番外編:消えぬ思い
―チュンチュン
「む……もう朝か」
鳥の鳴き声が耳へと届いてきた。その声に耳を傾けゆっくりと目を開けると、ベッドの上で軽く伸びをする。睡眠中の結界維持のための半覚醒状態から素早く覚醒状態へと移行すると、そのまま立ち上がって窓へと近づき開け放った。
「今日もよい天気になりそうだな」
朝焼けの見える空を見上げながら、今日も精霊ルティスの一日が始まった。
主である和哉が孤児院を出発してから既に十二日が経ち、今日は土の月の六日である。暦の上では秋となりほんの少しだけ肌寒くなりつつもあるのだが、ルティスにとっては然程問題ではない。
「さて……早く支度を済ませて下へ降りるとしよう」
ルティスは何の気なしに独り言を呟くと、身体中に魔力を循環させる。見る見るうちに服装は変わっていき、先程まで着ていた就寝用のネグリジェが消え、服が変化していく。精霊であるためルティスの服は本人の気分次第でなんにでも変化させることが出来、そのためルティスは就寝用の服装は昔から変えることにしていた。
そして着替えが終わるといつものローブ姿より少しだけ丈の短い服装へと変化していた。袖は半袖、足の丈は膝上までといったところだろうか。腕を軽く回し、足を動かすことで動きやすさを確認すると満足気に頷き、部屋を出て行った。
ちなみに精霊であるルティスに睡眠は必要なのか?答えはYESである。その説明をする前に、精霊がこの世界に長時間顕現するために必要なことを話す必要がある。まず第一に必要なことは主との契約。契約無くして精霊が現実世界へ顕現することは無い。ただし暴走している場合は話は別である。そして第二に主からの魔力の供給。精霊にとって魔力はこの世界へ顕現するためのエネルギー、いわば体力と同義である。そのため魔力が枯渇すれば回復するまではこの世界へと顕現することは出来ない。そして第三に精霊自身の自己保持能力、つまり精霊が自分自身で魔力を養う能力が必要なのだ。
この三点がこの世界へと顕現するために必要なことなのだが、和哉を主として契約をしているため一つ目の点は満たしている。次に第二の点なのだが、現在ルティスは主である和哉の元を離れて行動している。主から精霊への魔力供給は主の魔力に比例し、主と精霊の距離に反比例しており、主の魔力が多ければ多いほど魔力の供給量は増加し、距離が遠くなればなるほど精霊は主の魔力の恩恵を受けにくくなるのだ。そのため現在のルティスは和哉の魔力の量を差し引いても、魔力供給が若干減っている状態なのである。
ここで重要になってくるのが第三の点である。精霊が魔力を自身で補う方法に睡眠、食事など人間の生活に欠かすことの出来ない項目が関わってくる。ルティスは強力な精霊であるため、魔力の保持機能に長け人間と同じような生活を過ごすことにより自前で自らの魔力を養うことができるのだ。
また余談なのだがルティスは精霊の王でもあるため自前の魔力の量も多く、例え数週間その活動を行えなかったとしても顕現し続けることは容易となっている。
ともあれ現在孤児院で生活をしているルティスは、人間と変わらぬ生活を送ることによって魔力を保っているのだ。
孤児院の外へ出て庭で待っていると、少ししてランドが庭へと出てきた。
「ルティス姉ちゃん、おはよう!」
「うむ、おはよう。今日も元気だなランド」
「うん!今日こそは姉ちゃんから一本取れるように頑張るよっ」
和哉が孤児院を出発した翌日からはルティスがランドの相手をしていた。特にせがまれたわけでもないのだが、一人で鍛錬をしているランドの相手をしてやるのも悪くないと思ったからだった。そしてその鍛錬は今日まで続いているというわけだ。ランドの元気の良い声にルティスも相槌を打つ。
「その意気だ………さて今日はどの獲物がよいか?」
「うーん…兄ちゃんのカタナっていう武器もいいけど、やっぱり前回相手して貰った時の長槍がいいかな?」
「心得た………はぁぁぁ」
ルティスは右手を真横へと伸ばし空間へと魔力を込める。込められた魔力は形を成し、あっという間に長槍へと姿を変えた。長さはルティスの身長よりも長く、およそ一メートル後半といったところだろう。そしてその行動に目を輝かせているものがルティスの前にいた。
「うわぁ、やっぱりいつ見ても凄い!」
「そうか?」
「うんっ!かっこいいよっ」
「まぁ、賞賛の言葉は受け取ろう………では…構えるがいい…」
ルティスは数歩下がると、獲物の具合を確かめるように振り回し両手で構える。その姿勢、表情から真剣さが伺え凄みを感じさせていた。ランドもその様に息を呑む。
「今日は負けないよっ、たああぁっ!」
だが怯むことなく剣を構えると、すぐさまルティスの元へと向かっていった。
―ガキィンッ
訓練開始の合図となる、軽い金属音が響く。
「良い一撃だ、さぁもっと打ってくるがよい」
「言われなくたって!」
長槍と剣、リーチの差は明白だがランドは最初の一撃でルティスの懐に入り、上手く間合いの調節を行っている。槍は長物であるがゆえに間合いをつめられると厳しい。ランドは以前の教訓を生かして果敢に前へと進んでいた。一方のルティスは上段、中段から繰り出される剣閃を槍の柄で受け止めなんとかかわしていた。
(前回のようにはいかぬか……ならばっ)
「だあああっ!」
「はっ!!」
ルティスは振りかぶってくるランドの攻撃を正面から受け止めると、すぐさま身体をひねり先端とは反対側の柄で剣をはじいた。
「やばっ…」
そしてそのまま足払いで体勢を崩させると、器用に手首で槍を回転させランドの側方の地面に突き刺した。重さを感じさせないルティス特製の槍だからこそ簡単にこなせる技である。
ルティスは地面から槍を抜きランドの手をとって立ち上がらせた。
「まだまだだな…良い一撃なのは確かだが柔軟な攻撃をせねばこのように痛い目を見ることになるぞ?」
「は、はい…」
「さぁもう一度だ」
そう言うとルティスは再び構えを取った。ランドも飛んでいった剣を拾い再度構えを取る。
「たあああぁぁっ!」
「あーあ、今日も一本も取れなかったよ…」
その後一時間ほどの訓練を行い、へとへとになりながらランドはリビングの椅子へと座った。既にリビングには全員が揃っており、テーブルにも朝食が並べられていた。
「そう焦るでない。まだ始めたばかりではないか」
「そうは言ってもね…やっぱり悔しいものは悔しいよ」
《そうは言ってもなぁ、悔しいもんは悔しいんだよ》
苦笑しながら返事をするランドにいつかの誰かの言葉を思い出した。
(あれもこんな感じだったかな?)
頭の中にある青年の姿を思い浮かべながら、ルティスはランドへと言葉を返す。
「ならば今の内にその気持ちを溜め込んでおくのだな…その悔しさは明日への糧になるはずだ。そうすればいつかは我に勝てる日もくるだろう」
「え~、本当かな?」
「無論だ、実際にそうやって我に勝った者もいるしな」
「ふーん……それならそうするよ、よっし!ご飯食べて休憩したら鍛錬を再開するかな」
ランドの表情に笑顔が戻り、ルティスもほんの微かに口元が綻んだ。そんなルティスとランドへとへ二人の視線が向いていた。
「お腹空いたよ~」
「ねぇ、もうおはなしおわった?」
その二人とはお腹に手を当ててこちらを見てくるメルと、袖を引っ張って上目遣いで見てくるアリアだった。二人に向かって軽く返事を返す。
「あぁ、すまないな。待たせてしまったようだ」
「はい、それじゃあいただきましょうか」
「「「いただきまーす」」」
ティアの声の後にアリア、メル、ランドの三人の声が続く。こうして朝食の時間は会話と共にあっという間に過ぎ去っていった。
「ねぇ、ルティスお姉ちゃん!今日は何して遊ぼうか?」
「なにする?」
「ふむ……ではこれはどうだろうか?」
食後の日課となりつつある二人の子供達とのやりとりはルティスにとっては新鮮だった。前回旅をしていた時には、主と同年代の者がほとんどでこんなに幼い子供達はいなかった。無論、主の命で村や町の子供を何度も相手にしていたことはあったので、これが初めてだというわけではなかったのだが同一人物とこれほどまでに長期間触れ合うのは初めてだったからだ。
そんな中でもルティスは自分なりに色々と考えて遊びを工夫していた。そして今回はまた一風変わったものを登場させた。ルティスが出したものは白いふわふわとした毛並みを持った子犬のような獣だった。召喚と同時にメルの腕に抱かれ包まっている。突然現れたそれに対して二人は目を輝かせた。
「うわぁ!この子なーに?」
「かわいい!」
「これは使い魔といってな、精霊が使役することの出来る獣だ」
「つかいま?」
「しえきってなに?」
二人にとっては少し言葉が難しかったようであり、ルティスは上手く言い表せないかと頭を悩ませる。
「うむ…簡単に言うとすれば……ペットじゃな」
(ペットって!ちょっとそれは酷いじゃないですかっ!?)
(お主のこの姿を見るとつい…な、許せ)
(……了解しました。ペットでいいです)
そしてその発言に対して白い獣は、ルティスの脳内へ使い魔のプライドを守るための抗議の言葉を発していた。だが鶴の一声とも言うべきであろうか、主の一言でその発言を自ら取り消した。仕方ないなぁと振舞うように見える反面、全てを委ねているその態度からはその獣のルティスへの忠誠度が伺える。
「ねぇねぇこのこの名前は?」
「名前か?ダリアという」
「ダリアかぁ…うーん…じゃあ、アーちゃんだね!」
そしてルティスへと獣の名前を聞いたメルは突然何かを思いついたようにその名を発した。隣にいるアリアもその言葉を反芻するとどこか満足気に笑顔を浮かべる。一方でその言葉に反論するものもいた。もちろんアーちゃんと呼ばれたダリア本人?なのだが。
(アーちゃんっ!?私を勝手にそのような名前にし(許してやれダリアよ。お主も童は嫌いではなかっただろう?)………ふぅ…そうですね、ご主人の顔を立てて此度はこの名を冠するといたしましょう)
(ありがとうな、ダリア)
(いえいえ…ご主人の命あればこそですから)
だが今回もルティスの言葉によってダリアは諭されていた。威厳を冠する名としてはあの呼び名は名折れになってしまうのだが、それも主の前では曲げられることのようだ。
「それじゃあアーちゃん、一緒に遊ぼう♪」
「あそぼー!」
「さぁダリア、頑張るがよい」
(御意のままに…)
メルの腕から地面へと飛び降りたダリアはメルとアリアを追いかけるように走り始めた。二人もとても楽しそうにダリアから逃げ回り、ルティスはそれを眺めていた。そこへ沢山の洗濯物を抱えたティアが現れた。
「ルティスさん、二人の面倒見てくださってありがとうございます。二人ともとても楽しそうです」
「ティアか、どれ手伝うとしよう」
「いいですよ、ルティスさんの手を煩わせるまでも無いですから」
「気にするでない。あぁ見えてダリアは我の使い魔の中でも強い部類に入るからな。回復魔術も覚えているので、怪我の心配も無い」
「そうですか?じゃあ半分お願いしますね」
「うむ、心得た」
ティアから洗濯物を受け取ると、ルティスは器用にしわを伸ばし次々と物干しへと並べていった。ティアも慣れた手つきで一枚一枚丁寧に並べていく。いくら量が多いといっても流石に二人もいれば作業の効率も上がるというものである。沢山あった洗濯物もあっという間に片付いてしまった。
「ありがとうございます、やっぱり二人でやると早いですね」
「そうだな」
ルティスへと笑顔で微笑んでくるティアだがほんの少しだけ影が見える。ルティスは顎に指をつけると思案するような仕草を見せ、ティアへと言葉を投げかけた。
「主のことが心配か?」
「…ばれちゃいましたか?」
えへへと苦笑するような表情をティアは見せた。
「今回は魔物討伐が依頼ですからね。連絡がないと流石に心配しちゃいます。せめて無事かどうかだけでも知ることが出来たらいいんですけどね?」
「ふむ…連絡か……出来ないこともないな」
「えっ!本当ですか!?」
「ティアが主と話すことは出来ぬが、伝言を受け取るくらいならできるだろう」
ルティスの言葉を聞き、ティアは驚きを隠せないでいる。本当は直接会わせてやることも出来なくは無いのだが、流石に依頼中にこちらへと呼び戻すのは非常識だと考えてその考えは頭の中にしまった。
「それでも構いません、お願いしてもいいですか?」
「うむ…それでは…………む?」
-キィィン
ルティスの頭の中に高い音が響く。同時にメルとアリアを追い掛け回していたダリアにもその反応が伝わったようだった。
(ふむ…害虫がかかったか……)
「ルティスさんいきなりどうしたんですか?」
「なんでもないさ、ちょっと気になっただけだ。それで主との連絡なのだが部屋に戻って少々準備をしてきても構わぬか?」
「あっ、はいどうぞ。ゆっくり待ってますので」
「すまぬな、それでは少し外すぞ」
そう言ってルティスは孤児院の中へと歩いていった。少なくともティアや他の皆にはそのように見えていた。だがルティスは歩きながら自分の使い魔であるダリアと会話をしていた。
(ダリア、ここは任せたぞ)
(御意)
ルティスは自分の部屋に入ると同時に魔力を練って移動した。自らの結界に反応した者達の場所へ。
「さてと…あれか」
一瞬で町の外のその場所へと飛ぶとルティスはこちらへと向かってくる数台の馬車へと目を向けた。馬車はこのままではぶつかってしまうことを把握するとゆっくりと減速した。そしてルティスの前で停車すると中から複数の男性が出てきた。
「おう、あんた。道の真ん中にいたら危ねえじゃねえか」
「すまぬな、ここから先は通せないのだ」
「あん?いきなり何言ってやがるんだ?」
「隠す必要は無い。貴様等の目的はあの孤児院だろう?」
ルティスは自らの後方に見える町へと目をやりながら答えた。何の前ぶりも無くそう言ってのけられたことで、その場に衝撃が走る。動揺する男達を退けてリーダー格の男がすっと前に出てくる。
「お前、なにもんだ?」
「貴様等に語る必要は無い」
「そうか……おいお前等、好きにやっていいぞ。貴重な女だがここまで知っている以上生かしてはおけねぇ。壊しちまえ!」
男は馬車の中にいた他の男達にも声をかけた。ぞろぞろとルティスの周りを囲い始め、いつの間にか一対二十という数字になっていた。男達の中には血に飢えた目、ルティスの肉体を舐め回すように見る女に飢えた目をした者がうじゃうじゃといるようだった。
「姉ちゃん、ここで俺等に噛み付いたのが運の尽きだったな」
下卑た笑い声が辺りを包み込む。だがそんな中ルティスは口元を綻ばせていた。そしてその女性の小さな笑い声はだんだんと辺りへと浸透していく。
「ふふっ…ふふふっ…あはははっ」
「おい…何がおかしい?」
「気でも触れたんだろう、いいからやっちまえ!」
男の号令により数人がルティスへと飛び掛っていく。
「………噛み付いた?誰に向かって物を言っているこの下衆共が」
背筋も凍るような冷笑とともに聞こえたその一言。次の瞬間
―ドォォンッ
鈍い音が聞こえ、男達は後方へ十メートルほど吹き飛ばされていた。
「なっ!?」
「害虫駆除は我の仕事となっている。死にたくなければ即刻立ち去るのだな」
残っている者達へ向けられた紅の瞳は血の色によく似ていた。
「ティアよ、待たせてすまなかったな?」
「そんなに待ってませんよ?ルティスさんが部屋に戻ってまだ少しの時間しか経ってませんし」
「そうか?それならば良いのだが」
何事も無く戻ってきたルティスはティアへと話しかけた。ティアの言うとおり確かに然程時間は経っていない。元の世界で換算するならば五分前後といったところだろう。結局ルティスは止めをさすことは無く、ある程度痛めつけて退いてもらっていた。
「それでは主と連絡を取るとしよう、コール」
ルティスは和哉のことを思い浮かべながら呪文を唱えた。コールの魔法は精霊と主を繋ぐ魔法。会話はそれぞれの脳内によって行われる。
(主、主よ)
《うおっ!?》
向こう側で盛大に驚いている主、和哉の声が聞こえてきた。声の様子から察するにまだまだ無事でいるようだ。その後落ち着きを取り戻した和哉としばし会話を楽しんだところでこの質問を投げかけられた。
《それで何か用事なのか?》
(ふむ、用事とな。用事は…………)
(先程のこと報告すべきだろうか?………否、我の胸の内にしまっておくとしよう。主のことだ、自分がいない間にあのような輩が来たことを知れば責任を感じるかもしれぬしな)
(…無いな)
《いやないのかよっ!》
ツッコミが聞こえてきたが大したことでもないので聞き流すことにした。大方拍子抜けしたとでも考えたのであろう。確かにいきなり連絡を受ければこう思うのも仕方ないとは思うのだが。そんなことを考えながらルティスは誤魔化して話しておくことにした。
(まぁ強いて言うならばこの魔法が上手くいくかの実験と、声を聞いておこうと思ったというところだ)
《声を聞いておく?まぁ確かにルティスとはあまり話してないもんな。せっかく契約できたのに翌日から体調崩したり、召喚したものの次の日には町を離れたりと忙しかったからな》
自分が適当に考えた言い訳に対しても真摯に向き合ってくれるその態度はルティスは嫌いではなかった。そのため自分の素直な言葉が口から出ていた。
(その通りだ、それ故これからは定期的に連絡を寄越してくれることを所望するぞ)
(何を言っているのだ我は…こんなことを言うはずではなかったのだが…)
脳内で行われる会話とはいえ、自分の思考全てを相手に伝えるわけではない。そのため相手に自分の考えを読まれることは無いのだが、予想外の自分の態度に少しばかり動揺してしまう。
一方主である和哉はルティスがそんなことを考えているとは露知らずすぐに返事を返す。そのためルティスは気持ちの整理をしながらその言葉に意識を傾ける。
《了解、それじゃあまた連絡するな。あっ、あと元気でやっていると皆によろしく伝えておいてくれ》
(承知した。それでは主よ、気をつけて)
頭の中でそう言ってルティスはコールの魔法を解除した。
「ふぅ…」
「ルティスさん、カズヤさんは元気でしたでしょうか?」
「あぁ、元気でやっていると伝えてくれと言われたぞ」
「そうですか!よかった…あっもうこんな時間ですね。そろそろお昼にしましょうか?」
「そうだな、それでは屋内に入るとしよう」
「メル、アリア、ランド!そろそろご飯にしましょう」
「「「はーい」」」
子供達はティアの言葉を聞くと素直に屋内へと入っていく。ティアも和哉からの伝言を聞いてほっとしたようであり、笑顔がこぼれていた。全員が入っていくのを見送りながらルティスは庭で空を見上げていた。
「先程の気持ちも久しいな…」
ルティスはいつかの青年のことを思い浮かべながら胸に手を当てる。
「なぁ……………よ」
ルティスの言葉は風に流され消えていく。幾星霜の時を経ても忘れることの無い思いを抱きながら。
はい、ルティスの話を書いた番外編でした。
本文中にも書いてありますが時間軸的には本編25話、26話辺りの話です。
次回からは新章となりますのでよろしくお願いします。




