変わらないようで、変わっていくもの
※注意 見る人の中にはこの小説の内容は全てフィクションで、実在する人物とは一切関係ありません
お題「犯罪者」「モンスターハンター」「不正」「ほうじ茶」「同じセリフを3回」
20XX年、とあるマンションの一部屋にて……
「ふぅ……」
「どうしたの?ため息なんかついて、っていつものことか」
「まぁな、こういうのを見てるとどうしても過去のことがな……」
僕、有馬 倫太郎は隣でため息をつきながらテレビのニュースを見ている立花 冬馬と他愛もないことを話していた。
「あー、例の元首相暗殺事件の件?なんかあったんだっけ」
「なんでもその元首相、様々な大学の不正を賄賂で揉み消してたらしい」
「そんなことが起こりえるもんなんだね……まぁ現役じゃなくなったとはいえ、あんな警備がザルなら仕方ないか」
ニュースで流れていた元首相暗殺事件の事をぷつぷつと話しながら、冬馬はこう話した。
「俺は犯罪者の家族だから、こういう蛮行に及んだ犯人のことも自分と重ねてしまってな……」
「もう、まーたその話?あんまり自分を責めないでよ?心配になるから」
「………すまない」
実は冬馬の両親は無差別殺人事件を共同で起こしており、その関係で他人から色々とあらぬ疑いや誹謗中傷を受けており、今でもそのことがトラウマになっているらしい……とはいってもそれには冬馬ご責任感強すぎるのもあるだろうけど
「まぁひとまず、モンスターハンターの資料集とか一旦片付けちゃうね」
「了解」
そういって二人でコツコツとそのあたりに散らばってた資料なりを片付けてると、
「ただいまぁ〜疲れたぁ」
「だーからいつまでも引っ付くんじゃねぇっての!」
こんなじゃれ合いをしながら年がひとつ上の藤堂 千春さんとちょっとガサツな口調で帰国子女の幼馴染である藤川・リリア・琴音が戻ってきた。この二人と僕と冬馬はここの一室でルームシェアして暮らしている。
「おかえり、学校どうだった?」
冬馬と僕は諸事情もあってリモート授業ではあるものの二人と同じ高校であり、二人は至って普通に登校しているためそうさり気なく聞いてみた。すると……
「特にこれと言って変わったことはねぇな、まぁ、この先輩は相変わらずだが」
「えぇ〜それほどでも〜」
「だから引っ付きすぎって言ってるだろうがこのバカ先輩!」
そういって無理矢理千春さんを引き剥がしてぶん投げた琴音、年上にも容赦なさすぎてちょっと怖い……
「痛いいい」
「リリア、流石にやりすぎだ」
「いや、この先輩はこんくらいしないと駄目なんすよ」
「えーん、琴音ちゃんがいじめるよおお、冬馬助けてえええ」
そう言いながら冬馬にすがりつく千春さん、こんなんでも一応決めるときはきっちり決める人だから憎めないんだよねぇ……
「はぁ……やれやれ、ホントに世話の焼ける先輩だ」
そう言いながら千春さんの体をさする冬馬、まるで赤ちゃんをあやしてるような……いや、これ以上は言わないでおこう
「あー!そういえば課題まだやってない!どうしよおおお」
千春さんが急にそう叫んだのに驚いたのか、咄嗟に千春さんの体を突き放す冬馬。
「ひでぶ!」
あーあ……案の定ソファにぶつかっちゃって……
「はぁ……はぁ……脅かすなって、過去がよぎる……」
息を切らしながら冬馬はそう言った、実際幼い頃恫喝などを毎日受けていたのもあって急な大声には今でも驚いてしまうことがあるらしい、そのせいでお化け屋敷なんかも行かないし。
「過去といえば、冬馬はまだその時の夢見たりとかすんの?」
あ、思ったことをすぐ口にする幼馴染が、その言葉で相手をどれだけ傷つけるかを知らない幼馴染がなんか言ってきた。
「あぁ、未だに夢に見るな……正直まだ自殺願望なんかは消えてない……」
冬馬は力なくそう呟いた。
「うーん……アタシが言えた口じゃねぇけどさ、やっぱし冬馬は気にしすぎじゃねぇの?」
「こらこら、冬馬にたいしてそんなこと……」
「別にアタシはアンタの親のことは気にしてねぇし、アンタの親に殺されたクズなアタシの姉と父親のことはどうでもいいって思ってるからさ」
そう、琴音の父親と姉は冬馬の両親を手にかかってもうこの世にはいない、でもそのことについて琴音ご冬馬の事を恨む素振りなんてのは全然なかったんだ……
「……そういうものなのか?」
「少なくともアタシにとっちゃそういうもんなの、だからそんな気に病む必要はねぇって」
「……ありがとうリリア、少し気が楽になった」
あ、冬馬が少し微笑んでくれた、こういう優しい笑顔やさりげなく相手を気遣う優しさだってあるのになぁ……って思ってたら
「べ、別に感謝なんていらねぇから!」
琴音が顔を赤らめながら冬馬から目を逸らしてそう言った、琴音はいつも冬馬に対してツンデレなのだ。
「あ、出たねぇ琴音ちゃんの冬馬に対するツ・ン・デ・レ♡」
「先輩のそのいじりも大概ですよ……また関節技決めますかねぇ……」
そう琴音が圧をかけると
「あ、サーセンアレダケハカンベンシテクダサイ」
千春さんが縮こまってしまった
「……って!そんなことしてる場合じゃない!あ〜課題どおしよ〜〜うう〜〜」
そうウダウダしだした千春さんに
「まぁまぁ、これでも飲んで落ち着いてくださいよ」
「ふぇ?……これってほうじ茶?」
千春さんがキョトンとしだしたので
「はい、隠し味にジンジャー入れてジンジャーティー風にしてみました、これで元気出して課題に励めばいいじゃないですか」
「倫太郎くんありがとう〜、じゃあ早速いただきまーす……うーん!きくぅ〜!体がぽかぽかしてきて課題あっという間にこなせそうだよ!ありがとね〜」
「いえいえ、お役に立てたならなによりですよ」
「こなせそうって言うんならさっさと終わらせたらどうですかね」
「まぁ、藤堂先輩はいつもこんな感じだしな、俺としてはこういった一面を見せていてくれたほうが気が楽だ」
「そういうもんですかねぇ……」
「まぁ、そだね」
二人と一緒に千春さんのことで苦笑した。
「そういえばリリア、例の暴力団の動向はどうだ?」
冬馬が急に重めの話をしてきた、実は冬馬と琴音はとある私設情報機関、いわゆるスパイとして影ながらこの街を守っている、まぁ、関係者の僕と千春さん以外でこのことを知ってるのは文字通りその私設情報機関にいる人だけで、みんなにはナイショなんだけどね。
「上の報告だと特に目立った活動はしてねぇみたいだな、まぁまたデカい動きがあったら伝達が来るだろ」
「そういうものか……まぁ、何事も起きないのが一番だが」
「しかしふたりとも凄いよね、そうやって街を守りつつ高校の授業もこなすなんて、僕には出来ないよ」
「まぁ、あの組織にはテスト全教科70点以上取らないと除名される制度あるからな」
「そうなんだよなぁ……学業と任務の両立ができねえといけないからな、まぁ、なんだかんだ言いつつアタシも冬馬も余裕だがな」
そうやって二人ともなにもないかのように話すけど、きっと裏では命がけで任務とかこなしてるんだろうなって……思っている、だからこそ……
「まぁ、今は少し心身を休ませてよ、どうしても心配になっちゃうからさ」
「……ほんと倫太郎は心配性だな」
「だって二人とも頑張ってるじゃんか、だからせめてこういうときくらいは無理しないでよ、出来ることなら何でもするからさ、ね?」
そうおどけなく笑ってみる、こういったありふれた日常がいつまでも続くように……
「……そうだな、まぁ俺は過去にしっかりと向き合うためにあの組織に入ったまであるが」
「まぁ、アタシ達のことは別に気にしなくても無問題だ」
二人とも……もしホントに会えなくなる日が来るかもしれないってのに、とんだ鋼鉄のメンタルだ。すると……プルプルプル
「あっと電話だ……はい、はい、了解です、すぐ向かいます」
「……もしかして何か動きが?」
「みてーだな……はぁ、ダリぃけどやるかぁ」
「怠いとか言っておきながら、任務中での動きなんかは凄いからな、リリアは」
「言うほどでもねぇよ、アンタの刀捌きの方こそ、人間の次元をとっくに超えてるっての」
「な〜にぃ〜?また任務ぅ〜?」
「ああ、どうやらそうみたいだ」
「大変だね〜、まぁ……しっかりやんなよ、そんでちゃんと二人ともここに戻ってくるんだよ?いい?」
「……ああ」
「言われずとも、アタシがいねえと先輩は駄目になるかんな!」
「二人とも頑張ってね」
こういうときは真面目になるし、頼れる先輩になるんだよね、千春さんは。
「僕も同じ気持ちだよ、二人とも無理しないでね」
「ああ、ありがとう、そんじゃいってくる」
「さてと……そんじゃ行きますかね」
「「行ってきます!」」
二人はそう言ってマンションの部屋から出た
正直、不安じゃないかと言われれば嘘になる、でも……それでも僕はあの二人ならきっと大丈夫だと思えるのだ、僕のそういった気持ちは二人が組織に入って間もない頃から変わっていったんだと思う……組織に入ってから考え方が変わっていった二人のように……
………変わらないようで、変わっていく……
[キャラクター紹介]
有馬 倫太郎 男 17歳
語り手であり、個性的なルームメイト3人のまとめ役
組織の外部協力者であり、ホワイトハッカーとして優秀である
この話はこの人の視点で話してる
立花 冬馬 男 17歳
男と女が混同した体型をもつ悩めるクールガイ
過去、両親ご起こした無差別殺人事件の煽りをうけ、数知れない誹謗中傷を受けており、本人は未だにトラウマを抱えている、その過去と向き合うために組織に入った
組織内でのコードネームは「影狼」、鞘なしの西洋風日本刀(モンハンで例えるとブラキ太刀とかそんな感じ)を振るい、悪を断つ
比較的常識的だが責任感が強く抱え込みがちな一面も
倫太郎含めルームメイトには心のなかで感謝している
藤堂 千春 女 18歳
ルームメイト内での最年長
普段はまったりおっとりはんなりしててだらしなく過ごしており、琴音に関節技を決められる他、ルームメイトは彼女に対して様々な苦労をしている
しかし決めるときはきっちり決める姉御のような一面も持ち合わせている
組織の外部協力者としては、事後処理などを担当している、冬馬に対して彼女のごとく引っ付いたり甘えてくるが冬馬自身はそんなつもりはないらしい
藤川・リリア・琴音 女 17歳
帰国子女であり、倫太郎の幼馴染
クズだった姉と父親への反抗心から、口調が荒っぽいが、情に厚く他人のことを放っておけない
姉と父親を殺した親をもつ冬馬のことに関しては特段恨んでおらず、むしろ心配している
倫太郎に関しては野暮ったいとは思っているらしい
先輩である千春に対しては敬語なんかを織り交ぜつつもなんか先輩として尊敬しきれていないそう
組織には、実質冬馬の目付け役みたいな感じで加入したが、口では文句を言いつつも組織に入ったことに関しては不満はない模様
組織内でのコードネームは「ユキムラ」
諜報・防諜・隠密のエキスパートであり、バレたときもクナイでの近接戦や手裏剣での遠距離攻撃で対処していく