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第八話 魔法の勉強開始

 フランの家のドアをノックして現れるのを待つ。今日から魔法を教わると思うと緊張してくる。暫くしてドアが開き頭を押さえたフランが顔を出す。顔色の悪さから見て二日酔いのようだ。


「おぅ中に入って座って待っていろ、風呂に入って酔いを覚ましてくるから」


 そう言うと直ぐにフランは奥に行き、俺達は中で待つことにした。ミネルバによると昨日は地区長達と宴会になってしまい、ルークも二日酔いで苦しんでいるそうだ。それはそうとフランが気になる事を言っていた。


「なぁミネルバ、今風呂って言わなかったか」


「だから風呂に入って来るのでしょ、それがどうしたの」


 まさかこの世界にも風呂があるとは、それどころか借りているあの家にもあるって聞いて驚いた。玄関を開けて直ぐ寝てしまったから全く気が付かなかった。どうやらエルフの里以外ではいい宿や金持ちの家にしかなく、一般市民は公衆浴場に行くしかないが、この里では魔道具が豊富にあるおかげで各家庭にも温水器がある。流石エルフの里だと感心してしまう。


「待たせたな、そういや何故ミネルバが此処にいるんだ」


「付き添いですよ、出来れば少し鍛え直そうかと思ってお邪魔しました」


 まだ若干頭が痛いのかフランは左手でこめかみを揉みながら右手はオッケーのサインを出した。いきなり魔法の練習を始めるのではなく、まずは俺の属性を調べるために水晶のような透明で丸い玉を俺に渡してきた。


「それに魔力を流してみな」


 いきなり流せと言われたがどうやればいいか分からず唸っていると、ミネルバが玉を手に取り目を瞑るとその玉はまるで若葉のような緑色と深い海のような青の二色のグラデーションになった。


「こんな風にしてみて。スゥって魔力を出せば大丈夫だよ」


「そうだ、痛くないからシュッって出してみろ」


 何でこの二人は擬音で説明するのだろうか、全然分からないがとにかく手から何か出るように試行錯誤していると三十分位経った頃にようやく玉の色が変わってきた。ミネルバと同じような緑と黒に近いような茶色のグラデーションだった。フランが俺の手から玉を取りじっくりと眺め始める。


「ふーん、土がメインの風がサブの二属性だな」


 フラン曰く魔法には火、水、土、雷、光、闇があって、それぞれに色がある。色が暗く出る程属性が強いそうだ。ほとんどは一色だがまれに全色現れる者もいるそうだ。属性により使える魔法が違ってくる。俺もミネルバも二色だがフランは四色だそうだ。但し魔力の容量や威力はこれでは測れない。


「じゃあ、まずは土と一体化しなくちゃな」


 庭に寝かされた俺の上に土をかけられる。夏のビーチでたまに見るあれだ。流石にトイレの時は出して貰えたがそれ以外はずっとこのままだ。夕方になり今日は終了となったが、あと一週間はこれを続けるそうだ。ミネルバも似た様な事を子供の頃やられたらしい。「意味は未だに分からないけど頑張って」と言われた。


 一週間後、ようやく次に進むようで座学から習うことになった。


「まず魔法はイメージだ。例えば土から槍を出すとするならば、まず出現場所を指定し次に形や硬さや長さ、それに合わせてイメージしながら魔力を注ぐ、そうする事で槍が現れる。最初は時間がかかってもいいから目の前に槍を出せ」


 目を瞑って集中しようとしたらいきなり頭をはたかれた。最初に変な風に覚えてしまうと直すのが大変なのだそうだ。だから必ず目を開けた状態で集中する。上手くいかないようならイメージしやすい言葉を発すると出しやすいらしい。

 

 人間族の魔術師は詠唱を唱えて魔法を出現させる。今やっている事よりも何十倍も簡単に使えるようになるが、やはり欠点があって強い魔法なら強くなるにつれ詠唱に時間が掛かるし、当たり前だが既存の魔法になってしまい、さらにオリジナル魔法を生み出す事が難しくなる。


 俺はフランを信じてエルフのやり方で魔法を覚える事にした。一m程先の地面に掌を向け集中する。


「出ろ、土槍」


 かなり大声で叫んだが何も出て来ない。「土槍」の単語が恥ずかしいせいなのか照れが出てしまう。少しは恥ずかしくない言葉にかえなくてはいけないと思う。


「何なの、土槍って」


「中々響きが悪いな」


 後ろでフランとミネルバがお腹を抱えて笑っている。それでもいよいよ何かが始まった気がした。


ようやく話がもっと進みそうです。

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