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第114話:組織の併合(ギルド幹部ケニーと、飲み込まれる伝統)

コンビニのレジで行われる「24時間即時査定」と、ケニーバンク直結の「ゴールドカード報酬」。この圧倒的な効率性を前に、旧態依然とした冒険者ギルドの窓口は閑古鳥が鳴いていた。

1. 跪くギルド幹部たち

「ケニー殿……いや、ケニー閣下。どうか、我がギルドの運営にその『システム』を全面的に導入させていただけないか」

王都にあるギルド本部の最高幹部たちが、ついにケニーの事務所を訪れ、頭を下げた。

彼らに残された道は二つ。ケニーの軍門に下って生き残るか、時代遅れの組織として破綻するか。

ケニーは、差し出された「名誉幹部」の証書を、検品作業のような冷ややかな目で見つめた。

2. 「看板」の掛け替え

「幹部、ですか。……管理職を増やすのはコストの無駄ですが、窓口を統合(一本化)できるなら、引き受けましょう」

ケニーが幹部職に就いた瞬間、各地のギルド支部には「24時間営業」の看板が並び、コンビニの店舗内にギルドの全機能が移設された。

冒険者たちは、もう薄暗いギルドの酒場にたむろする必要はない。

「依頼の受注から報酬の受取、ポーションの補充、そして夜食の牛丼まで。……全部ここで完結するんだな」

レジでカードをかざすだけで、討伐実績が国家の「信用スコア」に即時反映される。この「便利さ」という名の毒が、ギルドという独立組織のアイデンティティを、内側から溶かしていった。

3. 飲み込まれる勢い

「オーナー、これではもうギルドというより……『ケニー・コンビニ・ギルド部門』ですね」

ロイの言葉通りだった。予算、人事、物流、そして冒険者のランク付け。その全決定権が、本部の議決ではなく、ケニーが弾き出す「収益と信用のシミュレーション」によって決まっていく。

反発する旧勢力の幹部もいたが、ケニーバンクの口座を凍結されれば、彼らは部下に給料すら払えない。

「……組織を維持するのはしんどいですが、システムの一部にしてしまえば、これほど扱いやすいものはありませんね」

4. 49歳の「冷徹な包囲」

ケニーは、ギルドの最高会議の席でも、いつものコンビニ制服のまま座っていた。

周りの豪華なローブを着た幹部たちが、ケニーの顔色一つで「次の予算案」を修正する。

かつて、本部の理不尽な要求に胃を痛めていた一介の店主は、今や、異世界最大の武力組織を「店舗マニュアル」で飼い慣らす、巨大な支配者へと変貌していた。

「……さて、次はギルドの余剰戦力を、物流トラックの『護衛』として正式にシフトに組み込むとしましょうか」

コンビニは今や、国家の懐(銀行)だけでなく、国のギルドさえもその棚の中に並べようとしていた。

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