表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

短編や短編集や中編。

美少女戦士に転生しまして

*ほぼ設定のみ *微百合要素あり。

 私、一 睦月(にのまえ むつき)は、美少女戦士をやっております。


 ええ…自分で言っちゃうんです。美少女(・・・)と。だって、しょうがないじゃないですか!! そういうものなんですから。


 さてさて、ここは『少女マンガ』の世界。

 どどーんと、ワードを並べます。


『転生』『少女マンガ』『ヒロイン』


 以上のキーワードで解って下されば…ええ、転生しました。

 少女マンガの世界でヒロインに。


 しかも、ばっちりこの世界の設定など、余す事なく覚えています。

 

 ――だって、私……前世でこの作品の作者だったのです。


 私は、前世では新人漫画家でした。


 編集の企画で、『アニメ化』ありきの作品を描かせていただく新人漫画家に抜擢されまして、担当編集者と打合せの切磋琢磨の日々。日夜、プロットを練ったり、ネームを描いたり、原稿を描いたり。アシスタントさん達に囲まれて、まさに文字通り、命を削って描いておりました。幸いにもアニメは好評を得て、第二期の報告をもらった時に……過労で倒れて…そのまま……。ってわけです。


 漫画もアニメも大人気だったので、さぞかし贅沢な暮しをしていたと思われますよね? まったくそんなわけもなく。新しい仕事場、アシスタント代などで、出版社に借金を抱えていたくらいで。しかも、新人漫画家の原稿料…しかも少女漫画家は少年漫画や青年漫画よりも、ずっと相場は安いのです。グスン。

 連載開始当初はかなりの極貧の生活をしいられ、アニメも軌道に乗って、グッヅ販売も好調。ようやく借金も返せて…ってこれからって時にですよ! いやー。もう、漫画家になんかなりたくない。ちゃんと、恋愛がしたかった。おっと、すいません。話が脱線いたしました。


 さてさて、この世界は前世の私が描いた作品『美少女戦士☆the lunar calendar(陰暦)』は、文字通り陰暦を捩った名前の女の子たち12人が、和風ゴシックメイド服みたいなミニスカ戦闘服で悪と戦う話です。


 なぜ、その事に気付いたかといいますと、その12人の女の子は同じ施設に暮らしていまして……。

色とりどりの髪の色をした美少女たち。極めつけに、名前が私が安易に考えた陰暦。如月やら睦月やら師走までいると…もう、記憶が戻らない方がおかしいと。


 そして、彼女たち、一人一人に辛い過去があるのです……すいません。それも私が考えました。

 その鬼畜な設定を担当さんとインド料理を食べながら、『みんな、親なしにしよっか! 不幸な過去があればある程、読者のハートを捉えるじゃない?』『いいですね! そのアイデアいただきですっ! トラウマなんか強烈なのいれちゃいましょうか?』『いいじゃん。いいじゃん』と、アルコールがはいりながらの打合せ(会社経費)……酔っ払いの戯言で、彼女たちに創られた“トラウマ”に罪悪感が半端ないのです。


 私の場合、6歳の頃に両親が交通事故で亡くなり施設に入所しました。そこで出会ったキャラ達……。

 みんな、瞳の色が暗く、一切光がなかった……笑顔がなく、眼が死んでいたのです。

 前世の記憶が戻った私は、もうっ!! 頑張りました。


 「私が、この子たちを救う!!!」


 自分の作ったキャラクターは、いわば我が子です。

 いえ、この世界のキャラクター全員が、私が作った…我が子たち!!

 みんな、みんな、大事です。

 いうならば……美少女戦士となった12人の……いえ、地球の敵となる、悪のキャラクターも私の子!!

 みんな、みんな、救いたい!



 一人、一人のキャラクターの“トラウマ”原因は、熟知しております。その原因の事件にキャラクターの設定も頭の中にばっちりです。(前世での私は、キャラクターの人生を妄想するのが大好きで、キャラクターの全員の人生表を作っていました。プロフィールはもちろんのこと、誰と結婚して、子供をもうけるか、漫画には使わない設定もワンキャラ、ノート見開き2ページに詳細に書き込んでいました)




 ――そして



 とうとう、美少女戦士となる13歳になりました。


 因みに、サポートキャラのペットはピンク色をしたオカメインコのムーンちゃんです。


 すでに、敵も含め、みんなの“トラウマ”を取り払ってしまったんですけどね。みんなの笑顔が明るくなって、私は幸せです。




 選ばれた、12人の美少女戦士。

 それに、敵対する“月影の帝王”。



 夜中の世界が寝静まった時間が私たち美少女戦士の時間。

 さぁ! みんなで地球の平和を守るのよ!!!


 の……はずが……。


「「「「「「「「「「「睦月ちゃーん!!」」」」」」」」」」」


 私の腰に巻き付く手。水色の髪をした如月。 私の左右の手に絡んでるのは、弥生と卯月の双子。皐月と水無月はずっと月影の帝王を睨んでいるし、文月は変身後にも関わらず、文庫本を手にしながらも、目線はこちらをチラチラ。葉月はスマホで、なぜか私の顔を「パシャッ」と撮って、長月は私の髪の毛をいじっている。水無月と霜月に師走は、軽く雑魚敵をやっつけていました。


 対する月影の帝王。


 黒いマントに、顔にはヘンテコなマスク。(すいません。私が考えたのに)雑魚敵を従えて、なにやらプリプリしております。


「お前ら、俺の睦月に近づくな!」


「何よ! “月影の帝王”なんて名前がついているあんたに言われたくない! 厨二病がうつるでしょ! しっ! しっ!」


 色違いの和風ゴシックメイド服調の戦闘服を着つつも、なぜか敵の月影の帝王(正体は担任教師)と、私の取り合いになっているのです。 あれ? 月影の帝王さん…地球征服はいいのですか? え? もう、そんなつもりはない? ああ、そうですか。すいません。



「お、お前らな!! 次の中間テストで、覚えていろよ!!」

「わーーー、職権乱用。信じられなーい。 嫌いよね? こんなコスプレロリコンな大人って、嫌いよね? ね? 睦月ちゃん」

「そ、そうなのか!? 睦月!! 嘘だから、嫌わないでくれ!!!」

「………ア、ハハ、ハハハ」


 戦う理由もないのに、どうして私たち集まっているのでしょう。 え? 私の所有権の取り合い? どういう事ですか?



 すっかり、全キャラを落としてしまった私……。

 おかしい。百合属性なんて、キャラクターにはついてないはずなのに。




☆゜+.*.+゜☆゜+.*.+゜☆゜+.*.+゜☆



 哀れ、睦月は気付いていなかった。いや、前世では忙しくて、そこまで目が届いていなかったのだ。


 この世界は、確かに前世の睦月が作った少女マンガの世界。しかし、この世界に共鳴し、色々な他者の手で創られた“二次元(同人誌)”の世界も、カオス的に繋がっていた事を。美少女12人の世界は、特に大人の男性読者の心をつかみ、めくるめく“百合”の世界が、拡がっていた事を。



「「「「「「「「「「「睦月ちゃーん、大好き」」」」」」」」」」」





 睦月がそれに気付くまでのカウントダウンは始まっている。



「あれ?」





**キャラクター表**


一 睦月(にのまえ むつき)

二島 如月(ふたじま きさらぎ)

三谷 弥生(みたに やよい)

四方田 卯月(よもた うづき)

五十嵐 皐月(いがらし さつき)

六車 水無月(むぐるま みなづき)

七海 文月(ななみ ふみづき)

八雲 葉月(やくも はづき)

九紀 長月(くき ながつき)

十川 神無月(そがわ かんなづき)

十一夜(じゅういちや) 霜月(しもつき)

十二里 師走(じゅうにり しわす)


髪の色もそれぞれ違う。

みんな、(恋愛的に)睦月が大好き。


睦月…今世でもちゃんとした恋愛が出来そうにない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ