第27話:王
「今回の任務は貴方方がいてくださったおかげで成功することが出来ました。本当にありがとうございます。報酬に関しましては明日、この町のギルドにてお配りいたしますのでそれまではご自由にお過ごしください。宿はこちらで用意させていただきましたので差し支えなければそちらをお使いください。」
土の月、十二日。王城前の広場でベルは冒険者達に今回の依頼についての謝辞を述べていた。
あの日キングオークを討伐し、和哉達は五日ぶりに王都へと戻ってきた。戻ってきたとは言っても和哉にとってはまだ二度目の王都なので、戻ってきたというよりは再び来たという感じではあるのだが。ともあれ、あれ以降は然程困難なこともなく負傷者なしで戻ってくることが出来ていた。
キングオークを倒した後、影響を受けていた者も次の日にはすっかり元に戻っていた。だが以前の騎士団の者達同様、山に登っている間の記憶は曖昧だったようだ。そのため現在ベルの話を聞いている半数以上の者が何もした覚えがないのに報酬がもらえるのは何故だろうと半ば腑に落ちない表情をしていた。
そんな中アルトと和哉は冒険者達の最後尾にいた。アルトはベルの話の間終止眠たそうに大欠伸をして、こちらを見ているウルスにキッと睨まれていたが、そんなことは関係ないといった様子で視線を受け流していた。
一方の和哉はというと、あれから再度ルティスと連絡を取った際に聞いたその内容について考えていた。
《主よ、主が倒したあのデカブツのことなのだが、あれはただの魔物ではないぞ》
(ただの魔物じゃない?まぁ見た目から言っても元の情報とかなりかけ離れていたしな。だけどそれってどういうことなんだ?)
《そもそも奴が使っていた魔法がおかしいのだ。元々、ドレインをただの魔物が使えるはずなどない。まぁ百歩譲って魔物がドレインを使えたとしよう。だがあのドレインは通常のドレインとは吸収する対象が異なっていたのだ。そのような魔法をあのような見るからに頭の悪そうなデカブツが行使できるはずがない。》
(お前さっきから何気に酷い事言ってるよな…)
《ともかく、あの魔物は誰か別の者によって手を施されていたとしか考えられない》
(…その別の者があの魔物に手を加えて操っていたと考えていいのか?)
《うむ、まぁそうであろう。だが最も問題なのはそこではないのだがな…》
(なにか妙に引っかかる言い方だな?まだ他にも心配事があるのか?)
《……いや、これは我の杞憂かも知れぬしな。確信を持てたときに伝えるとしよう。ともあれ主よ、そのような存在がいるということを努々忘れないで欲しい》
(魔物を操る別の存在…か。まぁ現状ではどうすることも出来ないし、とりあえずはいつも通り過ごすことにするか)
そう考え和哉は思考を中断した。この問題については現状その事実を心に留めておくことしかできない。ならば自分ができることはいつも通り鍛錬を積み、剣技や魔法を磨くことのみだ。今回ルティスに教えてもらった魔法や剣技は実践で大いに役立った。ルティスもまだまだ魔法をたくさん知っているようであり、自分の伸びしろを確認することが出来た今実力の向上が自分が打てる最善手だと考えていた。
「おい、和哉。隊長さんの話終わったみたいだぜ」
眠そうな声を出しながら隣にいたアルトが話しかけてくる。その声にはっと気付くと全員の前にいたベルの話は既に終わり、周囲の冒険者達も各々解散し始めていた。結局話をほとんど聞いてなかったことを少しだけ悪かったかなと思いつつも、和哉もアルトと共にその場から離れることにした。
「カズヤ、アルト殿」
「ん?ベルか、どうしたんだ?」
後方から声をかけられて振り返ってみると、ベルとテッド、ウルスの三人がこちらへと近づいてきていた。ベルの背後にいたウルスはお約束どおり和哉のベルへの態度が気に食わないらしく、ギリッとこちらを睨みつけていたがもういい加減飽き飽きしていたため軽く溜息をつくとベルへと視線を合わせた。
「お二人にお話があるのですが、よろしいでしょうか?」
「話?まぁ俺はいいけど、アルトはどうだ?」
「別に構わないぜ、ってかそれより隊長さんにはそのアルト殿って言うのをやめてもらいてぇな。カズヤと同じように頼むわ」
隣にいたアルトへ同意を得られるか尋ねてみると、アルトも二つ返事で許可を出した。アルトにとってはそちらよりも自分の名前の呼ばれ方のほうが気になっていたようだが。寒気がするように身体をぶるっと震わせていた様子からそれほど嫌なようだった。そんなアルトの様子を見てベルは軽く微笑むと頷き、話を続けた。
「今回の任務達成には貴方達が最も貢献していました。これは正気を保っていた面々や私達魔法騎士団の三名の総意です。また今回の任務はこの国の騎士団が達成できなかったものです。そのため今回の任務の詳細について王に報告にあがったところ、王が貴方達を謁見の間に通すようにと我々にお申し付けになりました。つきましては貴方達を国王陛下の下へお連れしたいのですが」
確かに今回の任務の間、和哉とアルトは八面六臂の活躍を見せていた。和哉は言うまでもなくキングオークの討伐を、アルトは残っていた面々の護衛を勤めていた。次々と魔法の影響を受けていった他の者と違い、アルトは最後まで正気を失うことなく多くの魔物を一人で倒していたのだった。これは最終的に残ったウルス、テッドを含む数名が語っていた。つまり和哉とアルトがいなければ、今回の任務は成功することが出来なかったかもしれないのだ。
勿論和哉やアルト自身はそのようなことは考えていなかったのだが、どうやらベルはその通りにこの国の王に伝えたようである。そのため今のような状況になっているというわけだ。和哉にもベルの言い分は
わからないでもないのだが、何分このような状況は初めてであるため若干迷っていた。
「別にそんな大したことをした訳でも…」
「ですが我々としても」
「行って見ればいいんじゃねえの?」
「そうそうアルトの言うとおり行って見ればいい……ってええ!」
アルトも自分と同じように下手に目立ちたくは無いはずと考えていた和哉はアルトの言葉を聞いて心底驚いていた。あまりにも驚いて思わず元の世界の某キャラクターのような驚き方をしてしまったのだが、アルトのほうを見たところ冗談ではなくどうやら本気のようである。
「本気なのかアルト?俺らが会う相手はこの国の王様だぞ?」
「分かってるっつうの。別に尻込みする必要はねえだろ?王様の話聞いてはいはい頷いてりゃいいんだからよ」
「っ!?貴様っ!」
「やめろ馬鹿者」
アルトの物言いが癇に障ったのかウルスがアルトへと怒鳴ろうとする。するとベルはアルトの元へ向かおうとするウルスを左手で遮るとウルスへと小声で怒鳴った。そしてそのやり取りの間もアルトから和哉へと言葉は続いていた。
「それに王様と話すなんて一生に一度あるかないか、寧ろない方が多いだろ?だからついでだから会っておけって。会わなかったら多分損すると思うぞ?」
珍しくプッシュしてくるアルトの態度に若干の違和感を覚えつつも、和哉はそんなことを考えても仕方がないかと思い始めていた。先程は普段体験することのない話を聞かされ思考が乱れたが冷静になって考えてみると、王様から直々に隊長であるベルへ命令が下されているのなら、ここで自分が断ってはベルへの影響があることも考えられるのだ。その他にも国家の象徴たる者へ理由もなく反抗しては後々自分がいる孤児院やその面々に何かしらの影響があるかも知れないと考えられた。
(これは初めから選択の余地はなさそうだな)
和哉は頭の中で言葉を呟き苦笑するとベルへと同意の返事を出した。ベルもその言葉を聞くと、背後に控えていたウルスとテッドに向かって何かを話し、和哉とアルトへ向かって会釈をした。
「それでは参りましょう。私に着いて来てください」
ベルはそう言うとくるっと回って方向転換をした。和哉とアルトはそのままベルへと着いて行く事にした。少しだけ歩くとすぐに
先程ベルに何かを言われたウルスとテッドは既に城門前に待機しており、こちらが近づくと門番に門を開けるように話していた。ゆっくりと音を立てながら開く門を眺めながら、和哉とアルトはベルの後を着いて行った。
「それではここで待っていてください」
そう言われてから既に大分時間が経っていた。
和哉とアルトは場内の部屋に通されそこで待つようにベルに言われていた。和哉は部屋に置いてあった飲み物を飲みながら辺りに目をやる。和哉達に宛がわれた綺麗に装飾されたこの部屋は、この城の来客用の部屋のようなのだが、現在の和哉達の格好は勿論依頼用の動きやすいカジュアルな服であるため、明らかにフォーマル向けのこの部屋とはミスマッチだった。
(まぁ、向こうもそれくらいは分かってるよな。今日ここに到着するってのは知ってるはずなんだから)
和哉自身は然程格好については気にしておらず、これで非礼だといわれるのであればもうどうしようもないと思っていた。共にこの部屋にいるアルトもその点に関しては気にしておらず部屋に備え付けてあるソファーで悠々とくつろいでいた。その姿がいやに様になっている気がしたが、そんなことを考えているとちょうど部屋の扉をコンコンとノックする音が響いてきた。
「失礼します。お待たせしました、では国王陛下の下へとご案内いたします」
部屋に入ってきたベルは先程までの服とは異なった服を着ていた。それでもその格好は先程の服と比較して動きにくいというようなことは無かった。国王の前といえども騎士は不測の事態に備えて軽装になっているということなのであろう。妙な点に感心しつつも、和哉はアルトと共に再びベルの後ろへ着いていった。
暫く歩くと複数の兵士が構える大きな扉の前に着いた。兵士はベルが近づいてくるのを見るとベルへと敬礼をし、ベルもそれに応えていた。
「この中に国王陛下が控えておられます。私が先に入りますので後について来て下さい」
そう言うとベルは左右の兵士に扉を開けて貰い中へと進んでいった。次いで和哉とアルトが中へと入り、ベルが片膝を着いた場所付近でベルと同じ行動を取った。和哉にとっては始めてのことだが、この部屋へと着く前に粗方説明してもらっていたので、どうにかなりそうだと考えていた。
「国王陛下、此度の任務に協力していただいた二人の冒険者を連れて参りました」
「私は和哉・柊と申します」
「…アルト・ランバードと申します」
「ご苦労、それでは二人とも顔を上げてくれ」
「はい」
ベルが一歩前に出て国王へと報告を述べると、国王は和哉とアルトへと顔を上げるように言った。和哉とアルトは言われたとおりにゆっくり顔を上げる。眼前の玉座には白髪の男性が座っていた。予想していたよりも若いように見えるが、その容姿とは裏腹にえも言われぬ力強さを感じさせていた。
王の左右には王妃らしき女性と二人の娘である姫らしき少女、王妃の左方には長い白髭を携えた老人がいた。また視線だけをずらすと和哉達の側面には十数人ほどのこの国に関係する人物達が控えておりそれら全てが和哉達を見ていた。そんな中眼前の王は威風堂々とした態度で和哉達へと言葉を発した。
「私がこのクラストライン聖皇国の王、ハウゼン・アル・クラストラインだ。此度は貴公達の力のおかげで任務を遂行できたと聞いている。真にご苦労であった」
「国王陛下にそうおっしゃっていただけるとは恐悦至極に存じます」
「そう謙遜する必要は無い。騎士団の者達が敗走せざるを得なかった魔物を倒したという功績は、貴公達の思っているより大きなものだ。故に私は貴殿達に報酬を与えよう。そしてこの話とは別に貴公達に頼みたいことがある」
「頼みたいこと…ですか?」
謝辞の言葉と共に発せられた「頼み」という言葉に反応して和哉は言葉を返す。王もそれを聞くと静かに頷き、再び話し始めた。
「貴公達にこの国に仕えて欲しいと私は考えている。役職はうーむ、そうだな…」
「私の近衛などはいかがでしょうか、お父様?お二人は闘神祭でも活躍なさっていますし、カズヤ様に関しては、私自らお会いしたことがありますので。とてもお優しい方でしたわ」
突然話が飛躍したことに少なからず動揺しつつも、和哉は眼前の姫君の声と話しぶりからいつか出会ったあの少女のことを思い出した。始めてこの部屋に入ったときから、髪の色や瞳の色は異なるもののその少女の姿にどことなく見覚えがあった。
「なんだ、フェリシアよ。お前は彼と面識があったのか?」
「えぇ、お久しぶりですカズヤ様。あの時はありがとうございました」
そしてお礼を言われたことでようやく確信するに至った。
「君は……闘神祭の時に出店の前で会った」
「はい。またお会いできて嬉しいです」
フェリシアという名の姫君は和哉へ向かって微笑んだ。透き通るような白い髪に薄紅色の瞳を携えたその少女は以前とは違った雰囲気を醸し出していた。
「まさか姫様だったとは…そうとは知らず失礼しました」
「カズヤ様は私を助けてくださったのですからそんなことを気に病む必要はありませんよ。それに城の外へと出向く際、私が公の場に立つ時を除いて、私にはとある魔法がかかっていますので仕方がないでしょう」
「そう仰ってくださることを恐縮に思います」
和哉は恭しく頭を下げると、フェリシアは首を左右に振りその必要はないと示した。和哉もフェリシアの態度からこのような姿勢を続けるのはあまりよくないかもしれないと考え、すっと顔を上げフェリシアへと目線を合わせた。王は二人の様子を見て、少し何かを考えて頷くと笑顔を浮かべた。
「フェリシアと貴公はなかなか相性が良いようだな。これなら問題はない。では私の頼みを聞いていただけるだろうか?」
「………陛下、少し待っ」
「なりませんぞ陛下!」
和哉が王への返答をしようとしたところ和哉の側面にいた人物のうちの一人が大声を上げた。声を上げた人物は眼鏡をかけた齢四十程の緑の髪の男性であり、静寂が保たれた謁見の間に響いたその声は明らかに王の考えに対する反対意見だった。
「そのような素性の知れぬ馬の骨をこの国に仕えさせる、ましてや姫様の近衛になさるなど言語道断です!」
「おいカーシェル…私が招いた客人に対して無礼を働くつもりか?」
緑髪の男性の言葉に対し、王は表情はそのままに声に怒気をはらんで言葉を発する。だがカーシェルと呼ばれる緑髪の男性は、その王の言葉に引くことは無く頭を左右に振って否と示す。
「いくら陛下といえどこれに関しては、そう簡単には「はい」と頷く事は出来ませぬ。確か…カズヤ殿であったな?カズヤ殿はどこの国、町の出身なのだ?」
「……出身地は答えることは出来ませんが、現在はカーサの町の孤児院で暮らしています」
「孤児院?はっ、お話になりませんね。陛下、このような輩を近衛にするなどもってのほかです」
「だがカーサの町の孤児院といえばあれが残したものではないか。そこに住んでいると言う事はやはり何かの縁があるということだろう?」
「確かに、カーサの町の孤児院ならばほぼ間違いなくあの方の残したもので間違いないでしょう。ですが孤児院にいるのは所詮は身寄りの無い平民以下の人間の集団には違いありません。それに、」
カーシェルは先程から静かに片膝をついているアルトへ視線を向けるとすぐさま嫌そうに視線をそむけた。
「亜人を近衛になど出来はしません。姫様の近衛のような高貴な役割はそれ相応の身分の人間が行うものです。どうしても彼等を城に仕えさせたいというならただの一般兵とするのが妥当ではないかと」
「カーシェルッ!!」
「失礼しました、口が過ぎたかもしれませぬ。ですが陛下、私の気持ちは変わりませぬぞ。私と同じ気持ちを持っている臣下もいるはずです」
カーシェルは眼鏡のブリッジを中指で軽く上げると、王へと視線を合わせつつその他の臣下へ同意を促した。見ると凡そ三分の一程度の臣下が首を縦に振りカーシェルの意見に賛同しているようである。
だがそんな様子を和哉は見ることは無く、ただ床を見つめていた。
最初はこちらを見下したようなカーシェルの態度を気にも留めていなかった。実際自分のこの世界での立ち位置はあやふやであり、何か自分を証明するものがあるとすれば闘神祭の優勝者と言ったようなものだけである。そのため何を言われても気にする必要の無いことだと考えていた。だが先程の言葉は今までのように聞き流すことは出来なかった。
平民以下の人間の集団
亜人などを
自分を温かく迎え入れてくれた孤児院の皆や、大切な友人を偏見を持って傷つける。それが和哉には許せなかった。地面につけている左手の拳をギリギリと握り締め怒りを落ち着かせようとする。
「……………」
そんな中和哉は普通とは違う視線を感じ顔を上げた。すると王がこちらを見つめていた。目線があうと王はこちらに向かって軽くふっと微笑み、和哉は自分の心を見透かされているように感じた。はっとして拳に込めていた力を抜き、また静かに頭を垂れる。
「カーシェルよ、一つ賭けをしないか?」
「賭け事とは一国の王がするものではないと思いますが…どのようなものでしょうか?」
突然王はカーシェルへと話を始めた。王の一声で少しばかりざわついていた空気が一瞬にして変わる。カーシェルは王へと向き直るとその内容を尋ねた。
「そうだな…オルセウル、団員を五名ほど借りても良いか?」
「陛下のご命令とあらば如何様にも」
王はベルが立っている付近にいた赤髪の壮年の男性に話しかけた。騎士団の甲冑を纏ったオルセウルと呼ばれる男性は敬礼の姿勢をとり返答した。
「カーシェルよ。お前は騎士団の中でお前の考えうる最高の人材を五人選べ。そしてカズヤ殿にはその五人と同時に闘ってもらおう。もしカズヤ殿が負ければ私はこの話をなかったことにしよう。最高といえど、五人程度に負けるような者は姫の近衛にはいらぬからな」
「っ!?」
和哉は王の言葉に顔を上げる。予期せぬ事態に驚き言葉も出ない。王はどこと無く楽しげな表情を浮かべカーシェルを見ている。対するカーシェルもその言葉に最初は驚きはしたものの、すぐにこれは好都合といわんばかりの表情を見せた。
「よろしいのですか?そのような条件ですと初めから賭けにならないと思いますが」
「ああ、構わぬよ。だがもしお前の選んだ五人が負けでもしたら…カーシェルよ、お前にはカズヤ殿とアルト殿に頭を下げてもらうことにしよう。勿論地面に額をつけてな。そして当然今回の近衛の話も継続させてもらう。よいな?」
大胆不敵に笑う王の姿は自らは闘わないにも関わらず、自信に満ち溢れているようだった。その姿にカーシェルは圧倒されそうになるが、数的有利という条件と選ぶことの出来る五人の実力から自分に負けはないと考え強気に同意の返事を返した。
「さて…それではカズヤ殿、事後承諾となって悪いのだがこの賭けに乗ってもらえるだろうか?」
王は和哉へと視線を合わせる。和哉は王が自分の心を汲んでくれたのではないかと考えた。騎士団の中の最高の五人とも言えばこの国の軍隊の要と言っても五人が選ばれるだろう。例え負けたからと言って負けた側が弱いことにはならない。だが王はカーシェルをこの賭けに乗らせるためにわざわざあのような芝居をうったように考えた。こうすることで自分にチャンスをくれたのではないかと。
カーシェルに下手に手を出せば皆にどれほどの迷惑がかかるかわからない。だがその皆を侮辱されたこの思いも簡単に忘れられるほど安いものではない。ただ相手に謝罪をさせるためだけに闘う。その心自体は狭く、器の小さな男なのかもしれない。だがその機会を自らが選択することで得られるのであれば、和哉は悩む必要など無かった。すっと目を閉じ数回深呼吸をする。そしてぱっと眼を見開いた。
「自分の誇りのためにもその話、受けさせていただきます」
「よい、それでは準備を始めよ!」
瞳に炎を滾らせ、和哉は王に応えた。
(この勝負負けるわけにはいかない!)
和哉は拳を握り勝利を胸に誓った。
今回アルトが空気でしたね(汗)
あと地味に闘神祭の時に現れた少女が再登場しましたw
姫様ですのでこの先少なからず出番があると思います。
次回はまた戦闘が入ります。




