり。ユニエは本当に面倒見が良いのね。
しかし、彼女は耳を洗おうとしているか、もぞもぞと私の耳のあたりを触り始めた。
『きゃあ〜。くすぐったい。』
エルフにとって耳は敏感な場所だ。思わず身を捩る。
「こら、じっとしてろ。」
そして右耳を掴まれ、左耳も掴もうとしのだろう。しかし、私の左耳は
「ない、、、」
呟きが聞こえた。そしてユニエは固まってしまった。
気をつかわせちゃったかな。それともみっともないって、失望されたのかな。
不安がよぎる。
『ねえ、まだー?』
「あっ、ああ。もう直ぐだ。」
彼女は洗髪を再開した。失望は、されてないよね?
「ほら、終わったぞ。」
『ピカピカー?』
「ああ、ピカピカだ。」
『ありがとう〜。』
ユニエは優しかった。
だけど恐い。言霊を使わなくなったら、魔眼の力が切れたら、彼女は私に優しいままでいてくれるだろうか。
『おー。ふくもピカピカ』
名付け親にもなって、ユニエを愛おしいと思った。私が守る立場になるんだと、決意した。
この子は化け物なんかじゃない。
だけど、恐い。彼女は本当は冷酷な怪物なのだろうか。
「そろそろ昼だな。」
いつの間にか太陽が高く登っていた。
「ほら、昼ご飯の時間だぞ。朝のウサギはまだ残っているな、ちゃんと焼き直して食べろよ。」
食事を食べ終わった。後3時間もすれば、魔眼は効果が消える。
私は、どうすればいいの。