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第八十話 ミサン商会ゴルドナ支部

 どこか別の場所の部屋の中。


「どうだ、情報通りだったか」


「そうですね、いまの所出て来る気配がないので大丈夫だと思います」


「変な奴だったが、信じても大丈夫だったな、今から戦力を増強するぞ」


「やはり攻め込みますか」


「今が最大のチャンスかも知れないからな、今度こそ悲願を果たすぞ」


 

 俺達の部屋決めが終わり、今は一階の食堂で遅くなってしまった昼食をとりながら今後の予定を決めている。


「仁は夜にチムールの所に行くんでしょ、そうなるとダンジョンには行けないかな」


「悪いな、俺は中間の地で狩りをメインで暫くやって行こうと考えているんだ。アーシャ達は俺の事は気にせずダンジョンに行ってくれ」


「そうするよ、けど明日は中間の地に行こうかな、仁が一緒にいないと入れないからね」


「そうですね、僕も一度は中間の地に入って見たいので明日行きましょう。僕はこれから魔石を治して貰える店を探しに行ってきます」


「そうか、じゃあ俺は手紙を届けに行ってくるが、アーシャはどうする」


「私もラルフと行動しようかな、魔石も見たいし、ついでに馬も見て来るよ、義手が出来たら三頭いる方がいいからね」


 俺はアーシャ達と離れ、アトラスの手紙を持ちながらミサン商会を訪ねる事にする。ミサン商会はゴルドナの中心街にあり、一人に道を聞いただけで簡単に教えて貰えるほどの知名度の高い支部だ。


 辿り着いたミサン商会ゴルドナ支部は支部とは思えず、本店より店は大きく扱っている商品も多岐に渡っている様だ。今着ている服はミドナ猿に傷物にされてしまったので、衣服がそろえてある二階に上がったのだが余りの量があり、何処にローブがあるのか見当がつかないので店員を捕まえた。


「すみませんがローブの場所は何処ですか、それとこの手紙を支部長さんに渡して置いてくれますか」


 本来の目的を話しながら思い出し手紙を渡した。その店員は最初いぶかしげに手紙を見たが、裏に付いている封蝋印みてかなり驚いている。


「これはアトラス様の手紙ではありませんか、申し訳ないですが一緒に付いて来てもらってもいいですか」


 店員に連れられて奥に入って行くと小さな箱のような部屋に入れられ何やら操作をし始めた。すると浮遊感が起こりどうやら上に上がっている様だ。電気の無いこの世界には存在しないはずのエレベーターがここにあった。


「これは何ですか」


「驚かれますよね、この箱は昇降機でして支部長と特別なお客様しか利用出来ないのですよ、本店にも無い特別な装置です」


「どうやって動かしているのですか」


「かなりの量の魔石で動かしているので、贅沢な装置ですよ」


 あまり速くはないが、科学を魔石によって補うこの世界の面白さを見る事が出来た。到着した後は部屋の前で待たされ、店員のみが中に入っていった。


 少し経つと店員と入れ替えに中に通され、満面の笑みを浮かべながら立派な髭を生やしているドワーフの男が出迎えてくれた。


「ようこそおいで下さいました。私はこの支部を任されておりますハビーブと申します。アトラス様の事件の事は既に聞いておりました。本当に助けて頂いて有難うございました。手紙に書いてありました物を用意させておりますので少々お待ち下さい」


「あの、内容を全く知らないのですが、どういった事なのでしょうか」


 ハビーブはその事には答えず、寮に住む手配をしようとしたが、ギルドが借り上げてくれた経緯を伝えると机を叩きながら大笑いをした。


「流石仁殿だ。アトラス様が見込んだだけのお方だけありますな、さてアトラス様はお元気なのでしょうか」


 俺が知っているアトラスの様子と本店の事を出来るだけ詳しく話をしている最中にドアがノックされ、凜とした綺麗な女性が荷物を抱えて入って来た。


「仁殿、これらの服はアトラス様からのプレゼントです。冒険者の方に適した素材はやはりこの街が一番いい物が揃っていますから」


 渡された服はどれも素人の目からみても質がかなりいい物なので買い取ろうとするが、ハビーブに拒否されてしまった。


「アトラス様からの指示ですので受け取れません。それよりも義手を扱っている工房が近くにありますので。着替えが済みましたら行きましょう」

 

 俺はハビーブの案内で工房に向かって行く。

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