表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/181

第二十五話 クリフトの街へ向けて

 夕暮れになったのでアトラス達と合流して比較的に荒らされていなかった神殿に移動する。貯蔵庫では火が使えなかったのか、久しぶりの暖かい料理にアルメイダや子供達は嬉しそうに食べている。

 

 アルケイダの妻のノエルは疲れ果てているせいか、かなり辛そうなので二階で休んで貰うことにした。食事が済んだ後、子供達とハクにも二階に上がって寝て貰い三人で話し合うことになる。


「何でちゃんと直さなかったんだ、結界さえあればゴブリン程度なら入って来られないだろうに」


 アトラスは少し怒っているようだ。


「衛兵がやったので何とも言えないですが、僻地なのでそもそもやる気があるような人物達ではなかったです」


 アルメイダも忌々しそうに答える。結局はたかがゴブリン程度だと油断してしまったのだろう。まさか報復してくるとは思わずに馬鹿な事をしたものだ。


「頼まれて支店を出したが、これからはまともな衛兵を置かないようなら危なそうな村は引き上げるか、まぁけど本当に無事でよかったよ」


 アトラスはアルメイダの肩を叩きながら言った。アルメイダも涙ぐみながら頷く。


「明日はなるべく早く出発しましょう。俺はここで寝ますのでお二人は二階で寝て下さい」


 二人を上に行かせた後で入口や窓の前に壁を出し、さらに杖の魔石に魔力を注ぐと黒色の魔石がほんの少しだけ青みがかかったような気がする。


 翌朝になり早速クリフトの街へ出発するが、霧がかかった小雨が降っていて視界がかなり悪い。操縦するハクの隣には俺が座り、一番後ろではアルメイダに見張って貰う。何せ護衛が俺だけしかいないのだからアルメイダにも少しは頑張って貰おうと思う。


「ハクさん、急いだらどれくらいで着きますか」


「そうですな、やはり四日後といった所でしょうか、荷台をもっと軽くして、最後の日を無理させても一日と変わらないでしょうな」


 馬もさんざん無理しているからこれ以上はやはり無理なようで、さほど昼間は危険がないと理解はしていても、気が抜けない道中になりそうだ。


 心配をよそに、特に変わった事はなく一日目を終え二日目と入る。ただいつもと違うのは、昨日の夜は馬車の周りに壁を出すのを止めた。夕食の準備をしていた時に俺は普通に竈を魔法で作ったのだが、そんな事をする魔術師は見た事無いらしく、一人しか居ないのだから魔力は少しでも温存して欲しいと皆に言われてしまった。


 たかがこんな事ぐらいでと思ったが、それにはちゃんと訳があった。それは魔族やエルフ達とは違い人間は魔力に容量が少ないので、人間は魔石を利用して作る、魔道具を発展させる事で魔族達に対抗したそうだ。今では武器や武具にまで付与させて誰でも魔法を出せる事が出来る。


 流石に同じ魔法だとしたら魔術師の方が威力は強いが、発動までの時間は魔道具の方が早い。使用回数は魔石の質や魔術師によって変わるのでどちらが上とは一概に言えないが、あくまでも付与なので魔石の魔力が消えても、そのまま武器や防具として使えるが、魔力切れした魔術師は単なる足手まといになってしまう。


 今の人間の世界では、広範囲で威力が高い詠唱を唱えられる魔術師ならば軍では重宝されるが、冒険者では魔法だけしか使えない奴は人気が無いし、特にこの国ではC級以上の冒険者は存在しない。


 それだから杖しか持っていない俺の事が護衛として不安だし、どれくらい魔力があるか分からないのでいざという時まで、温存して欲しいのだろう。


 俺にとっては魔力の量よりも体力が不安なので、体力が限界になる前に自由に魔法を使うつもりだ。


 壁を出さなかったせいで、昨日は少し真剣な見張りとなってしまった。流石に夜になると街道脇も活発とになり、進行方向に六本熊が街道に現れた。前足、中足、後ろ脚の六本があり好戦的な魔獣だ。


 魔獣除けの魔石も六本熊には大して影響がないらしく、クリフトの街方面の道を普通に横切ろうとしていたが、此方が風上の為に匂いでバレてしまったようで、街道脇の木々に隠れながら迫って来る。


 六本熊にして見れば、姿を隠して近づき一気に襲って食事にありつきたいのだろうが、俺にとっては全く隠れていないのと同じだ。フランの魔力感知には足元に及ばないが、魔力がある奴を一度でも見たら、そこから遠く離れない限り見失う事はしない。


 あまり六本熊の肉は食べたくないので、なるべくなら無駄な殺生はしたくないのだが、向こうにとって俺達は好みのエサだったようだ」


「ぐふぅ、ぐるるるるるるるる」


 六本熊は鼻息が荒く声が漏れている。馬鹿な魔獣だ。せっかく残り十m近くまで来たのに声を出したらバレてしまうだろうに。


「ショット」


 小さな声で呟き弾を発射させたのだが、思いのほか威力があったのか頭部を全て吹き飛ばして良い音をさせてしまった。かなり大きな破裂音だったが、幸い誰も目を覚まさない様なので安心する。


 昼間とは違い街道は安全とはいえなくなっているようだ。本来ならばイーランズ村で新たな護衛と一緒に街に向かえば見張りの交代が出来るが、アルメイダには無理だろう。かなり厳しいが昼間の安全な内に眠るしか今のところは方法が無いように思う。


 何とか誤魔化して地下に部屋を作れれば問題ないのだが。 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ