第13話:王宮の審判と「王家の紋章」
100店舗を目前に控えたケニーの快進撃は、ついに王都の主である国王を動かした。
「あまりにも大きな商売になりすぎた。一度、その『仕組み』とやらを余に説明しに参れ」
王宮に呼び出されたケニーを待っていたのは、得体の知れない経済勢力を警戒する鋭い視線と、その利権を丸ごと飲み込もうとする重鎮たちの欲望だった。
1. 国家による「接収」の危機
「ケニーよ。お前の広げた網は便利だが、一商人が握るには過ぎた力だ。この『コンビニ』とやらの全権を王家へ委譲せよ」
王宮の官吏たちの言い分は、実質的な「強奪」だった。彼らは、システムさえ手に入れれば自分たちでも運営できると高を括っていたのだ。
だが、前世で「本部の論理」という地獄を生き抜いたケニーにとって、この展開は予測の範囲内だった。
「陛下、恐れながら申し上げます。このシステムは、私(本部)が24時間体制で100拠点の在庫、気温、馬車の速度、そして領民の需要を秒単位で管理し続けて初めて機能するものです。……物流の心臓部を切り離せば、数日で王都の食糧供給は麻痺するでしょう」
ケニーの言葉に、広間に緊張が走る。
「このシステムを回せるのは、私だけです。ですが、陛下。私はこの『果実』を独り占めするつもりはございません」
2. 「王家の紋章」という最強のライセンス
ケニーが提示したのは、奪い合うのではなく「共生」する道だった。
「今日から、我が店舗で扱う最上級の生鮮品や惣菜に、『王家の紋章』を冠することを許可していただきたい。コールドチェーンとトレーサビリティで守られた『絶対的な品質』に対し、王家がその『信頼』を保証するのです」
自動的な国庫収入: 紋章付きの商品が1つ売れるたびに、一定のライセンス料が王家へ自動的に振り込まれる仕組み。
絶対的なブランド: 王家が品質を保証した「24時間、どこでも買える食料」というブランドは、平民から貴族まで、あらゆる抵抗感を一掃する。
物流の守護者: 王家の紋章をつけた配送馬車に手を出すことは、国家への反逆と同義になる。
国王は、ケニーが提示した「何もしなくても莫大な富が転がり込む帳簿」の数字に目を奪われた。
「……面白い。その『紋章』、許可しよう。お前の言う通り、この複雑な仕組みを扱えるのはお前だけのようだからな」
3. 爆発的な増殖の始まり
王家という最強の「後ろ盾」を手に入れた瞬間、ケニーの拡大を阻む壁はすべて消滅した。
翌月から、王都周辺の主要街道には、燦然と輝く「王家の紋章」の看板を掲げた店舗が次々と出現。100店舗だった拠点は、瞬く間に150、200と膨れ上がっていく。
人々は、紋章のついた「淹れたてコーヒー」を飲み、紋章のついた「新鮮なおにぎり」を頬張る。
王都の利権を握っていた「御用達商会」は、もはやケニーの競合ですらなかった。彼らが数百年かけて築いた地位は、ケニーが王家と組んで構築した「信頼のシステム管理」の前に、一夜にして過去の遺物となったのだ。
20歳のケニーは、王宮からの帰り道、馬車の窓から王家の紋章が輝く新店舗の行列を眺めていた。
「……これで、誰も俺を止められない」
前世で搾取され、捨てられた男が、今や王家さえも自らの「システムの一部」として組み込み、世界を塗り替えていく。200を超える拠点は、もはやただの店ではない。大陸の心臓を、24時間一定の温度で脈打たせるケニーの身体そのものだった。
王家という最強の看板を得て、爆発的に増え続ける店舗網。
しかし、次なる課題は、これほど膨大な店舗を支えるための「店長の大量生産」である




