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File 00 ■■■■■■■

 児童公園に隣接する雑木林の奥に、奇妙な形状の石碑と、古びた小さなお社があることを覚えているのは、近隣に古くから住んでいるお年寄りだけだった。


 玲子が個人的なフィールドワークで取材したとき、孫がすっかり相手にしてくれなくてと饒舌だった彼らの口は、その話になると一様に重くなった。


「ミヌロサマは、おっかねえ神様だ。さわるもんじゃねえ」


 彼らは口を揃えてそう言った。

 そんな中、たまたま道端で出会ったしわくちゃの老婆だけが、少し違った話を聞かせてくれた。


「ミヌロサマ? そらあ読み違えだ」


 手渡したメモに彼女は、驚くほどの達筆でこう書いてくれた。


 × ミヌロ さま

 ↓

 ○ 三叉口 さま


三叉(ミツマタ)……それとも三叉口(サンサグチ)? これ、なんて読むんですか?」


 三叉に裂けた口──つい先日仕入れたばかりの舌裂け女の噂を思い浮かべつつ、問いかけた玲子に、老婆は答える。


「これは三叉口(ミシャグヂ)(サマ)とお呼びするんよ」

「ミシャグヂ……サマ……それって……」


「あー……若い娘さんは、あんまり忌名(そのな)で呼ばんほうがええか」


 そして老婆は歯のない真っ暗な口で、愉しげに笑った。


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