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異世界から転生した勇者より宝箱配置人の方が過酷だった件  作者: UMA666
第三章【導かれそうで導かれない時々導かれし者達編】
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第九十四幕【vsメンダコ娘】

「残念ですよ…コチラは争いが無い様にと思っているのに…」


イクリプスはヤレヤレと頭を横に振りながら持っていたスティックの持ち手を引くと中からスッとレイピアが出て来た。


レイピアの切っ先をシュッと宝箱配置人一行に向ける。


「ま、人間は争い好きだって姫様も言ってたし。こうなる事は分かってたけどね。でも、こうじゃなきゃ楽しくないよね」


バッカルはガジガジと猫のぬいぐるみ【ティキ】を噛みながら言う。その目はキッと瞳孔が開いている。


「気を付けて下さい!今まで戦って来た何よりも…彼らはヤバそうです!」


イズミルが身構えながら言う。


「まぁ…そうだろうな。魔王を守る四天王…勇者が後半に戦う様な相手が四人集結してんだからな」


ダルクスは言って、吸っていたタバコを地面に落とし足で揉み消す。


「ガキんちょ下がってろ。お前に敵う相手じゃない」


「何言ってるんですかっ!私が敵わなかったら誰に敵うって言うんですか!!」


そんなイズミルを見て、バッカルが目をキラキラとさせる。


「ねぇ、ねぇ!あの娘良いなぁ〜!あの娘はボクに任せてくれないかなぁ?」


顔をキラキラさせながらイクリプスの裾を引っ張るバッカル。


「バッカルくん…それは良いですが…彼らは"生きたまま姫様の元に連れて行く"という話になってるのは分かってますよね?」


「分かってるよ分かってる!まぁ"子供ながら"に頑張ってみるよ!」


「心配ですねぇ…」


バッカルはニコニコと怪しげな笑顔でイズミルを見つめる。

イズミルは顔を引き攣らせて一歩二歩後ずさる。


「うっ…私…あの子苦手です…」


「では、あの娘はバッカルくんにお願いしましょうか。良いですか、彼女はああ見えて背負ってる呪術書から…」


「分かってるってば!ねぇ、イズミルちゃ〜ん、ボクと遊ぼうよ〜」


無邪気にイズミルの元に駆け出すバッカル。


「ひ、ヒィィィ〜!!ちょ、ちょっと待って下さいっ!!」


イズミルは思わず逃げ出す。

そのイズミルを楽しそうに追い掛けるバッカル。


「ま、待て!!」


リューセイも追いかけようと駆け出した所で、目の前をフラップジャックが塞いだ。


「貴方の相手は……………ジャックが……………」


「ジャック、そちらの方は一度姫様を打ち負かした勇者ですよ?私が相手した方が…」


イクリプスが言うがフラップジャックは首を横に振る。


「……………ダメ……………。ジャックがやる……………。因縁の相手だから……………」


「因縁って…僕、貴女に会った事ありました…グボッ!!」


言い掛けた所で腹に衝撃をくらい、リューセイは後方に吹っ飛ばされてしまった。


「リューセイさん!!」


リーサが叫ぶ。


「リーサさん!リューセイは大丈夫です!ガキんちょの方を追って下さい!」


ダルクスにそう言われ、リーサは頷きバッカルに追われ逃げたイズミルを追いかけていった。


「では、あの僧侶は私に任せろっ!ワッハッハッ!!」


高笑いしながらリーサを歩いて追いかけるランドルトブラック。


「走れっ!!」


そんなランドルトブラックに叫ぶイクリプス。

コホンと咳払いしてユーリルを見る。


「ゲッ!わっ、私は戦闘力は無いのでっ!!」


そう言ってユーリルはピューッとその場から逃げていった。


「フッ…という事は…私は貴方を…という事ですね」


そう言ってダルクスに目を向けるイクリプス。


「…ったく…。なんでこう次から次へと邪魔が入るかな…」


「貴方達が邪魔だと思われているんですよ。まぁそんな問題も…気にしなくて良くなりますよ…。私達に黙って付いて来て頂ければ…最期に聞きますが…大人しく我々に付いて来る気は…?」


「悪いな。そういう訳にはいかないんだよ」


「残念です………では、少し強引に…行かせて頂きますっ!!」


イクリプスはレイピアを構えてダルクスに斬り掛かった!




〜〜〜〜〜




ドシャッ!


元いた場所からかなり吹っ飛ばされたリューセイ。やっと地面に落ちた。


「グッ………!!な、何をされたんだ!?」


腹を抑えながら起き上がるリューセイ。

その眼の前の上空から、フラップジャックがゆっくりと優雅に降り立つ。


「リューセイ……………ずっと会いたかった……………」


「俺がアンタに何したって言うんだよっ!!」


「……………リューセイ……………ドーラちゃんに抱きついた……………」


「…へっ!?」


「ジャックは……………指一本触れた事……………無いのに……………」


「ま、待てって!それは…その…!色々あってだな…!」


「ジャックは……………陰から見る事しか……………出来なかったのに……………」


表情は全く変わらず、常に目を瞑って口に手を当てて喋るフラップジャック。

怒っているのか…?悲しんでいるのか…?表情からは一切読み取れない。


「ど、ドーラが好きなんだな?わ、分かるよ。確かにアイツは魅力的な…グブッ!!」


ドスッ!!と再び腹に衝撃を喰らい、その場にしゃがみ込んでしまうリューセイ。

今度こそ見えた。

フラップジャックのタコの足の様になった髪の毛が伸びて攻撃してきたのだ。


「馴れ馴れしい……………ドーラちゃんを……………呼び捨てにしないで……………」


「ダハハハ!!ニーチャン、気を付けた方が良いで〜。ジャックはのぉ、こう見えて四天王に選ばれるくらいの実力の持ち主じゃけぇ。舐めとったら痛い目じゃ済まんけぇの!」


フラップジャックの頭上でプカプカと日傘の役割をする黒いメンダコ【フリル】が言う。


「成る程…"その足"を使って戦う"タコ娘"って訳か…」


リューセイは立ち上がって光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)を構えた。


「気を付けよジャック!来よるで!」


「……………うん」


フラップジャックは頭のタコ足をウネウネとくねらせ、バシバシッ!と地面を叩く。


お互い睨み合った後…

リューセイは地面を蹴ってフラップジャックの元に駆け寄った!


すかさずフラップジャックは頭の四本のタコ足を伸ばして迎え討つ!


バシッバシッ!!


弾き飛ばそうと伸びてくるタコ足を光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)で叩き落としながら急速にフラップジャックの元へ接近するリューセイ。


目の前まで来た所で振り被った光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)を振り下ろす…!!しかし、フラップジャックはピョンと跳ね跳び避けた。

そのまま空中からタコ足を地面に向かって突き伸ばす!


ドドドドドッ!!


リューセイも回避と光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)での防御を組み合わせて避け切る。


ストッ…


降りて来たフラップジャックは息一つ切らして居ない。


「やるなぁ…伊達に魔王軍四天王を名乗ってない訳だ…」


「……………そうでないと……………ドーラちゃんを守る事は……………出来ないから……………」


バシュッ!!


タコ足は地面を思いきり叩く。

その力で身体を宙に飛ばしたフラップジャックはリューセイに飛びかかる!


「チッ…!」


光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)を振り被り、飛んできたフラップジャックの脇腹に容赦無く叩き込む!!


ドツッ…!!


「当たった…!!」


しかし、フラップジャックは脇腹で一撃を受け止め、食い込んだ光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)を腕で掴みガッチリと固定する。

まるでダメージを受けていないようだった。


「なっ…!?」


次の瞬間、フラップジャックの頭のタコ足がシュルシュルシュル!っとリューセイの腰に巻き付く!


「ダハハハ!!軟体動物に打撃が効く訳ないじゃろうがっ!!衝撃は全て吸収してまうんじゃっ!!」


「フリル……………うるさい……………」


腰に巻き付いたタコ足はリューセイの身体を持ち上げる。


「うわ、わ、わ!?」


掴んだまま、地面にリューセイを叩きつける!!


ドゴーーーン!!


「グボハッ!!!」


そのタコの様な髪で掴んだままあっちこっちの地面に何度も何度も、リューセイを叩きつけた!


ドゴーーーン!!!


バゴーーーン!!!


グシャーーーン!!!


「ダッハッハッハッ!!そのまま棺桶になるまで叩き続けてやれジャック!!」


「待てっ!!」


バゴーーーン!!!


「ちょっ!!」


ドゴーーーン!!!


「タンマタンマッ!!!」


グシャーーーン!!!


「ストーーーップ!!!」


「……………何?」


必死のリューセイの叫びにタコ足は巻き付かせたまま一旦手を止めるフラップジャック。


「お、俺の目を見ろっ!!」


キラキラキラ


リューセイはここぞとばかりにキラチャームを発動し…


バゴーーーン!!!


ドゴーーーン!!!


ドゴシャーーーン!!!


「ちょ、待て!!今の無し!!今のは違うッ!!」


「……………何がしたいの?」


「ど、ドーラの秘密情報を知りたくないかっ!?」


「……………」


「騙されるなジャック!!そう言って時間稼ぎしようとしとんじゃ!」


「まぁ、聞けって!!ここだけの話…俺はドーラがどんな下着を付けてるか知ってる…」


「……………!」


「…知りたくないか?いーや、知りたいハズだ!ドーラが好きならな…!!」


「適当な事言ってる……………」


「う、嘘じゃないっ!!俺は見たんだ!!戦いの最中、彼女のスカートの…中を…!!」


「おいっ!!黙らんかいっ!!そんな事でジャックが手を止める訳…」


「……………聞きたい」


「ジャック〜!?」


「み、耳を貸せ…!」


フラップジャックはリューセイを巻き付けたタコ足を自分に近付ける。


「……………言って」


「ドーラは…ドーラはな…」


リューセイはフラップジャックに顔を近付ける。しかし、本当の狙いはフラップジャックが持っている光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)…!!


「ドーラはな…」


手を伸ばし、光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)に手が届く!すかさず奪い砲身をフラップジャックに向ける!


「黒の紐パンッ!!!!!」


カチッ!


バギョーーーーーン!!!!!


「……………!?」


フラップジャックは咄嗟にリューセイを投げ飛ばした!

ギリギリ、ビームの直撃を避けた。


「グエッ!!」


地面に落ちるリューセイ。一緒に飛んできた光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)も回収する。

自然に溜まってた分のエネルギーを使い切った。ユーリルが居なければ最早ただの鉄のバット…


「ユーリルッ!!どこ行った!?」




ーーーーー




「アホぉ!!!何油断しとんじゃ!」


「……………黒の紐……………パン……………」


「ジャック!!……………お前ちょっと変態っぽいぞ!?」


「……………」


バシッ!


フラップジャックは静かにタコ足でフリルをシバいた。




続く…

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