第21話:帝国の牙と侯爵の契約
500店舗のネットワークによる「独自経済圏」の構築は、ついに隣国である強国「帝国」を暴発させた。
「子爵ごときが、帝国の通貨を紙屑に変えるなど許されぬ。その『システム』を差し出せ。さもなくば軍を進め、500の拠点をすべて灰にしてくれる」
帝国は国境に大軍を集結させ、王国に対して凄まじい軍事的圧力をかけてきた。
1. 経済的逆撃:インフレの輸出
だが、ケニーは動じなかった。彼は49歳の魂に刻まれた「流通の急所」を突く。
「陛下、剣を抜く必要はありません。帝国の食糧も資材も、すでに我が500店舗の物流網なしでは一日も持ちません」
ケニーは500店舗の物流機能を使い、帝国へ流れ込む物資を絶妙なタイミングで遮断。同時に、帝国内で「ケニーのポイント」の価値を暴騰させた。
結果、帝国内ではハイパーインフレが発生。軍に支払う給与は無価値となり、兵士たちは食料を求めて暴動を起こした。戦わずして、帝国の大軍は内側から崩壊したのだ。
2. 和解の代償:侯爵への昇叙
帝国の脅威が去り、王国と帝国の間で正式な講和会議が開かれた。
戦火を未然に防ぎ、帝国を経済的に屈服させたケニーの功績は、もはや国家の英雄として揺るぎないものとなった。
「この救国の功績を讃え、王家はケニーを『侯爵』に叙す。王国の全経済権を統括する、我が懐刀となれ!」
国王の宣言により、ケニーは一気に最高位の貴族へと登り詰めた。だが、これがケニーの描いたシナリオの「表の顔」に過ぎないことを、周囲はまだ知らない。
3. 深夜の謁見:王女を賭けた「交渉」
式典の後、ケニーは国王と二人きりの非公式な場で、冷徹な本性を現した。
「陛下、帝国は退けましたが、私の500店舗が明日から『王都への配送』を止めれば、この国も帝国と同じ運命を辿ります。……分かりますね?」
「な、貴様……余を脅すのか!」
「いいえ、これは『経営判断』です。この巨大なシステムを永久に王家のために安定させるには、私自身が王族の仲間入りをする必要があります。……第一王女殿下を、私の妻として頂戴したい」
ケニーは、王家の隠し口座のデータを見せながら、逃げ場のない「軽い脅し」をかけた。逆らえば国が死ぬ。従えば、王家は「ケニーのシステム」として永遠の繁栄を約束される。
「……分かった。第一王女をお前に預けよう。お前の『網』こそが、この国の新たな王冠だ」
4. ケニーの独白
馬車の中で、ケニーは月明かりに照らされた500店舗の看板を眺めていた。
「侯爵の地位、そして王家の血筋。これで、この世界に俺の居場所は完成した」
前世で本部に首を絞められた男は、今や一国の王を跪かせ、世界そのものを自らの「フランチャイズ」へと変えた。




