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第七十七話 ギルド本部

イリーナが奥に引っ込んでしまってからどれくらい時間が過ぎたのか分からないが、余りにも出て来ないのでこの部屋にある依頼表をアーシャに読んで貰っている。殆どがダンジョンの鉱石や魔石を求めるもので、一度潜ったら数日は出て来れ無そうなダンジョンの依頼が多い。


「深い階数だとやはり三人だと厳しいのかな、パーティを増やす事も視野に入れないとな」


 すると奥の扉が開きイリーナが戻って来た。


「すみませんお待たせいたしました。仁様のご指摘通りやはりあの二つ名は問題がある事が分かりまして、暫定的ではありますが、隻腕の魔術師で再登録を致しますのでカードをお借り出来ますでしょうか」


 一旦カードを渡すとイリーナは受け取った後で石板にかざすだけで返してきた。カードの中には「隻腕の魔術師」が刻まれたのだろう。


「あの、二つ名なのですが俺が決める事は出来ないのですか、もしくは無くてもいいのですが」


「それは出来ません。B級以上になられましたらギルドが二つ名を決めることになっています。これは名誉な事なんですよ」


 ここで文句を言ってもどうにもならない事が理解出来た。いつかせめてもっと恥ずかしくない二つ名に変更してもらおうと心に決めた。


「それでは、本部所属になられるのでしたら此方の決まりなどを説明いたします」


 そう言いだすと、イリーナは説明を始める。現在ゴルドナで活動しているのはA級が二人でB級が俺を含めて八人、その他は約七百人が在籍している。この部屋はB級以上の受付になっているので同じパーティでも俺がいなければアーシャもラルフも利用出来ない。


 ギルドからの特別な依頼は余程の事が無い限り断る事が出来ず、依頼を受けなければ降格になってしまう。ただそのような依頼は数年に一度位だそうだ。


 B級の俺がいる事によって、魔国へと通じる「中間の地」に入って狩りをすることが許されるが、十㎞先の監視の塔より先には絶対に侵入してはならない。もし見つかった場合は冒険者の資格が永久に剥奪される。


 ギルドが経営する学校には半額で入学できる。学校は一般教養、戦闘訓練、一般魔法の三つあり、コースによって時間様々に選べる。


「以上がおおまかな説明になります。それ以外にも気になりなる事はその都度なんでも聞いて下さい」


 学校があるとは思はなかったが、計算の出来ないアーシャにはいいのかも知れない。


「アーシャは一般教養のを学んだ方がいいのじゃないか、計算位ちゃんと出来た方がいいぞ」


「嫌だよ面倒くさい、仁だって字が読み書き出来るようにすればいいじゃない」


「俺にはそんな時間はないよ、俺は魔法を習いに行くつもりだからな」


 俺以外の時間が止まってしまったかのように誰も動かなくなった。少ししてからアーシャがようやく声を絞り出す。


「一般教養か戦闘訓練の間違いだよね」


「馬鹿だな、字は多分俺には無理だと思うし、戦闘訓練なんて俺が努力しても強くなる訳がないだろ、だったら魔法の基礎を知って伸ばしたいんだよ、俺は詠唱なんか一切唱えることは出来ないからな」


 イリーナは俺の発言を聞いて驚いた表情になりまた奥へと入って行ってしまった。擦ると直ぐにかなりの大柄な中年の男と痩せぎすの老人と一緒に戻って来た。


「詠唱を知らないというのはどういう事だ。お前は魔術師じゃないのか」


 いきなり目を血走らせながら大柄な中年が怒鳴って来る。イリーナはその剣幕に押されてしまい小動物のようにおどおどしている。


「君が魔人を倒したのは本当の事なのか、特例中の特例で君をB級にしたのだが一体どういう事なのか説明をしてくれないか」


 痩せぎすの男は口調こそ柔らかいが、かなり憤慨しているようだ。


「俺は字が読めないので詠唱の魔法は一切知りません。ほぼ無詠唱のような形で魔法を発動させています。まぁ口で言っても信用できないと思いますので、どこかで見せましょうか」


 二人は俺を気にする様子もなく目の前で対応を話し合っている。俺達はどうなってしまうのかただ成り行きを見守っていた。暫くしてから答えが出た様で痩せぎすの老人が俺に話してきた。


「すまんが、やはり詠唱を知らない魔術師など信じられないので試させてもらうよ、結果が私達が満足できるものでないなら君の資格は剥奪させてもらうが、そうでないならお詫びとしてこの街にいる間の住む家を此方が用意しよう」


「只で家に住んでいいのですか、凄くいい条件なのですが本当なのでしょうか」


 二人の男は頷き、今度は中年の男が話してくる。


「もし君の実力が本物であるなら、俺達は数少ないB級の資格者に対してかなり失礼な対応をするのだ。これぐらいはさせてもらう。ただこれだけは言わせてくれ、俺達は君が魔人を一人で倒したと今の今迄信じていたんだ。多少強い魔法位だったら直ぐに剥奪して二度と冒険者にはさせないし、君は犯罪奴隷としてこの街から去ることになる」


 結果は見えているので俺はささいな脅しは全く響かず、只で家に住めると聞いて笑い出したくなるのを必死に堪える。

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― 新着の感想 ―
[良い点] これって些細な脅しか? ブチ切れするよね
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