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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

見ることは信じることだ。ある精神科医の手記

この物語はスマホの音声入力だけで書いている。

冒頭のラテン語部分と音声入力の誤変換修正は手でタイプしたがそれ以外は全部音声入力だけだ。

なので主人公の青年の独白が多くを占めるのだが、実験的な物に出来ていると思う。

コロナで人と喋る機会が減って苦しい中、こうして音声入力で喋るの面白く普段の書き方では絶対にしない事が出来る。

精神に付いては著者は色々と考えていることが普段からあるのでそれがテーマにも成っている。

あの世とかこの世とか、見ることは信じることだとラテン語で言われた古代の時代から、人は目に見える物に影響を受けてきた。

もし、見えてしまったらどんな信じられない物でも信じてしまうのだろうか?。

そんなのも小説のテーマの一つだ。


VIDERE・EST・CREDERE

(ウィデーレ・エスト・クレーデレ)

見ることは信じることだ。



もう誰が最初に言ったかも思い出されないほどの昔から言われている言葉だ。

そんな使い古された言葉が突然脳裏に浮かんだ。

もしかすると使い古されていたからこそ脳裏に浮かんだのかもしれない。

見ることは信じることだ。

それはどんなに信じられないものでも見えていたら信じてしまうということなのだろうか?。


「どうして君がいるんだ?」

青年が呟いた。

目の前に一人の少女が立っているからだ。

少女は微笑んで青年を見ている。

だが青年は少女の微笑みとは対照的に顔を引きつらせ、口を歪めていた。

「どうして君はいるんだ?」

もう一度言った、もう1度聞かざる得なかった。

それほど目の前の存在はありえなかったからだ。

「どうしているのかと聞かれても在るのだから仕方がないよ」

笑みを崩さない少女は問いかけるように言った。

「君が存在するわけないんだ、君はもう5年も前にこの世から消えてるんだ」

青年は少女に対し消えているんだと言った。

それだけ青年にとって少女は大切な人で目の前に写っている少女に対して死んでいるんだとは口が裂けても言えなかった。

あかり

灯、青年が呼んだ、その一字が少女の名前だった。

「この世から消えているんだと言うけれど世界を形作っている仕組みの全容あなたが知っているわけではないよね?」

「なら俺の脳の幻覚か?、ついに俺もおかしくなったのか?」

「どうしてそう考えるの?」

「もし幽霊とかスタンドとか気だとかとにかく何か超常現象的なものだとしたら、他の人にも見えてるはずだなのに誰も気づいていない、俺以外に誰も気づいていないじゃないか」

青年は慟哭を思わせるな悲痛な表情を浮かべると目の前の少女に対して叫んだ。

「それに幽霊が本当にいるならどうして悲しい別れをした人達全員に会ってやらないんだよ、どうして俺の前なんだ。

君の母さんだって葬式の時はひどく泣いてたんだ、どうして現れるならその時に肩を叩いてやれないんだ」

「どうしてかな、分からない?」

「そら見ろ、だから俺の脳の幻覚だって言ってるんだ、俺がついにおかしくなってひどい思い出から君を想像して動かしてるんだ」

「違うよ、想像して動かしてるならこんな服着てないよ」

確かにその服は全く自分の服にも無関心な冴えない青年である俺には想像不可能な物だった。

「いや、だけど無意識に見ていた物の残滓が形作ってるかもしれないじゃないか?」

「じゃあこんな風に目の前でくるっとまわってみてそれを想像できる」

少女は青年の前でくるっと回りその背中を見せた。

レイテンシが全く無くスカートがフワリと舞う姿は俺の脳が想像出来る物とは思えなかった。

「いやそれでも脳の幻想だ」

「どんな科学者だって幽霊を証明したやつはいない魂を証明したやつはいないんだ。

死んだ後にわずかに軽くなった部分が魂だって言うのか。

ワイン樽の天使の取り分じゃあるまいし」

「そうだね、私もどうして目の前にいられるかわからないけど、ある瞬間光が走ったの」

「光が走った?」

「そう光が走った、それはまるで脳のシナプスが走らせる最後の閃光、最後の叫び。

だけどその閃光が何かを受け渡した。

漠然とした何かに受け渡した。

そしてしばらくしたら私はここにいた」

「なんだ、それだと君は死んだ直後に5年後にいたって言いたいのか?」

「そういうことになるかな、体と言う時空に支配されたものがなくなり、思うままに動けるようになったら5年後も3年後も10年前も関係なくなるのかもしれないね」

「なるほど、それで5年後の俺の目の前にいきなり現れたって?、悲しみが癒えかけてちょっとまともに動けるようになった今のタイミングで俺の目の前に現れた訳か・・・

ずるいや」

青年は諦めたように呟いた。

「そんな風に落ち込まないでよ、まず私が思ったのかあなただったんだからむしろ喜んで欲しいくらいだよ」

「喜ぶか・・・」

青年俯いたままその場に座り込んでしまった。

「この5年、君の後を追うかどうかひどく悩んだ時期があった。

それを止めていたの死んだ後には何も残らない何もないはずだ、ただ虚無が広がるだけで本当に何もない黒い空間に落ちていくものだ、だから死ぬのはやだ。

そうやって言い訳でを作ってなんとか生きてきたんだ。

それなのに目の前にこれ見よがしに死後が見えればどうなる?。

歯止めがきかなくなるのは目に見えているじゃないか、君はそんな俺の気持ちを知った上で目の前に現れたのか!?」

「だとすれば君は何だ」

「それがあなたが脳の幻覚だとする理由?」

「そうだ」

青年は少女はそんな酷いことはしないはずだとどこかで信じていた、そんな死に誘うような事は決してしないだろうと。

「見ることは信じることだ、統合失調症の患者は信じているから幻覚を見るんじゃない見えるから信じるんだ。

ヒョウ柄の亀が空を飛んでいるとか、目の前に見えれば信じざるえないから真に迫って言う。

まさに俺の今の症状なわけだ」

「なるほど、つまりあなたはやっぱり病気になったって言いたいの?目の前の私を見ても」

「そりゃそうさ、もし目の前の存在が本当に奇跡のもので死後が存在しているならどうして神は今すぐに目の前に現れてこの陰惨さが支配する世界を改めてくれないんだ。

人を批評ばかりして時間を摂られ、人を愛する時間を失った人間のなんて多いことか。

俺はそんなやつをたくさん見てきた、嫌になるほど見てきた。

それでうつ病になって俺の前に来るんだ。

先生どうしたらいいんでしょうってな。

こっちは脳科学的に薬学的に医学的に正しいとされる処方を確かに出して、うつ病が治るようなカウンセリングもして治療を試みてきたよ何度もね。

でもなかなか回復しない、誰も気分が晴れやかになったりしない、心が脳なら晴れやかになって過ごしてもいいような投薬量したこともある、ハイに成る量だ。

だけどどうしようもなくて通院しなくなる奴はなかなかいない。

まるで病院に繋がりを求めるようにずっとずっと通うんだ。

それで君が来た。

君が来てしまった、俺の前にね。

どうしてあの時来たんだ君は。

確か君はあの時、抑鬱の症状があった。

だけど重いものじゃなかった軽い投薬で済むはずだった、薬を出して1月後にまた来てくださいというだけの患者だった」


「確かにひどく怒る患者もいたよ、ムカデが這い回る幻覚を見る統合失調症を患った患者、躁鬱を繰り返して苦しむ患者。

それも投薬で解決できた。

だけど君は薬が効かず不思議な話をしていた。

どんな作家も思いつかないような空想的で整った、まるで別の世界を見てきたからような本当にそう思えるような話をした。

その君がどうしてあんな最後を」

「確かめたくなった、それが理由じゃダメかな」

「確かめたくなった!?何の冗談だ」

「真夜中に電話が鳴って先生患者が飛び降りたと聞こえたんだぞ!!、その時どんな気持ちだったか君に分かるのか」

青年は拳を握り地面に思いっきり打ち付けた、手の甲はアスファルトに当たり血がにじみ出た。

「そんな軽い気持ちで自分の命をアスファルトに差し出したのか?!」

青年は叫び続け、疲れたのか息をついた。

少女はそんな青年の言葉に頷くわけでもなく憐れむわけでもなく静かに耳を傾け終えると話し始めた。

「私が不思議な世界を何度も寝るたびに見ていたのは知ってるよね。

そのうちの一つを話してあげる」


コケとマリモだけでできた世界、そこには悲しみも幸せもなかった。

ただマリモはころころころころと転がるだけでこけも太陽さえあれば満足だった。

緑で全てを埋め尽くしていた。

でもある時お星様が落ちてきました。

その星が綺麗な五芒星で2本の足と2本の腕1本の頭で歩くことができました。

そして五芒星が問いかけます。

「マリモ、君は満足なのかい?」

その時初めてマリモは声というものを知りました。

そして自分が声を持てないことを知りました。

「なんだマリモは喋れないのか全く役に立たないなぁ」

だけどマリモは思います。

喋れるからいい気になって人を傷つけたり全て分かった気になってる奴より、喋れない奴の方がよっぽどマシだ。

だけど五芒星にはその言葉は聞こえません。

聞こえないからいい気になってマリモと苔しかない星でマリモをいじめ始めました。

マリモを何度も転がして、壁にぶつけて凹ませて笑い、それに飽きると玉ねぎみたいにベリベリと剥がしてせっかく大きくなったマリモ小さくしてしまいました。

そして、とうとう悪い事を思い浮かべます。

「よし、このマリモを平べったく潰してベッドにしよう」

6つ程のマリモを潰して五芒星はベッドにしました。

ベッドにされたマリモは死んでしまいました。

今まで我慢していたマリモもとうとう怒りました、マリモ達は仇を取ろうと力を合わせて動き始めます。

マリモの上でうたた寝していた五芒星はその動きに気づきません。

マリモはぐるぐるぐるぐると動いて五芒星を埋めるように大きな穴を作りました。

そして五芒星が気づいた時にはその体の半分以上が埋まり身動きが取れなくなっていました。

「なんでこんなことになってるんだ身動きが取れない助けてくれぇ」

だが言葉が喋れるのは五芒星だけ、マリモと苔しかいない世界では五芒星の叫びも誰にも届きません。

そしてマリモに押しつぶされて五芒星は星の核になりました。

おしまい。

「ああ、確かにそんな感じだったな、そんな感じの話を色々と聞かせてくれたっけ。

そういう話が俺の心も癒しだった、だけど君のうつ病の改善のために投薬を開始すると君はそういう夢を見なくなった。

そして俺の心の支えだった物語を聞かせてくれなくなった。

君もまたそれがさすごく寂しい事だと言った。

それと俺は投薬量を抑えた。

また夢を見るようになった君は話を聞かせてくれるようになっただけどそのせいで君は・・・」

「私は気にしてないけどね」

「誰にわかるかよ、こうして目の前に君が現れるなんて」


「私にも分からなかった、でも、こうして見えてしまったなら受け入れるしかないよね」

「もうどうでもいい・・・、幻覚でも奇跡でも幽霊でも君が目の前にいるならそれでいい」


青年はそう言い切ると疲れた足をで立ち上がるとよぼよぼとどこかへと消えていった。








読んだ感想どうでしたか?。

としか聞きようも無いし書きようもない気がするが、感想があるなら書いていってくれ。

ただし、罵詈雑言は却下だ。

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