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第44話:国境を越える轍(戦略的撤退と、王女の外交)

敵連合の圧倒的な価格攻勢により、店内の客足は途絶え、POSデータのグラフは右肩下がりの一途を辿っていた。

1. 揺らぐ現場と、オーナーの冷徹な眼

「ケニー様、このままでは……在庫がただの廃棄物の山になってしまいますわ」

ソラリスの瞳には不安が滲み、現場の店長たちからも「あっちの店に合わせて値下げすべきだ」という悲痛な声が上がる。

しかし、49歳の魂を持つケニーは、2代目として修羅場をくぐり抜けてきた経験から、一つの結論に達していた。

「……ここではもう、勝負にならない。薬という人質を取られた以上、正面衝突は愚策だ」

2. 「100店舗移転」という博打

ケニーは、静かに地図を広げた。指し示したのは、王国の国境を越えた隣国だった。

「国内の100店舗を畳む。そして、その什器、システム、スタッフをまるごと隣国へ移す。ドミナントの拠点を変えるんだ」

スタッフ一同に衝撃が走る。だが、ケニーの確信は揺るがない。

「俺たちのシステム(コンビニ)は、この国だけのものじゃない。世界が必要としているインフラだ。国内が利権で腐っているなら、まだ『便利』を知らない土地へ、この光を届けるまでだ」

3. 外交官・ソラリスの覚悟

この計画の鍵を握るのは、隣国との交渉だ。一民間人が容易に踏み込める領域ではない。

「ソラリス、君にしかできない仕事がある。……第一王女として、隣国との外交を任せたい」

ケニーの言葉に、ソラリスは一瞬目を見開いたが、すぐに力強く頷いた。

「私に……。はい、ケニー様。あなたが守ろうとしているこの『24時間の祈り』を、世界に広げるためなら、私は王女としてのすべてを賭けて、道を切り拓いてみせますわ!」

4. 未知なる市場への挑戦

ケニーは、熱意に燃えるソラリスを見つめながら、かつて前世で「2代目」として新しい商圏へ打って出た時の高揚感を思い出していた。

国内では四面楚歌。だが、国境の向こうにはまだ数百店舗を展開できる白い地図が広がっている。

「……さあ、2周目の人生、本番はここからだ」

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