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母上

「おかえりなさいませ。」

玄関から声が聞こえた。私は玄関に小走りで向かった。

「お母さん」

玄関に駆けつけると、仲田さんに荷物を渡すお母さんがいた。

「由香、元気にしてた?」

「うん。」

「仲田さんに迷惑かけなかった?」

「うん。勿論だよ。」

すると、お母さんは私をそっと抱きしめた。

「さすが私の子だ。」


仲田さん、お母さん、私の3人で食卓を囲むのは久しぶりな気がする。私の家族は、大きな炭鉱を持っており、あたり一帯を占めている。そのため、定期的に周り炭鉱を管理している。お母さんは何日も家を空けることがあるため、寂しくないよう仲田さんを雇った。お父さんは戦争に行っており、何年も会っていない。お父さんは優しく私たちのために尽くしてくれる頼もしい主人だった。お父さんが帰国するまで後1週間を切った。家はさらに賑やかになる。そう思っていた。

「仲田さん、今日もご飯美味しいよ。」

私はそう言うと、仲田さんは微笑んだ。

「さあ、お母様もどうぞ。お召し上がりください。」

「ええ。いただくわ。」

「!!」

お母さんはご飯を口に入れた瞬間、驚いた顔をした。

「これ、美味しいわね。」

「私の自信作なんです。」

私たちは食事を済まし、仲田さんは食器を片付けていた。

「ねぇ、お母さん。」

「ん?何?」

「お父さん元気かな?」

「きっと元気だよ。」

「会うの楽しみだね。」

「そうね。」

そう、私たちは知らなかった。戦争が、どれほど精神に影響し、人を狂わせるかを。

次回「別人」

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