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作品置場

リユウは知らない

作者: 橘 竜

 お前らのことはわからない

「それはこっちも一緒だけどね」

 俺たちは本能に従って生きている

 しかしお前らは違う

 圧倒的に

 他の生き物とは違う

「いや」

「俺たちも本能に従って生きている」

 本当にそうか?

 お前達は無駄に争う

 生きるため以外に傷つけ合う

「あれもまた生きるためだ」

 食べるわけでも無いのに動物を殺す

 些細なことで

 同族で殺し合いをする

 何故だ

 わからない

「俺たちは弱いから」

「動物の骨や皮が必要だ」

「傷つけ合うのは」

「自分を守る為だ」

 何故だ

 自分を犠牲にしても種族を増やそうとは思わないのか?

 少なくとも俺たちはそうする

 動物たちもそうだ

「俺たちは特別」

「いや特殊なんだろう」

 そうか

 まだわからない

 お前達は何故愛し合う?

「そういうものだからだ」

 何故だ

 お前達は愛だの恋だの言って

 子孫を残そうとしない

 強姦魔の方がよっぽど合理的だ

「ちゃんと子孫は残している」

 結婚とやらをした相手だけとだ

 繁殖の為には

 相手を問わずに交わるべきだと思うが?

「俺たちは獣じゃない」

 いや獣だ

 元に動物の一種だ

「愛があるから」

 非合理的だ

「俺たちはそれを」

「嬉しいと思う」

「楽しいと思う」

「心地好いと感じる」

 甚だ疑問だよ

 お前達はわからない

「俺だってわからない」

 そうだな

 本来は会話出来ているのもおかしい

 これは神の気紛れかも知れないし

 お前の妄想かもしれない

「そうだな」

「きっとそうだろう」

 そういうことだ

 また話せる機会があれば

「ああ」

 さよなら

「さよなら」


 とある都会の真ん中で、一人の男が顔を上げた。

 男は雑踏の中に紛れ、何処にいるのかもわからなくなった。

 彼が立っていた信号の根本に、たくましく生きる一本の草が生えていた。

 それだけの話。


 ――生きるリユウなんて誰にもわからない

 ――価値観は人それぞれだ、あいつにしても、俺にしても

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