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第五十五話 アーシャと再会する

 ギルドの中で何をするわけでもなく、ただ噂話をしているだけの連中をディルクは怒鳴りギルドから追い出した。


「すまんな、さっきの連中はここでしかあの話は出来ないんだ。外でこの話をしているのがバレると捕まるからな、その気持ちは分かるけどな」


 ディルクが軽く溜息をついて受付に戻って行くと、入口からアーシャが若い男と一緒に入ってきて駆け寄って来た。


「仁が戻ってきてるって聞いたから走って来たよ、もう身体は大丈夫なの、あそこに何度も行ったんだけど入れてくれないから心配したんだよ」


「あぁおかげで何とか大丈夫だ。随分と迷惑を掛けて悪かったな」


俺は彼、ラルフの手を両手で握り絞める。


「君だったのか、本当にありがとう。おかげでまだ生きていられたよ。何て感謝していいのか分からないよ」


「本当に止めて下さい。仁さんがあいつを倒してくれたからこそ僕が生きて出来た事ですから」


「二人とも、もう止めなよ」


 アーシャが笑顔を浮かべながら俺達の間に入って来た。何とも言い難い穏やかな時間がそこに流れた。


「そうだ、完了報告をやっておきますね」


 ラルフが此処に来たもう一つの目的を思い出し、階段を駆け上がって行った、俺も受付に用事があるのでアーシャを引き連れて、ニナの所に行く。そしてアーシャにギルドカードを出すように促した。


「アーシャのカードに俺の中から大金貨五十枚を移してくれ」


 突然の思いもよらない事にアーシャは困惑の表情を浮かべている。


「何言っているの、意味が全く分からないんだけど」


 あの魔人の魔石が大金貨百枚になった事を告げて、その半分はアーシャのものだから渡すだけだと言ったが、何故かアーシャは納得してくれない。


「あのねぇ、ケルベロスの時はほんの少ししか役に立たなかったし、それにドルムントに対しては動く事すら出来なかったんだよ、私のせいで仁の腕が無くなってしまったのにそんなの貰える訳ないでしょ」


「それこそ駄目だ、せっかくパーティを組んでいるんだから絶対に半分を渡さないと俺の気が済まない。そうでもしないと俺は気持ちよくゴルドナに行く事が出来ないからな」


 俺の言葉に反応して、アーシャは突然表情を変えた。


「何、ゴルドナって、そんな事聞いていないよ」


「そうだったな、悪い、さっき決めたんだ。ディルクが言うにはゴルドナだと良い義手が買えるみたいだからな、だから行こうと思ったんだ」


「あのねぇ、まだ同じパーティを組んでいるんだよ、それなのにもう解消が前提になっているじゃないの」


 それを聞いていたニナは盛大に溜息をつき、ディルクが慌てたように足音を立てて近づいて来た。


「仁、勝手に俺の名前を出すな。まるで俺がけしかけたみたいじゃないか、もうお前らにさっきの場所を貸してやるからちゃんと話し合え」


 そう言い放つと俺達の肩を押してこの場から追い出されてしまった。無言で先程の部屋の中に入るが、ついさっきまでの和やかな雰囲気はなく、微妙な空気がこの部屋を占めている。何から話して良いか分からずにいたが、アーシャが先に重い口を開いた。


「ねぇ、何の相談もしてくれないで一人で行くつもりだったの」


「何て言うか、そうだな、ごめん。この街だと何かと色々目立ってしまうだろ、それに義手も手に入れたいし、だからこの街から出ようかなって思ったんだ。それに遠い街だから流石に軽々しく誘えないからな」


 アーシャは長い脚を組んで指でリズムよくテーブルを叩いている。その姿はとても奇麗なのだが、何故だか怖く感じてしまう。


「一人じゃないと駄目なのかな」


「別にそんな事ないけど、何かあれだろ」


 B級になったとはいえ、この世界の知識が圧倒的に足りていないし字も読む事が出来ないから、アーシャが一緒に行ってくれたら絶対に助かるし楽しいとは思うがやはり異性なので誘いずらい。


「あのねぇ、何を考えているか大体想像が付くけど、別にそんなんじゃないからね、私は…………もいいいや、私もゴルドナに行くから、どうせ大して調べてもいないのでしょ、もう決定したから、文句は言わせない」


「そんなに簡単に決めてしまっていいのかよ」


 するとドアがノックされニナがアーシャのカード持って入って来た。


「ご要望通りにアーシャさんのカードに大金貨は移しました。それとですが明後日にタンペレの街までの護衛の依頼がありますが、お請けになられますか」


「勿論、二人で受けます」


 アーシャは直ぐに答えて俺に笑顔を見せてきた。ニナは何故だか笑っているように見える。 



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