第113話:勇者の証明(ギルドとの融合と、黄金のライセンス)
ケニーの800店舗は、すでに地方における「冒険者ギルド」の出張窓口としての機能を果たしていた。魔物の素材や魔石の買取、そして24時間の依頼報告。だが、そこには常に「偽造」や「信用の低さ」という課題が付きまとっていた。
1. ギルドカードの限界
「オーナー、またです。地方のギルドで発行されたカードが、王都の検問で『信用できない』と突き返されました。冒険者の質もピンキリで、誰を信じていいのか……」
ロイの報告に、ケニーは手元の「ゴールドカード」を眺めて答えた。
「なら、混ぜてしまおう。ギルドの『武力』と、うちの『信用スコア』をな」
2. 「ケニー・アドベンチャー・ゴールド」の誕生
ケニーが打ち出したのは、冒険者ギルドとケニーバンクの「完全提携カード」だった。
これまでは別々だった「ギルド証」と「銀行カード」を一枚に統合。さらに、ケニーバンクが持つ「誠実な購買・支払い履歴」を、そのまま冒険者としての「信頼度」に反映させたのだ。
「どんなに強くても、店で暴れる奴や借金をバックれる奴にゴールドは出さない。逆に、コツコツと小さな依頼をこなし、納税を欠かさない者には、最高級の『黄金のライセンス』を与える」
3. どこのギルドよりも高い「格」
この提携カードの効果は絶大だった。
「ケニーの店のゴールドを持っていれば、王国の騎士団すら敬礼する」
そんな噂が広まるのに時間はかからなかった。なぜなら、そのカードの裏側には、800店舗が24時間監視し、ケニーバンクが保証する「嘘のつけない実績」が刻まれているからだ。
既存のギルド受付が「紙の書類」で右往左往する中、コンビニのレジでは、魔石を置いた瞬間に査定が終わり、その場でゴールドカードに報酬が振り込まれる。
「……効率化は、時に最強の武器になるな」
4. 49歳の「安全保障」
ケニーは、店内で誇らしげにゴールドカードを提示する一流の冒険者たちを見つめた。
彼らは今や、ケニーの「上客」であると同時に、店を守る「最強の警備員」でもあった。ゴールドの特権(VIPサロンや限定ポーションの優先販売)を失いたくない彼らは、店で揉め事が起きれば、ケニーが指一本動かさずとも自ら解決に動く。
「……自分の幸せを守るためには、周りに『守る価値がある』と思わせる仕組みが必要だ」
49歳の男は、自らの地位を「暴力」ではなく「利権と信用」で盤石なものにしていた。




