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第八十六話 最初の講義

 ラルフは沢山の荷馬車を引き連れて戻って来た。その中にはフェドセイの姿も見える。


「何でギルド長まで来たんだ」


「また大事になっちゃったみたいだね」


 フェドセイは俺の所に来てしきりに周囲を気にしながら言ってくる。


「お前の要望通りに来たぞ、それで何処にグレイトホーンがあるんだ」


 俺は杖で壁を指しながら一気に解除すると串刺しのグレイトホーンが現れ、応援部隊からのどよめきが波のように聞こえて来る。更にグラスバジリスクの死体も見せると今度は拍手が巻き起こった。


「匂いで魔獣が寄ってきますので、出来るだけ急いで欲しいのですが」


 見とれているフェドセイに恐る恐る声を掛けると、フェドセイは早速指示を出して荷馬車に次々と積み上げ運んで行く。魔獣が輸送の途中で襲ってくるのではないかと心配したがフェドセイはそれを笑って答えた。


「お前さん程じゃ勿論ないが、こいつらは単なる荷物持ちじゃないから安心しろ」


 だが結局一度だけでは積み込む事が出来ず、更に半分程が戻ってきて積み込んでくれたが全ての作業が終わるのに夕方になってしまった。


「間に合って良かったな、時間がきたらせっかく討伐しても続きは明日になっちまうからな、それと清算だが明日にしてくれ、これから解体作業に入るから今日中には無理だな」


「気にしないで下さい。それより後の事はお願いしてもいですか、チムールさんの講義に遅れてしまいそうなので」


 初日から遅刻は避けたいので、アーシャ達に声を掛けた後で馬を飛ばしていく。多少時間がありそうだったのでギルド着く前に屋台の串焼きを頬張りながら食べていると、横で話している冒険者の会話が聞こえてきた。


「さっきから大量に運ばれてくる物はあいつの仕業らしいな、たった数日でギルドの職員を顎で使うなんてすごい奴だな」


「あぁさすが隻腕の悪魔だな、どんな手を使ったか分からないが恐ろしい奴だよ、ただマイルスは面白くないだろうな」


 もう突っ込みどころが多くて一々否定するのも嫌になって来た。大体俺が隣で食べてるのにこいつらは気づきもしない。それより気になったのはマイルスだが、誰なんだろう、後でチムールに聞こうと思う。


 黙ってその場から離れギルドの隣にある学校の中に入って行く、チムールが指定してきたのは地下にある教室で、このフロアには誰も居ないせいか少し薄気味悪い。少しの間待っているとチムール本を抱えながら入って来た。


「君はわざと騒ぎを起こしているのかな、ギルドの作業場の半分は君達のせいでかかりっきりになっているよ」


「出来る事ならば俺は静かに暮らしたいです。それに今回はたまたまですよ」


 チムールは俺の顔を真顔でじっと見て来る。何を考えているか分からないが額に汗が滲んでくる。


「これから君に質問をするけど、どう答えるかは任せる。ただそれによって講義の内容は変えて行こうと思う」


 チムールは未だ真顔のままだ。俺はつばを飲み込んでじっと言葉を待つ。


「君は迷い人なのか」


 昨日の様子から聞かれるとは思っていたが、面と向かって言われてしまうと緊張する。


「はい。あなた方の言う迷い人です」


 その言葉を聞くとチムールは笑顔を浮かべ俺の肩を叩きながら話してくる。


「そうか、やはり伝説は本当だったのだな、いやぁ嬉しいよ、ただ君はもう少し気を付けなきゃならないな、ほらっこれを持って何か魔法を使ってみなさい」


 手錠のような物を渡されたので「ニードル」でも出そうと思ったが、全く反応しないばかりか魔力が身体から抜けていく感覚がある。直ぐにチムールはそれを取り上げ袋の中にしまうと魔力の流出はなくなった。


「何ですかそれは、魔力が抜けていくような感覚になりました」


「あの手錠の魔道具は魔力を乱れさせ、さらに吸い取る効果があるんだ。嘘か本当か分からないが、あのような物を付けられ死ぬまで魔力を吸い取られ続けた迷い人がいたと聞いたことがある。いいか、大部分では迷い人は英雄だけど一部では実験動物扱いされることもあるんだ。君はその事をしっかり頭に入れてくれ」


 どうやら話が恐ろしい方向にいったが、チムールに話して正解だったかも知れない。仮にチムールがその一部だとしたら俺はさっきの魔道具で終わっていた。


 それからチムールは、魔力抑制の魔道具の始まりから最新の物迄を事細かく説明を始めたが結局俺にはもっと魔力の仕組みを理解した方がいいと話は落ち着いた。


 余りにも専門的過ぎて何を言っているのか半分も理解出来なかったが、全て講義の内容はチムールに任せる事にした。




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