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第十話 狩り二戦目

 ミネルバは食事の準備をしにベースへ戻って行く。俺達はさらに先に進み開けた場所にさしかかると、フランは小声になって話し掛けて来る。


「この先にグラススネークがいるが、見えるか」


 かなりの大きさの蛇のような魔獣なのに、俺の目では確認できない。距離が離れているせいだろう。俺は無言で首を横に振る。


「どうする、やるならここまでおびき寄せて来るが」


「大きさはどれくらいですか」


 十m弱だと言うので少しだけ考えた後、勝負してみる事にする。首を縦に振るとフランが作戦を決めた。


 まずフランが先行し攻撃を仕掛けて挑発する。フランはグラススネークの動きに合わせて挑発を繰り返しながらここまで誘導して、最後は俺がとどめを刺す。なるべく弱らせないように軽い攻撃しかしないから気を抜かないように準備しろと言われ俺は頷いた。


「じゃあ行ってくる」


 音も無くフランが立ち去り、辺りは静寂に包まれる。だが直ぐに遠くで木の倒れる音がして段々とその音が近づいてきた。そしてフランの声が聞こえて来る。 


「行くぞ、死ぬなよ」


 言葉の終わりと同時にフランが俺の頭上を越えて行く、その後ろには片目が潰されたグラススネークがかなりのスピードで地を這うように追って来た。 


 深呼吸して近づいて来るのを待つ、グラススネークは俺を認識し丸呑みにする為か大きな口を開けながらさらにスピードを上げる。いよいよその時がきた。


「ウォールアンド、ブレード」


 グラススネークの目の前に刃を生やした壁を出現させた。ぎりぎり正面に出す事に成功し、もろに顔からぶつかって顔中に刃が突き刺さった。ただグラススネーク

の勢いに耐え切れなかったのかゆっくりと音を立てて崩れてしまう。さらにとどめを刺す為に魔法を唱える。


「ブレード、ブレード、ブレード……」


 剣山のように刃を出して、口の先からしっぽの先まで刃で覆いつくした。


「今度こそ、よしっ」


「まぁ確かにいいのだが、何だかな」


 いつの間にか後ろにいたフランが呆れたように声を掛けて来た。てっきり走り去って行ったのかと思っていたら、ずっと側に居てくれたらしい。


「さて今日は終わりにするか、刃を土に戻してくれ」


 俺は全ての刃を土に戻すと、フランがグラススネークの牙を折ってから俺に渡し、それ以外を一気に燃やし尽くした。


「里に帰ったらこの牙で杖でも作って貰え、かなり丈夫な杖が出来るぞ」


 その牙はまだ湿っぽくて若干気持ち悪いがベルトに差して持って帰る事にする。二戦目はかなりいい勝負だと思うが、ただフランが最後に焼き尽くした業火を見てしまうと羨ましく感じてしまい、その名残をじっと見ていた。


「どうした」


「いや、俺にも火属性を使えたら楽に倒せたのかと思って」


「何だそんな事か、楽に倒したかったのなら最初の魔法を強度を固くして、もう少し刃を伸ばしていればそれで終わっていたし、刃一本でも脳天を貫けばそれで終わりだ」


 結局は俺の実力不足か、種類を増やす事に半年を費やしたが、暫くは精度を上げる事に時間を費やしてみようと思う。


 ベースへと戻りミネルバの作ってくれた食事を食べながら別れたからの事話していると、ミネルバの顔がどんどん険しくなってきた。


「流石に毒吐きと戦わせるのはどうかと思いますけど、グラススネークが毒を吐いたら仁は躱せると思いますか」


「えっあれ毒持ちだったんだ」


 実はグラススネークは毒を吐いて相手の動きを止めてから丸呑みするタイプの蛇で、口を開けながら迫って来たのは狙いを定めて毒を吐く寸前だったようだ。フランは悪びれもせずに言う。


「平気だろ、毒を吐いたら直ぐに炎の壁を出して防ぐ予定だったからな、それに毒持ち何て言ったら仁はビビるだろう」


 フランは笑いながら話、ミネルバは哀れみを浮かべた目で俺を見てため息をついた。


 明日の狙いはオークかゴブリンの魔物退治になる。人型をしているらしいので魔人ではないのかと思ったが、それには分類されず魔物でいいらしい。それにこの二種は魔族側からも排除の対象になっているそうだ。


 明日の事が決まったので鳴子を設置してから部屋に入って寝る事にする。本来ならば見張りが必要なのだが部屋が地下にあるので安全に過ごせる。


 俺は明日の作戦を考えながら眠りについた。

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