君の歌声はギフト
ライバーに転身したと知ってから半年、
【香咲のあ】のライブに行く。
配信は観てたけど、現地に行くのは初めてだ。
連絡先は友達だから知ってるけど、チケットを買ったことは言っていない。
仕事を定時で終わらせ、急いで繁華街のライブハウスに向かった。
地下の階段を下りて、受付に予約していたことを伝え、チケット代とドリンク代を支払った。
ドリンクチケットを受け取って、重厚な扉を開けると既にお客さんが集まっていた。
「へー立ち見なんだな。」
「見ない顔だけど、初めて?」
「ええ、そうなんですよ!友人にオススメされて来てみたんですが、よくルールとか分からなくて」
「ドリンクは、そこのカウンターで引き換えてもらえるよ」
「ありがとうございます!」
長老みたいな親切な人に教えてもらった。
RPGの勇者になった気分だ。
無事、レモンサワーを受け取り、立ち見の場所に戻る。
せっかくなら中央で見たかったけど、人気なんだな。
「お兄さん、誰のファンなの?チラシあるよ〜」
「あっえっと、香咲のあ、さんです」
「もしかして、最近よく、配信ライブに来てる人?」
「そうです、メガネのアイコンの」
「なんだ、そうだったんだ!これからよろしくね」
「はい、よろしくお願いします!」
ステージが暗くなり、ライブが始まる期待感が高まる。
さっきもらったチラシを見て、色んな人が出ていることに気づく。
鳴り止まない拍手とともに、幼馴染がステージに立っていた。
わぁぁ!とフロアが沸く
透き通るような歌声が聴いていて心地よい。
ペンライトを見よう見まねで振り、コールも一緒にした。
香咲のあは、3曲歌い終えて、周りをゆっくり見回すと
「わぁ〜みんなありがとう〜、こんなに来てくれたの!?」
フリフリの衣装を纏いトップバッターを飾った。
俺の幼馴染はアイドルになったようだ。
その歌声は長年彼女への思いを拗らせた俺への贈り物のように感じた。




