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第四十一話 初日の清算

 綺麗にオークの牙が三組手に入ったが、アーシャによると依頼討伐ではないので一組で銀貨四枚だそうだ。このままでは大した稼ぎにならないのでさらに叫ぼうとしたら、かなりの数のスライムが飛び跳ねながら寄ってくる。


 別に倒してもいいのだけれども、倒したところで依頼票がなければ一銭にもならないので逃げる事にした。


 二人で逃げ回りながら走っているとグリーンラビットがいたのでついでに狩っておく、この兎タイプの魔獣はかなり美味しいのでギルドでも高く買って貰えるらしい。簡単に四羽取れたので急いで血抜きを始めた。この世界に来たばかりの頃は魔獣といえども血抜きの為に首を切る事に抵抗があったが、今はもうそんな事は全く気にしなくなった。


「仁、そろそろ戻ろうよ」


 まだ日は高いのだが、ギルドが混む前に帰って起きたかったのでアーシャの言葉に従い帰る事にする。


 森から抜け走トカゲに近づくと、その周りにグラスドッグの死体が六体も転がっていたので、アーシャと手分けして討伐部位の皮を剥いだ。尻尾の攻撃で殺しているせいなのか、綺麗に死んでいるのでかなりの高値になってくれそうだ。


「運がいいね、この子を借りたお金の倍以上も稼いでくれたよ」


 走トカゲは好戦的ではないので、このような事は珍しいらしい。走トカゲは全く怪我をしていないので弁償もせずに済みそうだ。


 帰り道は俺が操縦する事にしたのだが、中々いう事を聞いてくれず行きの倍以上の時間が掛かってしまい、結局街に戻った頃は夕焼けで包まれている。


 ギルドに着くと急いで二階に上がり、運よく空いていたニナに報告をする。


「お帰りなさい。どうでしたか初日は」


「まずまずだよ、討伐部位はここでいいのかな」


 ニナがベルを鳴らし、男性の職員が出てきたので全てを渡す。計算をしているのを待っている間にニナが話してきた。


「依頼の仕事は最低ラインですけど、かなり討伐してきましたね、ただ依頼では無い討伐のみですとランクの昇格に影響はしませんよ」


「依頼を受けない討伐だと昇格に影響しないのですか」


「誰もが見ている中での大物討伐でしたら話は別ですけど、それ以外は厳しいですね、過去に不正が多発しましたので」


 過去の不正とは見栄を張る為に金で雇った冒険者に魔獣を狩らせ、本人は何もせずにC級まで上がった者もいれば、その他にも色々問題があったらしいので今は依頼の成功と、ギルド長が認めた場合だけが昇格の対象となる。


 ニナと話している間に査定が終わったようで、今回の報酬は大銀貨四枚と銀貨四枚になった。その中でグラスドッグの皮が大銀貨三枚なのであの走トカゲがいなければ、レンタル料金を引いた儲けは銀貨四枚だけの散々たるものだった。


「いまいちの結果だな」


 軽く落ち込んでしまったので思わず呟いてしまった。


「何言っているんですか大成功じゃないですか、そうですね、一月に金貨三枚を目指して下さい。頑張って下さいね」


 ニナに励まして貰ってから、アーシャが待っているところに行き今日の儲けの半分を渡そうとした。


「ほらよ、今日の儲けの半分な」


「いらないよ、今日はギルドから貰っているからね、どうしてもと言うのなら酒でも奢ってよ」

 

 アーシャに連れられてかなりの綺麗な店に入る。冒険者もちらほらいるのでここはいい稼ぎを叩きだしたらくる店なのかも知れない。


「明日から少しの間パーティを組むけど、行きたいところはあるかな」


「そりゃダンジョンに行ってみたいな」


「ダンジョンか…………」


 何故かアーシャは苦い顔をしている。


「どうした、アーシャが嫌なら別に違う場所でもいいけど、ちなみにそもそもダンジョンって何だ」


 俺の言動にアーシャは呆れながら答えてくれた。


「この世間知らず、ダンジョンは簡単に言えば魔素だまりだから、魔物は地上よりも強いよ。出現する魔物はダンジョンによって全然違う。あと変わっているのが魔物を倒すと死体はダンジョンに吸収されて魔石だけが残るの、まぁその目で見なよ」


 是非とも行きたくなったので、何故か乗り気でないアーシャだったが飲ませに飲ませ捲ってようやく説得する事が出来た。アーシャは明日の朝ちゃんと起きてくれるか心配だがそれでも明日出発する。


 ダンジョン、いい響きだ。



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