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異世界から転生した勇者より宝箱配置人の方が過酷だった件  作者: UMA666
第四章【衝突、すれ違い、解放戦線…編】
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第百六十七幕【大聖堂決戦】

「グアッ…!!!クッ…!!」


ゴロゴロと床を転がった後、大袈裟にヤラれアクションを取るランドルトブラック。

身体からは"ジュ~"という音と共に湯気が立っている。


「大袈裟にのたうちまわってる場合かブラック…!!」


バッカルがそう叫びながらクレナイの右手から放たれる無数の溶岩の弾を次々と壁に張り付いたり床に伏せたりと軽やかに縦横無尽に避けている。


「オイッ貴様ッ!!子供ばかりを狙わず、この私と戦えッ!!」


センチュレイバーEX (ソードモード)の切っ先を向けブラックは声を上げる。


しかし、それを無視してクレナイは攻撃をやめない。


「…このッ!!」


ブラックは床を蹴ってクレナイに再び向かい、センチュレイバーEXを振りかぶる。

バッカルに向けている右手に目掛け振り下ろす!


ズバッ!!


右腕を切り落として直ぐ腹に蹴りをいれる。

クレナイは後ろに飛ばされるが身体をよじって転げないように膝をついて着地する。

切り落とした腕は床に落ちてドロリと溶岩になって溶け…その頃にはクレナイの腕も再生して元通りになっている。


「クソッ…。切っても切っても…直ぐ再生する…」


「無駄なんだよッ!!何やったってなぁ!!」


ボバッ!!


「どわっ!」


ブラックの真後ろで火山が噴火するかの如く、床が破裂し溶岩が噴き出す。

ブラックはそれに吹き飛ばされ、クレナイの元へと放物線を描き落ちていく。

クレナイが目を光らせ右手に溶岩を溢れ出させながらブラックを迎え討とうとする。


ブラックは空中で身を翻してセンチュレイバーEXをシュヴァルツモードに変形、直ぐさま発砲!


バチュバチュバチュ!


しかし手応えは無い。クレナイの身体を弾が通り抜ける。通り抜けたあとの傷は何事も無かったっかのように消えていく。


「グッ…!」


クレナイの元に落ちたブラックはそのまま喉輪をかけられる。バッカルが応戦しようとするが、クレナイはもう片方の腕をバッカルに向け溶岩を飛ばし近づけさせない。


「ヘヘッ…ブラックさんよぉ?アンタその程度か?まだ本気の力を出してねぇだろ?」


「ぐ…ヒーローは………いつでも………全力だッ!!」


「いや違うな。お前はまだ本領発揮出来てねぇ。それは…あのガキが居るからさ」


「何ッ…?」


「隙まみれなんだよ。ガキの動向ばっかり気にして、ガキを守ろうとばかり動いているお前はな!」


グググ…


喉を掴みブラックを持ち上げるクレナイ。

その腕から溶岩を溢れ出させる。


「ぐわぁぁぁ!!!」


「子供大好きなロリコンヒーローさんよ。お前があのガキとここに来る事は想定されてたんだ。子供を守る事を使命にしてるお前はあのガキと行動するハズだと、全部クルブシの言ってた通りだよ。そしてそれが仇となって…お前は負けるのさ!」


「ぐぐ…小癪な…ッ!!」


藻掻き苦しむブラック。


「チッ…!!ボクをダシにしてくれたって訳かッ…!!ちょっとムカつくなぁそれ!!」


瞳孔の開いた目をキッと光らせ、飛んでくる火球を避けるバッカルは天井から下げられたシャンデリアに飛び移り…


「ブラックッ!!!」


そう声を上げてシャンデリアからクレナイ目掛けて飛び降りる。

バッカルの後頭部がバカァッと米印に開きクレナイに向かって落ちていく。

クレナイはそちらに手を向け火球で応戦する!

口の中に攻撃を受けながらもクレナイ目掛けて落ちていくバッカル。


ブラックは咄嗟に大きく身体を揺らして、その勢いでクレナイに両足で蹴りをお見舞いする。


ドンッ!


蹴りを食らって後ろに後ずさるクレナイに直後!


バクッ!!!


バッカルの大きな頭の口はクレナイをそのまま上から飲み込んだ。


「うえっぷ…女の子以外を口に含むの嫌なんだけどな…」


「でかしたぞバッカル!!」


ブラックがガッツポーズを取る。

バッカルの後頭部はクレナイを飲み込み大きく膨れ蠢いている。


「切り刻んでも再生しちゃうなら…この中でゆっくり消化してあげるさ…」


まるで頭に大きな蕾がある様に膨れた後頭部がモゴモゴと蠢いているが…次第に白い煙がジューと上がり始める。


「………ッ!!!あ、アチチッ!!!」


バッカルがジタバタと焦り顔で地団駄を踏み始める。


「クソッ…やはり中で抵抗するか…。バッカル、大丈夫か!?」


「中で溶岩を噴き出して暴れてるよ…!!熱すぎて咥えてられないかも…でも大丈夫さ…!!口の中が焼き爛れたって…離すもんかッ…!!」


苦痛に顔を歪ませながら耐えるバッカルを見ていられなかったブラック。


「無茶をするなバッカル!!」


バッカルから少し離れベルトに手を当て息を大きく吸うブラック。


「バッカル!!合図をしたら口の中のそいつを頭上に打ち上げろ!!良いな!!打ち上げたら直ぐに身を屈めるんだ!!分かったな!!」


「ダメだ!!このまま口の中で消化して…」


「良いからやるんだ!!バッカル!!!」


「あーもう!!どうなっても知らないぞッ…!!」


ブラックはベルトの"ムカデのバックル"に手を当て力を溜める。


キュイィィィィィィン!!


次第に高速で回り始めるバックル!


「今だ!!バッカル!!!」


ブラックが声を上げる。

バッカルは言われた通り、口の中のクレナイを思いっきり頭上に吐き飛ばし身を屈める。


「ランドルトォォォォォ!!!!!光線んんんんん!!!!!」


バギョンッ!!!!!


ベルトのバックルから放たれる高出力の破壊光弾が打ち上がったクレナイに命中!!


ドゴーーーーーーーーーンッッッ!!!


バラバラに砕け散るクレナイの身体。

そして、凄まじい破壊力の光弾はクレナイどころか大聖堂の半分を吹き飛ばし厚い雲に覆われ雨が激しく降るすっかり日が沈み暗闇となった外が丸見えになってしまう。大聖堂の中に外から雨が入り込んでくる。


身体を屈めていたバッカルはゆっくりと顔を上げる。


「うへ〜…派手にやったなぁ〜…でもこれで流石に…」


「いや、まだだ…」


ブラックが指した方向に落ちている"クレナイの残骸"。

その他砕け散りバラバラになった部位は床に落ちると同時に溶けて蒸発するも、その部位だけは白い蒸気を発しながら断面をブクブクと泡立てている。


「嘘だろ…?ここからも再生するのッ!?」


バッカルは顔を青ざめさせる。


「バッカル…。ここは私に任せて、お前はフラップジャックを呼んで来るんだ…彼女の力を借りなければ…到底奴らには勝てんッ!!」


「でもブラック一人じゃ…!!」


「一人の方が思う存分闘える!!バッカル、頼んだぞ!!」


戸惑いながらもバッカルはコクリと頷き大聖堂を後にする。


バッカルが大聖堂を出て行ったのを確認し、クレナイに向き直るブラック。


「………さて…。どれだけ時間稼ぎが出来るかな…」


センチュレイバーEX (ソードモード)を構え。

迎え討とうと体勢を取るブラック。

その胸の内には恐怖や恐れなど一切無く、ただただ正義に対する情熱の炎だけが燃え盛っているのだった。




〜〜〜〜〜





ドゴーーーーーン………


「………今のは………?」


地上の方で大きな音が鳴ったように聞こえ足元も若干揺れたのが伝わる。


長い長い地下へと続く真っ暗な階段をクルブシの案内でかなり降りていく最中のフラップジャック。

明かりはクルブシの持つ松明の火の光だけだ。


「私達は魔法の研究もしているんです。その兼ね合いで…良く、色々爆発したりするんですよ」


ハハハと、申し訳無さそうに言うクルブシ。


「……………」


ジャックは付いて来るフリルにクイッと指で近くに来いとジェスチャーする。


(フリル……………音の原因を探って来て………………それと……………他の皆の場所も………………)ヒソヒソ


(………ええんか?ジャック一人で………?)ヒソヒソ


(……………フリルが居ても………………大して役に立たない……………)


(ぐぬぬ………)


(……………早く………………行って……………)


(分かったわい………)


真っ黒な日傘メンダコのフリルは、ジャックに言われ来た道を引き返して行く。真っ黒な身体はスゥ…と闇に溶け消えていった。


「さぁ…そろそろ着きますよ…。そこにスコピール姫がいらっしゃいます」


階段の先に、光に灯され両開きのトビラが見えてくる。


「さぁ、コチラです」


両扉の前まで来るとクルブシは言って扉を開け放つ。

中は壁にかけられた燭台により階段よりは明るい。


しかし、それよりもなによりも目を奪われるのは部屋は真っ直ぐ伸び両脇に牢屋がズラッと並んでいた。


ジャックは息を呑む。

それを見計らって、前に立っていたクルブシが通路の横にズレる。

真っ直ぐ伸びた部屋の突き当りの牢屋。

そこにボロボロになったスコピールが鎖に繋がれ項垂れているのがジャックの目に入った。


「……………スコピール……………!!」


ジャックは駆け出し、スコピールの元へ向かう。


鉄格子を掴み、ジャックは声をかける。


「……………スコピール……………!」


スコピールはゆっくりと顔を上げる。

虚ろな目でジャックを見ると、何も言わず再び顔を下げてしまった。


バゴンッ!!!!!


刹那、ジャックの頭のタコ足が凄まじい速さで後ろを付いて来ていたクルブシに向けて振り回される。


………が、クルブシはそれを見切っていたかの様にサッとしゃがんで躱していた。避けられ空振ったタコ足はそのまま別の檻の鉄格子を捻じ曲げてしまう。


「ヤレヤレ…手が早い。話を聞く前に殺す気で攻撃してきましたね?」


あっけらかんとスコピールの檻の前に移動するクルブシ。


「……………良く避けられたね……………?……………見切ったの……………?」


「いいえ?ただ、なんとなくしゃがんだだけです。来るかも…と思ったんで。いやぁ危ない危ない。直感が当たって良かった」


ニコニコと微笑みながらジャックの前に立つクルブシ。


お互いが見つめ合い対峙する。


表情が読めない者同士の…戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。




続く…

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