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第17話:数字の矛盾(歪んだ収支)

400店舗に迫る巨大ネットワークを管理するケニーは、POSデータに現れた「ある領地の歪み」を見逃さなかった。第312号店がある領地の、異常に少ない税収報告と、それとは正反対に跳ね上がっている食料品の売上だ。

「……おかしいな。税金が払えないほど困窮しているはずの領地で、なぜ1日3回の配送トラック(保冷馬車)が、毎回『完売(欠品)』で空になって戻ってくるんだ?」

「仕組み」の裏側:トレーサビリティの真実

オーナー様が仰る通り、商品に符を貼っただけでは犯人は見つかりません。ケニーが使ったのは、「物流の足跡」の逆追跡です。

異常な発注量の検知: 本部のシステムが、人口に見合わない「乾パン」や「燻製肉」の大量発注をアラート(警告)として出す。

配送ルートの「誤差」: ケニーは配送員(伯爵軍の息がかかった者)に命じ、商品を届けた後の店舗のゴミ捨て場をチェックさせた。「トレーサビリティ・ラベル」が貼られた空箱が、店のゴミ箱ではなく、「領主の城へと続く山道の脇」に大量に捨てられているのを確認したのだ。

レジ袋の行方: 商品を包んだ袋や箱が、どこで「廃棄」されているか。その場所を地図上にプロット(点打ち)していくことで、私兵団が潜んでいるキャンプの場所を、物理的にあぶり出したのである。

「ラベルそのものが喋るんじゃない。ラベルが『どこで捨てられたか』が、お前たちの居場所を教えてくれるんだよ」

数字による「実務的」な追い詰め

ケニーは王宮の法廷で、魔法のような予言ではなく、「在庫管理表」と「廃棄物の発見場所」という、動かぬ証拠を突きつけた。

「陛下、これは第312号店から出たゴミの行方です。領主が『盗賊に奪われた』と主張する時期と、私の店で軍糧が『大量購入された』時期、そして山奥で『空き箱が捨てられた』場所……すべてが一本の線で繋がります」

400店舗の「在庫の動き」を把握しているケニーにとって、物資が不自然に消えることは、指紋を残すのと同じくらい明らかな証拠だった。

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