表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界から転生した勇者より宝箱配置人の方が過酷だった件  作者: UMA666
第三章【導かれそうで導かれない時々導かれし者達編】
109/192

第百七幕【お護りします勝つまでは…】

二打球目。


今度はリューセイ達からスタートになる。


序盤から3対2と人数的に不利になってしまった宝箱配置人チーム。


「頼みますよーリューセイ様〜!!魔王なんか打ちのめしちゃって下さーぃ!!」


ユーリルが声援を送っている。


「姫様〜!!負けるな〜!!」


「美しいですよ姫様〜!!」


「姫様を絶対お守りして下さいジャック様〜!!」


他兵士達も各々がドーラを応援している。


「姫様って言うな!!魔王様と呼べっ!!!」


ドーラは地団駄を踏みながら言った。


「では、2打球目スタート!!」


ピーーーッ!!


イズミルの笛が吹かれる。


ダルクスは咥え煙草で自チームのコート内の棘付鉄球の前に立つ。


ボコン!!


すると、棘付鉄球を押し上げるように砂浜が凄い勢いで盛り上がりその勢いで棘付鉄球が大きく上空に打ち上がった!


ダルクスも追うように高くジャンプすると…棘付鉄球に手をかざす。すると、触られてないハズの棘付鉄球は軌道を変えセンチュレイドーラに飛んで行く!


バギョン!!


ドーラが構えるも、その前にフラップジャックが飛び出す。


「ドーラちゃん……………下がって……………!!」


飛んできた棘付鉄球を頭のタコ足を自由自在に伸縮させブヨンッと打ち上げる。


「次はオダが行くゲルッ!!」


プルルンと身体を震わせ、ゲル族である魔王軍の兵士が棘付鉄球にジャンピングアタックをした!


バヨンッ!!


柔らかい身体に跳ね返された棘付鉄球は宝箱配置人チームのコートへ…!


「行ったぞリューセイ!」


「は、ハイっ!」


リューセイは光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)を振りかぶる!

落ちてきた棘付鉄球に向かって思いっきりフルスイングした!


ガキィィィンッ!!


「グッ!!」


鉄と鉄がぶつかる音が響き、打たれた棘付鉄球は弾き飛ぶ。

しかし角度が浅かったのか、棘付鉄球はコートのネットに接触!

そのままビヨーンと伸び…パチンコの要領でリューセイの元に弾き戻ってきた!


バゴンッ!!!


「ギャバっ!!!」


戻ってきた棘付鉄球に見事ぶち当たり、後方に吹っ飛ばされるリューセイ。


ピーーーーーッ!

「魔王軍に1点!」


イズミルが言うとユーリルが得点表を捲った。


「ワーッ!!魔王様〜!!」


「やりましたね魔王様!!」


魔王軍側の声援が湧き上がる。


得点は2ー0…意味は無いのだが。


ズザザザザーーーっ!!と砂浜を滑り…

やっと止まったリューセイの側でパラソルで日陰を作ったビーチチェアの上にポニョが呑気にくつろいでいた。


「ポニョシシシ!」


鼻血を流すリューセイを見て心底面白そうに笑っている。


「ポニョ…お前…呑気にくつろぎやがって…」


「ポニョ〜ン?」


「お前が参加すれば良かったんじゃないか?こんな危険なスポーツに対応出来るヤツに変身してさぁ?」


「ポニョ〜…」


ポニョは面倒くさいと言わんばかりに顔を歪めた。


「おーい!リューセイ!!早く戻ってこーい!!棄権になっちまうぞ〜!」


ダルクスの声を聞いてリューセイは戻った。


「プー!!何だその顔はっ!!アハハハ!!ちょっと待ってお腹痛い」


ドーラはリューセイの顔を見て腹を抑えて笑っている。


「あのなぁ…」


「アハハハ!!でも、良く棺桶にならずに耐えたもんだ。流石は勇者と言ったところか」


「ほらリューセイ、鼻血流してないで次行くぞ!」


「好きで流してんじゃないんですって!!」


ーーーーー


ピーーーーーッ!!


三打球目。


続けて宝箱配置人チームからのスタートとなり、先程と同じくダルクスは棘付鉄球を打ち上げドーラを狙って飛ばした。


「ドーラちゃんばっか……………狙ってる……………」


ジャックはまたしてもドーラを守るように前に出て棘付鉄球を弾き返す。


「ちょっと…ジャック!ワタシにも活躍させてよ!」


「ダメ……………ジャックの足が八本ある内は……………ドーラちゃんに指一本触れさせない……………」


弾き返された棘付鉄球は宝箱配置人チームの方へ。


「今度は大丈夫です!」


リューセイは光伝力放射砲(ルミネーションキャノン)を振りかぶり、落ちてきた棘付鉄球を打った!


ガキィィィン!!!


今度はネットに引っかからずに打ち返す事が出来た。


飛んでいった棘付鉄球は今度はゲル族の兵士が受け止めた。


そうして暫くリレーが続いた。


「チッ…魔王を狙っても…腰巾着に邪魔される…この二匹をまずどうにかしねぇと…」


ダルクスは言いながら思案を巡らせている。


(ダルさんはここでドーラを倒してしまうつもりだ…。そうさせる訳にはいかない。…出来るだけ穏便に済ませる為には…)


リューセイも思案しながら棘付鉄球を打ち返す。


ガキンッ!!


かなり高く打ち上がる棘付鉄球。


「任せてゲルッ!!」


ドーラとジャックの前にゲル族の兵士が前に出た。

落ちてくる棘付鉄球。ゲル族の兵士はプルプルの両腕を重ね合わせて大きくし、それを受け止めようと構える。


ダルクスはそれを見計らって…クイッと腕を振り下ろす素振りをする。


すると、落ちてくる速度が急激に加速し…


「危ない避けてっ!!」


ドーラの声にハッとしたゲル族の兵士は言われた通り直下から外れる。


「危ない……………!!」


ジャックがドーラに飛び付き、地面に伏せさせる。


バッゴォォォーーーンンンンン!!!!!


大きく砂浜に穴を開けた棘付鉄球。

爆風と砂煙を巻き上げる!


ブニョン!


爆風に吹き飛ばされたゲル族の兵士はネットに押し付けられ、ところてんの様に細切れになってしまった。


「ゲ、ゲル族の兵士ぃぃぃ!!!」


ジャックに抱き着かれた状態で倒れているドーラが叫ぶ。


「ちょ、ダルさん!?やり過ぎですって!?」


リューセイも叫ぶ。

しかし、ダルクスはあっけらかんとした表情だ。


「何の事か知らんなぁ?お前が打ち返した鉄球だぞ?」


「クッ!!スポーツマンシップは微塵も無い下品な攻撃を〜!!」


ドーラは言いながら起き上がろうとするも、ジャックにしがみつかれ起き上がれない。


「ちょっとジャック!?いつまで引っ付いてるの!?」


「……………ん……………」


少し物足りなさそうに離れるジャック。

ドーラは起き上がる。


「ちょっと…!!ゲル族の兵士っ!!無事なの!?」


「だ、大丈夫だゲル〜…ちょっと元に戻るには時間がかかりそうだゲル〜…」


ゲル族の兵士はなんとか無事だったようだ。

ドーラは胸を撫で下ろした。


「………ちょっと!死んじゃったらどーするの!?コッチは棺桶にはなれないんだからねっ!?」


ぐぬぬ…と歯を食い縛りながらダルクスに指を指すドーラ。


「知らねぇなぁ〜?そういうゲームなんだろ?」


ダルクスは首を振りながら言う。


「コレは殺し合いじゃ無いんだからっ!!」


「……………ドーラちゃん……………人間は野蛮な生き物……………何言っても……………無駄……………」


「………フン………それもそうね」


ドーラは怒りを一旦は鎮め、棘付鉄球を持ち上げる。


「良いわ…そっちがその気なら…コッチも手加減は無しだからっ!」


言って、ドーラは高く棘付鉄球を放り投げ…ムカデの尻尾で弾き飛ばす!


バチコォォォン!!!


目にも止まらぬ速さで宝箱配置人チームのコートに入る棘付鉄球。

しかし、直ぐ様ダルクスもジャンプし棘付鉄球を迎え討つ!


「ドーラちゃん……………!!ここからはジャックが……………!!」


ジャックも飛び上がり、棘付鉄球を空中で迎え討つ!


バコンッ!バコンッ!バコンッ!!


空中でジャックとダルクスが棘付鉄球を打ち合っている。


バコバコバコバコバコッ!!


棘付鉄球は次第に目で追えない程の速度でコートを往復しだす。


「外野は大人しくしててくれないか?俺はそこの魔王さんに用があんだよ…!」


バコバコバコバコバコバコッ!!


「絶対に……………ドーラちゃんは……………触れさせない……………!!」


二人のリレーに圧倒され口を開けて見上げるリューセイ。


「こりゃあ…ついていけませんわ…」


ポソリと呟き油断していると


「……………と見せかけて急にそっち……………!」


ジャックが急に棘付鉄球をリューセイに向けて打ち返した!


「…ゲッ!?」


ガンッ!!!

ブシューーー!!!


「またーっ!?」


棘付鉄球を顔面に受けたリューセイ。鼻血を噴出させながら後方に吹っ飛んでしまう。




続く…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ