表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/12

2、小蓮拉致監禁される

小蓮(しゃおれん)は目の前のご馳走を見て、よだれを垂らしていた。


あの後、小蓮はあっさり武人の男に拉致されてしまった。男は小蓮を小脇に抱えると診療所の裏口から出て、黒い馬に小蓮を乗せて連れ去った。その際に、小蓮のお腹が盛大に鳴っていた。

馬は首都の中心部に向かい、大きな屋敷に入った。馬から降りるとまた小蓮は小脇に抱えられて、屋敷の奥にある、小さいこの部屋に入れられた。小蓮を円卓の椅子に座らせると、使用人がご馳走を持って入ってきた。円卓の向かいには男が座る。ご馳走を並び終えると使用人が出て行って、部屋は二人きりになった。


「食べろ」

「いただきます」


小蓮は、連れてこられた理由が分からないが、お腹がすきすぎて夢中で食べた。病気の事を聞かれたと思ったのかな? 最後の晩餐だろうか…


「お前は今日、誕生日か?」

「ぶほっ!」 油断した…!


もうとりつくろえないので、小蓮はあきらめて、黙って食べ続けた。その件なら殺されることはないはず。でも、知られていない伝承を知っている人に、また会うなんて…


「なぜ、分かったんですか?」小蓮は、気になって聞いてみた。

「今朝、光の玉が現れてこう言った。


『昼過ぎに王医師の元へ診察に行け。その後会った娘が、伝承の娘だ』 


と言われた」


小蓮は、ご馳走をほおばったまま絶句した。

(伝承の娘が決まっていたように、相手も決まっていた!?)とか?

(まただまされた! 今度は光の玉に__ )すぐに腹が立って、苦々しく思う。


男は、今まで無表情だったが、思わず笑みが出て満足そうな顔をした。当然だ、伝承の娘を手に入れたのだから。

「我が名は、帝国の青の大将軍、(たい) 藍英(らんえい)だ」


泣く子も黙る、最年少の青の大将軍は聞いたことがある。先帝の時代に先代が戦死したので、戴家の若き当主でもある。


小蓮はとりあえず、ご飯だけは食べ続けた。



その後は尋問だった。とりあえず、大まかに先生とのことを話した。多分、若返る話は先生が付け足した嘘だろうなと思った。

「お前は小蓮で、薬師(くすし)() 師念(しねん)の弟子。その老師が、伝承の事を知っていたのか…」

「はい」

「分かった。お前を狙う奴が他にもいるかもしれないから、ここからは出るな。お前の存在は、屋敷の者にも名前は伏せて、客人とだけしておく」

そう言うと、藍英は出ていった。


(私はどうすればいいの?)ぽつん


すぐに侍女がやってきて、お風呂の後に、目立たない落ち着いた色合いの綺麗な着物を着せてくれた。

「お嬢様は、離れからは出ないようにとのことです。入口に見張りがいますので、そこまでは自由になさってください」


離れと母屋は渡り廊下で繋がっていて、決まった人しか出入りできないようにするため衛兵が立っていた。


監禁された…

とりあえず、足取りが消せたのは良かった。でも、結局二択なの? しかも一人は、光の玉の推し。でも選ぶのが私なら、主導権は私にあるはず!汗。

小蓮は一連の出来事に、目がグルグル回りながらも、自分を励ました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ