別人
その日は朝早くに目が覚めた。今日はお父さんが帰ってくる。長い間離れ離れだったから少しワクワクしている。でも、何だろう…
「胸騒ぎがする…」
「あら、由香さん。お目覚めになられましたか。」
「おはよう、仲田さん。」
部屋を出ると、仲田さんが廊下を掃除していた。
「おはようございます。朝食のご用意をしますね。」
私はリビングに向かう仲田さんを見送った後、お母さんの部屋に向かった。
「…」
お母さんの部屋に向かう途中、棚やタンスがあったが、どの家具にもほこり一つ無く、登り始めた太陽に照らされ、輝いていた。
「やっぱ仲田さんはすごいな…」
改めて仲田さんの凄さを知る由香だった。
夕方、玄関から音がした。私は仲田さんと玄関に向かった。
「誰でしょうか。」
「お父さんかな。」
私は玄関のドアを開けた。すると、目の前には筋肉がついた巨体を持つ男が立っていた。
「お父さん!」
すると男は笑みを浮かべ言った。
「ただいま。由香。元気にしてたか?」
「うん!」
私はお父さんの手を引き、台所へ向かった。
「……」
台所へ行くと、お母さんが居た。しかし、お父さんは再会を喜ばず、固まってしまった。
「?」
すると、突然二人は動き出し、抱き合った。お母さんの顔に一雫の涙が走ったのは気のせいではないだろう。
その後、私たちはそれぞれ近況報告を行なった。
深夜11時ぐらいだろうか。流石に眠くなってきたので、私は先に眠ることにした。部屋の外からは微かにお母さんとお父さんの笑い声が聞こえた。
「バン!」
と言う激しい音で目が覚めた。気になり、台所へ向かうと、地面には赤い液体が飛び散っていた。私は怖くなりすぐに台所に助けを求めに行ったが、目の前の光景が想像以上だったため、止まってしまった。地面にはお母さんが転がっており、お母さんの目線の先には、銃を構えたお父さんがいた。
「お父さん!」
私はそんなお父さんを止めるべく叫んだが、気にせず突っ込んでくる。近づいてきたお父さんは息が荒く、まるで、血に飢えた獣の様だった。
皆さんこんにちはいちごボールです。この作品の存在を完全に忘れており、月曜に急いで書いています。
次回「戦争狂」