第十四話 いざゴブリン退治へ
エルフの里はミーツ大森林の中にあって、北にある山脈の一つがコルテス山でありアルゴ王国の領地なのだが、あの周辺は辺境の為にこのような事態になってしまった。アルゴ王国が対策をしているのかは分からないが、今はこれ以上ゴブリンので勢力拡大を防ぐために駆除しに行く事になる。
フランは直ぐに全員を集め、仁、ミネルバ、ルーク、アサド、イマームが揃ったところで話を始めた。
「いいか、この六人で全てを片付ける。これ以上あいつらを増やしたくないから今から向かい、三日目の朝に駆除を始める」
「それは無理ないか、今はもう昼だしアサド一人でも四日かかったのだろ、無理な行程じゃないか」
俺と身長が変わらないが、痩せているイマームが口を挟んだ。
「まぁ待て、ちょっと考えがあるんだ」
フランの考えの一つは、背が高いがスピードがあり道に詳しいアサドが先頭を走る。次にフランで左右と前方を警戒する。その後ろにルーク、右にミネルバで右から後方を警戒、左にイマームで左から後方を警戒、俺はルークにおんぶしてもらう。
「ちょっと待って下さいよ、なんで俺がおんぶされるのですか、頑張って走りますって」
「お前には別の役目があるんだよ、ルークはおぶって走れるか、疲れたら直ぐに交代するから」
「多分大丈夫かな、仁は軽いから」
ルークは半笑いで答えた。
「アサド、今日はひたすら最短距離で飛ばしていけ、じゃあ皆行こうか」
フランが立ち上がり家を出ると、沢山のエルフ達が集まっていて口々に激励の言葉をかけてくれた。シャペル様が俺達の為に祈りを捧げてくれ、他のエルフ達は賛美を歌う。
俺達は照れ臭くなりながら「行ってきます」と告げて里を出る。重苦しい雰囲気はなくただちょっとの間旅にでる、そんな感じだ。
早速ルークにおぶさり出発する。誰もが無言だがフランだけが俺に指示を出す。
「ほら来るぞ、ななめ右、距離二百」
俺は杖を掲げ叫ぶ。
「バレット」
「止めてよし」
先程からフランが指示を出して俺が「バレット」を放つ、別に弾が当たらなくてもかまわないしどうでもいい。ただ進行の邪魔をさせない為に撃ちまくる人間砲台だ。走らない代わりに戦闘は全て俺が一人でする。「バレット」とは機関銃をイメージして更に大きくした鉱石の弾丸だ。土属性と風属性の融合でもあり、俺の自信作だ。ここまでくるのに二年掛かってしまったが。
「次、ちょい左前、距離百六十と左後方、距離百七十」
俺は杖を振り回しながら叫んだ。
「バレット、バレット」
「はいよし」
幾度となく繰り返し陽が沈み始めた頃、ようやく進行を止める。
「今日はここまでにして、メシ食って休もう」
フランのその指示により今日はこの岩肌が剥き出しのちょっとした丘がベースになる。俺は直ぐに地下に部屋を作るが流石に魔力が少ないので、三部屋を作るのが精一杯だった。見えている相手なら弾をセーブ出来るが見えていない為、どうしても弾幕を張る事になるので魔力の消耗が激しい。
「お疲れ様、これでも飲んで」
ミネルバが冷たい水を汲んできてくれた。
「ありがとう、けど皆は凄いな、かなりのスピードで走りっぱなしじゃないか」
「ただ走るだけだからそんなでもないよ、仁は少し休んでいて、私は料理を手伝って来るね」
すっかり陽も落ちて闇がたちこめた頃、火を囲みながらの夕食となった。食べながらフランが明日の計画を告げる。
「明日は夜明けと共に出発して、基本は今日と同じ布陣で進むことにする。夜までにはコルテス山の近くには行きたい」
そのフランの計画にアサドは少し焦って答える。
「フラン忘れていないか、このまま進むと崖にぶつかる。それを迂回して回る事になってそれで一日かかってしまうだろ、だから目的地に着くのは明後日じゃないか」
「任せろよ、お楽しみの秘策があるんだ」
イマームが不思議そうにフランに尋ねる。
「秘策って何だ、教えてくれよ」
「お楽しみって言ったろ、崖に着けば分かるさ」
フランは意味深な目を俺に向けてきた。「分かっているだろ」と言わんばかりだったが、何のことか全然ピンとこない。どうせ何かやらされるのだろうな。
話が終わったあと俺以外の誰もが早く寝た。俺は崖を攻略する方法を考えなくてはいけない。あの意味深な顔をしたフランの事だ、正解は単純だと思う。




