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帰る場所  作者: S・H
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第35話:人形














「………もしかしたらセイレーンの仕業かも知れぬな」

「セイレーン?」


 和哉達は宿に戻り他の皆が寝静まった頃に、ルティスへ今日町で聞いてきて情報を話していた。するとルティスの口からどうやら心当たりがあるような反応が返ってきた。


「この付近に存在する高位な海の精霊だ。その歌声は聞いた者の心を穏やかにし、安らぎを与える。だが時にその歌声は相手の心を惑わし、破滅への道を歩ませることになるそうだ………どちらにしても奴が声を聞かせたいと思わぬ限りは聞こえぬのだがな。また女子供にはその声は聞こえにくいようだ。詳しいことはよくわからぬが、奴が我と同様女の姿をしているからのようだな」


 精霊の声に周波数があるかどうかは分からないけど、そういう物の為に聞こえ易さに違いがあるのかなと思いつつ和哉は話しを進めた。


「ルティスは俺と契約するまでは召喚石の中にいたんだよな?今もそのセイレーンがこの近くにいるかどうかは分からないんじゃないのか?それに精霊って長時間はこの世界に顕現出来なかったんじゃなかったのか?」


 ルティスが前の主と旅をしていたのは随分と昔のことである。和哉は今も件の精霊がいるかどうかわからないと思っていた。そして以前ルティスから聞いた話では精霊は暴走している時を除き、契約なしに長時間姿を維持することが出来ないようようなのだ。


「慌てるな主よ。質問には一つ一つ答えていく故安心しろ。まずは一つ目の質問だが、おそらくセイレーンはいるはずだ。今と昔とではこの辺りも大分変化しているようだが、環境が酷く劣化したわけではないようだからな。いるとすれば話の中にあった洞窟の祠にでもいるだろう。ただあれくらいの精霊ともなると普段は完璧に自然と一体化しており、中々気配を感じさせぬから確証は出来ぬが。そして二つ目だが、奴は基本的には姿を見せない。歌声は姿を顕現させずとも届かせることが出来るからな。また姿を見せたとしても、それはほんの数分間だけだ」

「ふーん…まぁ仮にそいつが今回の元凶だとしようじゃねぇか。そんでなんで海の精霊さんが人間に悪さなんてしてんだ?聞いたところそんな頻繁に人間が会えるような奴じゃないんだろ?」


 アルトの指摘は至極尤もだった。人間に安らぎを与える存在でもある精霊が、こんな短期間の内に人間に干渉するかどうかが不思議だったのだ。それに対してルティスも腑に落ちないような表情を見せた。


「我の知る奴ならばこんなことはしないはずなのだがな。奴は純真無垢で常に綺麗な人間の心を慈しんでいたからな。だからこうなっている元凶が奴なのだとすれば、何らかの事情で暴走している可能性もあるやも知れぬな」

「うーん………まぁ直接調べてみるしかないか。明日はルティスにも着いて来てほしいんだがいいか?」

「無論だ。もし仮に奴が悪さをしているのであれば我が諌めねばならぬのでな……ティア達も連れて行くのだろう?」

「ここにおいておくのもあれだしな、ルティスの話通りだったらセイレーンの声はティア達には無害そうだし………暴走してるかもしれないってのは心配だけどまぁ何があってもちゃんと護って見せるさ」


 頬を掻き、苦笑いをしながら和哉は答えた。ルティスもアルトもその答えに納得したのか首を縦に振っていた。


「そんじゃあ寝るとすっか。明日は早めに行ってさっさと終わらせようぜ」

「あぁ。それじゃあルティス、また明日な」

「うむ」


 そう言ってルティスは部屋へと戻り、和哉達は就寝した。















 翌朝、朝食をとった後和哉は子供達を含めた全員に祠へ行ってみようと誘った。子供達は祠が海の近くにあることを知り喜んで賛成した。ティアもこちらの意図を汲み取ってくれ、一行は町の外にある祠へと向かった。


 町を出てすぐの岬を見つけると近くに下へ降りる道が続いていた。そこから下へ降りると洞窟が見えてきた。和哉達は前方を和哉、ランド、中央にティア、メル、アリア、そして後方にアルト、ルティスの順番で洞窟へと入り始めた。


「中じめじめしてるねー…」

「きもちわるい…」

「そんなこと言わないの。この町の人にとって大切な場所なんだから」

「たいせつなばしょ?」

「うん、私達のお家と同じくらい大切だと思うよ?」

「そっかー、お家ないと困るもんね」

「ねー」

「ふふふ」


 祠を探し、洞窟の中を歩きながらティアはメルとアリアに話しかけていた。洞窟は結構奥まで続いてお

り、先は真っ暗である。また洞窟の横幅は相当広くそれが松明などから零れる光をより届きにくくしていた。ルティスが起こした火で作った松明を持ちながら進んでいくが、幼い二人には洞窟の中のこの薄暗さは怖いようである。それをティアは両手で二人を抱き寄せながらフォローしていた。流石に二人の姉として長い付き合いをしているだけのことはある。そうしていると二人も少し落ち着くようであった。


「………………」

「どうしたの兄ちゃん黙っちゃって?怖いの?」


 一方で和哉は偶に後ろを確認しながらランドと一緒に先頭を歩いていた。ただその間無言だったため、ランドに誤解されてしまっていた。和哉はそう言われるとは思ってなかったため、軽く笑いながら返事をした。


「ははっ違うよ。ちょっと考え事をな」

「考え事?……難しいこと考えてるとはげるよ?」

「はげないよ…ってかそれ誰が言ってたんだ?」

「アルト兄ちゃんだよ?」

「またあいつか…つまらないことばっかり教えて」


 溜息をつきながら和哉はうなだれた。ランドも十二歳なのだからもう少しためになることを教えてくれよと思いながら、一方で和哉はルティスへとあることを伝えていた。


(入り口付近の足跡、ルティスも見たか?)

《無論だ…どうやら既に別の者達がここに入ってきているようだな》

(予想通りなら昨日会った騎士団の人達なんだが……少し胸騒ぎがするな)

《我もここには何か嫌な空気が満ちているのを感じるぞ、注意を怠るでないぞ主よ》

(あぁ、アルトにも伝えておいてくれ。それといざとなったら頼むぞ)

《うむ》


 ティア達は気付いていないようだったが、和哉にはこちらにまとわりついてくるかのような嫌な空気が僅かに感じられた。和哉は自分が感じている不穏な空気を出来るだけ表情には出さないようにしながら歩き続けた。


 暫く歩いていくと前方にうっすらと明かりが見え始めた。その明かりは点々としており、どうやら複数の人物がそこにはいるようだ。


「私達以外にもどなたかここへいらっしゃってるんですかね?」

「そうみたいだな。ちょっと行って話してくるよ」


 ティアの言葉に返事をしながら和哉は前方へと小走りで向かった。洞窟の中だが然程歩きにくくもないため、あっという間にその集団へと合流する。そして和哉の視界に入ってきたのは騎士団の鎧を着込んだ十四人の兵士とその小隊の隊長ウェルスの姿だった。だがその様子は少しおかしく兵士達とウェルスの腕はだらりと下がって、頭もたれていた。


(様子が変だ……何かあったのか?)


「隊長殿もこちらへといらしていたのですか?」 


 違和感を感じながら和哉はウェルスへと話しかけようとした。しかし次の瞬間


―ブォンッ


「っ!?」


 剣を振りかぶる音と共に和哉の真横から刃が振り下ろされていた。和哉は瞬時に身を反らしてそれをかわすと、バックステップで距離をとる。剣をかわされた騎士団員はゆっくりと剣を持ち上げると数人でこちらへと走り始めた。


(やっぱりこいつら何かがおかしい!)


「ルティス!」


 和哉はそう思うや否や後方にいるルティスへと叫んだ。洞窟の内部により声が反響する。


「うむ!この者達に一時のまどろみをヒプノソング」

「えっ…ルティ…ス……さん………」


 ルティスは和哉の声が聞こえるや否やティアの半径三メートル以内に催眠の呪文をたたきこんだ。子供達に生々しい戦闘を見せることは恐怖感を植えつけることにつながるかもしれない。そう判断した和哉は今回連れて行く代わりに戦闘の間だけティアを含めた子供達には呪文で眠ってもらうことにしておいた。かなり独善的で自分勝手な思考であるが、自分達の中の誰が傷ついたとしても心を痛めるティアのためにもこれが最善であると思うしかなかった。


(すまない、皆)


「はああぁぁぁっ!」


 頭の中で謝りながら和哉は刀を取り出すと正面の騎士団員へと突っ込んでいき、武器を叩き落した。それと同時に両手を地面についてカポエラの要領で回転しながら蹴りを加えて後方へと吹き飛ばした。


「相変わらず無駄に派手だな、お前の攻撃はっ!っと」

「よそ見してるとお前の顔が台無しになるぞアルト!」

「それは困るなっ世界中の女の子が泣くことになる」


 後方から走ってきたアルトが敵の攻撃を避けながら軽口を叩いてきた。こんな時くらい真面目に闘えと思いつつも、実は本気で闘っていることに気づいているため和哉も軽口で返していた。

 

 前方にいる騎士団員の武器を弾き飛ばし、延髄などの急所を狙って攻撃していくと、残るはついにウェルスただ一人となった。ウェルスの左右には弾き飛ばされた武器や騎士団員が横たわっている。


「さぁて後はあんた一人だぜ。つってもどうやらあんたも正気じゃなさそうだがな」

「元凶がなんなのかは置いておいてこの人を倒さないと先に進めなさそうだな。ウェルス隊長、申し訳ありませんが貴方を倒して先へと進ませていただきます」


 和哉とアルトはお互いに武器を構えるとウェルスへと突っ込んでいった。呆然と立ち尽くしているウェルスだが近づくにつれて何かぼそぼそと話しているのが聞こえる。


 そしてその声が止まったかと思ったその時、目の前には先ほど倒したはずの騎士団員二名が武器を持って立ちふさがっていた。


「なにっ!」


 二人の槍による突きを和哉は刀で反らし、アルトは後ろ宙返りでかわすと一旦その場から下がった。


「おいおいおい…マジかよ」

「どういうことだ…」


 辺りをよく見てみると残りの者も立ち上がって武器を手にしている。通常だったら確かに意識を失っていてもおかしくない場所に攻撃を叩き込んだにも関わらず、ものの数十秒の間に復活しているのだ。そして驚くべき点はそれ以外にもあった。


「くっ何だこいつら」

「さっきよりも攻撃が重いっ」


 先ほどまでの騎士団員は普段訓練しているのが嘘のように攻撃が雑で、むしろ素人が棒切れを振った方がよっぽど強い一撃が放てるのではないかというほどだった。だがしかし、今度はそうではなかった。一撃一撃に力が込められており、それはまるで漸くその動かし方に慣れたと感じるほどだった。ただし取り戻したのは動きだけであり、意識のほうはまるで正常なようには思えない。


「どうすればっ…」

《主よ、あの中心に立っている男を狙え!あいつから何やら魔力を感じる》


 ルティスは自身も小さな魔法で牽制をしながら、こちらへと指示を出してきた。そしてその男はこの小隊の隊長ウェルスであった。


「やっぱり隊長か!」

「おっしゃ!任せろっ」


 そう言うや否やアルトはウェルスへと駆け出した。前後左右へと繰り出される素早い動きで一人二人と攻撃を交えながらかわしていき、ウェルスの前へとたどり着く。


「隊長さん、あんたにゃ恨みもあるんで遠慮せずぶっ飛ばさせてもらうぜ!」


 過分な私怨を含みながら拳を振り上げるアルトだったが、和哉は自分の周囲にいた団員が何かを呟いているのに気付いた。そしてそれと同時にアルトの立っている場所の地面が一瞬光った。


「…っ!?アルトッ危ないっ!」


―ガガガッッ


「かはっ」


 罠だと気付いた瞬間に叫んだが既に遅かった。光った場所から地面が盛り上がり、棘状になってアルトの腹部へと直撃する。そしてその勢いにより洞窟の天井へとぶち当たり地面へと落ちてきた。貫通するほどの威力と鋭さではないが大き目のハンマーを直接腹部へとお見舞いされたのと同じ程度の衝撃が起こったはずだ。全く無事というわけにもいくはずがない。


「はっ……中々やるじゃねぇか…」


 そう言って立ち上がったもののダメージは中々のもののようである。騎士団員の攻撃を防いではいるもののいつもの精細さは感じることが出来ない。


「くっそ、倒しても倒してもきりが無い」

 

 相手が人間でなければ魔法を使用して進むのだが、そうもいかず洞窟の中という場所で人間が壁となって立ちはだかるので持ち前の素早さを生かしきることが出来ない。


 数が多いためルティスもティア達の前方に立ち、騎士団員達を槍で振り払っていた。


(どうすればいいっ、このままじゃジリ貧だ。一度撤退するか?)


 頭の中でどうするかを考えながら目の前の敵に対峙していた和哉だったが、その時


「やああああぁっ!!」


 和哉の後方から声が聞こえてきた。その声はまだ幼さを感じさせているものの力強い咆哮だった。


「ルティス姉ちゃん合わせて!」

「っ!…うむ!魔を討つ光を彼の者へと宿せ」

「祖は刃と交じりて邪を滅す!いくよっ!」

「「光波塵!」」


 ランドの掛け声と共にルティスから魔力が供給される。それをもとにランドは詠唱を続け、ランドの剣へと光が凝縮していく。そしてランドとルティスの声が揃って剣が振り下ろされた時、光の球が剣から飛び散っていき、騎士団員へと直撃していった。


「兄ちゃんやっちゃえ!!」

「あぁ!」


 ランドの攻撃によってウェルスへの道が開かれ和哉は一気に走り出した。ウェルスもこちらへと剣を振りかぶってくるが、元々一対一では和哉の相手にはならない。ウェルスの剣を一瞬にして弾き飛ばすと振りかぶってきた右手を掴み取り力の限り地面へと投げつけた。暫くの間両手をぴくぴくと動かしていたが、数秒の後その動きもなくなりパタッと地面に落ちた。今まで不自然に開かれていた目も漸く閉じ、ウェルスの動きが止まると同時に周りの騎士団員もぱたぱたとその場に倒れていった。


「ふぅ…厄介だったな」

「まったくだ…っつぅ」

「兄ちゃん!」


 アルトの下へ行き肩を貸すために手を伸ばすと、アルトはお腹を押さえながらその手をとった。そこへランドが走って寄って来た。


「ランドッ!」


 和哉はこちらへと走ってくるランドを褒めたい反面、何でという疑問もあったため複雑な表情を浮かべながら迎え入れた。


「お前も眠ってたんじゃないのか?」

「へへっ!こういうところに来たら兄ちゃん達がきっと危ないことするだろうって思ってたから、ルティス姉ちゃんに言って催眠の魔法の範囲から避けて貰ってたんだ」

「ルティス、お前なぁ…」

「すまぬな、主よ」

「姉ちゃんを怒らないでよ兄ちゃん!無理を言ったのは俺なんだ」

「ランド…」

「俺、兄ちゃんがここに来てからすぐの時、姉ちゃん達を護れなかった。あんなふうに負けちゃって悔しかった……だから俺も兄ちゃんみたいに強くなりたいんだ!もう護られてばかりは嫌なんだ!」


 ランドの瞳には強い意思が見て取れた。あの時のことは和哉も鮮明に覚えている。ランドも立派な男の子だ。家族を護りたいと思うことは当然なのかもしれない。和哉自身も幼い頃に実の妹の香澄を護るために強くなろうとした。だからこそランドの思いがしっかりと伝わってきた。


「……そうだな。じゃあもっと鍛錬して今よりもっと強くならないとな?」

「うんっ!」


 和哉は笑顔を浮かべながらランドの頭の上に手を置いた。ランドも和哉の笑顔見て安心したのかパーッと表情が明るくなった。





「それにしてもあんな技いつの間に覚えたんだ?」


 和哉はティア達のもとへ戻るとその場でアルトの治療を開始した。そしてその合間にランドへと気になっている質問をした。


「俺も新しい技を覚えたいと思ってね、姉ちゃんと特訓してたんだ。でも特訓始めたのが感謝祭の日くらいからだったから一人だと全然安定しないんだけどね。俺の詠唱と実力が三割、姉ちゃんの制御が七割ってところかな」

「…それほとんどルティス嬢がやっているようなものじゃねえか」

「こらっアルト!」


 苦笑いをしながら答えるランドに対して治療中のアルトは率直な意見を返してしまっていた。


「しょうがないでしょ!時間なかったんだから!俺だってこれでも姉ちゃんには筋がいいって褒められたんだよ?」

「本当なのかルティス?」

「あぁそうだな。少なくとも汝の新技(・・)とやらよりは余程安定しているぞ?」

「ぐっ…それを言われると辛い」

「ほらね?でもアルト兄ちゃんに言われたとおりまだまだ姉ちゃんに頼りっぱなしだからもっと頑張るんだ!威力も全然無いしね。まぁ今回の場合はそうだから使えたんだけど」


 冗談を交えた疑わしい目でアルトがルティスに聞いたところ、どうやら本当のようだった。おまけに自分のことまでネタにされては返す言葉も無いほどだ。ランドはアルトの言葉も真摯に受け止めて先の事を考えていた。


「まぁランドが頑張ってるのはよくわかったよ。じゃあこれからはランドのことも頼らせてもらうからな。ただし無理だけはするなよ?勇気と無謀は違うからな?」

「うん、分かったよカズヤ兄ちゃん!」


 和哉の言葉にランドは元気よく返事をした。アルトの治療も終了し和哉は立ち上がった。


「よっし、それじゃあ奥に進むか」


 和哉はそう言ってティアを背負った。メルをアルトがアリアをルティスが抱えながら全員は奥へと歩き始める。ゆっくりと奥へと進んでいくと薄明かりと共に祠が見えてきた。


「あれが祠か?それに……女の子か?」


 祠の前には白いワンピースのような服を着た水色の髪をした女の子が座っていた。祠へと向かって何かを呟いているようである。


 和哉も、勿論この一行の面々全員がこの女の子らしきものに対して違和感を抱いていた。なぜならあんな状態の騎士団が道中にいたのだ。女の子がこんな所へ来れているとは到底思えなかったからだ。そこへルティスから和哉の脳裏に言葉が届く。


《主よ、早くティア達を置いて結界を張れ》

「えっ?」

《早くするのだ!》 


 和哉は言われるがままにティアを地面へと横たえてその場へと結界を張った。


《間違いない……あれはセイレーンだ…ただし》


 ルティスからの言葉は尚続いていく。そうしている間に向こうを見ていた女の子がこちらへと振り向いた。  


「アァ、ニンギョウアソビモモウオシマイカァ。デハコンドハアナタタチトアソブコトニシマショウカ…………ネェ……アナタタチハ………ドンナウタガキキタイ?…フフッフフフッ、アハハッアハハハッハハハハハハハ!!」


《暴走しているがな》


 狂気の混ざった声は洞窟中へと響き渡る。壊れた乙女(セイレーン)の歌声が。











今回はランドを活躍させました!いつもは台詞も少ないですが、今回は割りと喋りましたね。まぁ小さな男の子が闘うのはある侍の漫画を読んだことのある方々ならばすんなりと受け入れてくださると思いますw

それではまた次回!

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