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俺を馬鹿にする奴らとりあえず学校一の美少女に告白されたのでやめてもらっていいですか?

作者: 夢野ヤマ

思いつきで書きました。

初めてざまぁものを書いたので分かりにくい部分もあると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです!

書いていたらプロローグ的な感じになってしまいました。

 「大体よー、お前みたいな奴が雪乃と釣り合うわけないだろ」

 「ですよね」


 俺のことを笑いながら、クラスの陽キャである海堂は言った。

 由良波雪乃。モデルのような体型に凛とした顔と綺麗なストレートヘアが特徴の学校一の美少女である。

 由良波さんはこの学校で一番モテる。

 そんな彼女に俺、高校二年生である春川司はつい最近告白されたのだ。


 「俺ですら雪乃の連絡先しらねぇんだぞ。それがどうして、お前なんかが告られんだよ」

 「そうですよね」


 茶髪でチャラい海堂は俺の胸ぐらを掴み、そう言った。


 「告白したのも何かの罰ゲームだろ」

 「ですよねー」


 俺は海堂に対して、消極的な態度を取るしかなかった。

 理由は簡単。隠キャだからだ。

 隠キャが陽キャに目をつけられれば、それでゲームオーバーなのだ。


 「もうそんな奴ほっといて帰ろうぜ」


 その声は早神の声だった。

 寝癖がありだらしない制服の着方をしているが、イケメンでクラスの女子からも人気がある。

 言わずもだが、こいつも陽キャだ。

 そんな早神が俺らの絡みに面倒くさそうに口を出す。

 早神は海堂を冷徹な目で見る。


 「ちっ、わーたよ」


 海堂は俺の胸ぐらを離し、教室の扉をガラガラと開け早神と帰った。




 次の日、事件は起こった。


 「好きです、付き合ってください!」


 そう言われたのは、教室で二人きりの時だった。

 村崎さんに告白されたのだ。

 村崎美奈。小柄だが、由良波雪乃に引けを取らないくらいの美貌の持ち主である。

 童顔でショートヘアが似合っていて、元気で愛想も良い可愛らしい女の子だ。

 もちろん、男子からも人気があり、むしろツンとした性格の由良波さんよりも一部の男子の間では絶大な人気がある。


 「あ、いや、その」


 俺は困惑した。

 が、次の瞬間、告白は幻で終わった。


 「ぷっ、あはははははは」


 村崎さんは突然笑い出した。


 「どうしたの?」


 俺は聞いた。


 「はい、みんな集合ー!」


 村崎さんの合図で教室の外から男子の五人ほどの集団が入ってきた。

 その中には海堂と早神も混じっていた。

 なるほど、そう言うことか。

 これはきっと、村崎さんの罰ゲーム的なものであり俺に好意を抱いているわけではなかったのだ。

 こいつらにとっては単なる遊びでしかないのだ。


 「どうだぁー? 夢が見れてよかったな、隠キャ!」


 海堂が嘲笑いながら俺に言った。


 「村崎さん、どう言うこと?」

 「まだ分かんないの? まさか、本当に告白されたと思った?」


 村崎さんも俺を嘲笑った。


 「どうせ、雪乃に告白された時もさっきみたいにモゾモゾと反応したんだろ? キショいんだよ!」


 海堂はそう言い、俺を殴り飛ばした。


 「がはぁ!」


 痛かった。


 「暴力は駄目でしょー」


 早神は冷たい声で言った。


 「わ、わりー」


 早神が俺のところへ来て、顔を近づけた。


 「お前、雪乃に告られたって本当?」

 「は、はい」

 「嘘じゃねーよな?」

 「嘘じゃないです」

 「海堂、こいつやっぱ殴っていいぞ」

 「え」


 俺は動揺した。


 「よっしゃ!」


 海堂は気合を入れたかのようにもう一度、拳を出し俺を殴った。


 「がぁ!」


 俺は吹き飛ばされた。

 嘘だと思うかも知れないが、明らかな体格差だ。

 そりゃ、吹き飛ばされても不思議じゃない。

 早神はまた俺に近づき、髪を引っ張る。


 「苦しいか?」

 「は、はい」

 「だよな」


 冷たい声を発した後に俺を殴った。


 「がは!」


 海堂の方がガタイがいいのに、同様にいやそれ以上に早神の拳は痛かった。


 「海堂くんも早神くんも、もうやめようよ。こいつ、死んじゃうよ?」


 さすがに心配したのか村崎さんが二人を止めた。


 『そうだな』


 二人は言った。


 「じゃーな」


 海堂はそう言い、三人はそのまま帰っていった。

 俺も家に帰った。


 「ただいま」

 「おかえり」


 その声は由良波雪乃だった。

 俺が帰ると満面の笑みを見せた。

 エプロン姿で髪を結び、何か料理を作りながら俺の帰りを待っていたのだ。


 「ご飯作ったから食べてー。って、何その怪我!?」

 「あぁ、ちょっと友達と喧嘩しちゃって」

 「友達がそんなことするわけないでしょ! 本当は?」

 「……最近、陽キャグループに目をつけられて」


 俺の怪我を心配して、絆創膏と消毒を持ってきてくれた。

 かなり強く殴られたのか血も流れていた。


 「痛っ!」

 「ほら、我慢して!」


 由良波さんが優しい手つきで俺の顔に消毒をする。

 そして、絆創膏を貼った。


 「これでよし!」

 「あ、ありがとう」


 由良波さんは優しい。


 「何があったのかちゃんと言って?」

 「えっと……」


 俺の話を聞いてくれるからだ。


 「聞いてあげるから」

 「……由良波さんが俺に告白したから一部の男子に狙われているんだ」

 「そうだったんだ。一部の男子って誰?」

 「海堂と早神」

 「……そっか」


 さすがの由良波さんでもこの二人は手に負えないだろう。

 何せ、海堂は一度、由良波さんに告白し振られ、早神に至っては他に告白してくる男子を殴り飛ばしていると言う噂だ。

 海堂もその一人らしい。

 もちろん、早神も振られた。


 「海堂くんは相変わらずだねー」

 「どう言うこと?」

 「一年の時から暴力的でね、私すぐに人を殴る人嫌いだからさ」

 「……そうだったんだ」

 「挙げ句の果て、司くんも殴るなんてほんっと最低! 早神くんも一緒だよ!」


 由良波さんは怒った。

 俺のために、二人に対し怒ってくれたのだ。


 「ごはん作ったから食べてよ」


 俺の目の前にある食卓に由良波さんの手料理がいっぱい並べられた。


 「こんなに作ったんだ」

 「ほら、食べて元気出して」


 由良波さんにグイグイと勢いよく進められ、俺は料理を口にした。


 「おいしい」

 「でしょー! もっと食べて!」


 由良波さんは嬉しそうに笑った。


 「うん」


 俺のほっぺがハムスターのように膨らむほどバクバクと食べた。


 「ふふ、可愛い」


 微笑む由良波さんも可愛かった。





 「由良波先輩えっろ!」


 1人の男子生徒が言った。

 それもそうだ。

 由良波さんはバレー部のエースであり、部活中は髪を結び何よりユニフォーム姿がスマートで綺麗な足はもちろんスパイクをした時に見える脇もこれまたいい。


 「おい、そんなこと言ってるとあいつのターゲットにされるぞ」


 もう1人の男子生徒が言った。


 「ねぇ、雪乃の身体がそんなに気になる?」


 あいつとは早神のことだった。


 「き、気になりません」

 「俺もです」


 二人は姿勢をビシッと正し、言った。

 俺はそれをただ傍観するしかなかった。


 「へー、じゃあ雪乃のこと見ないでくれるかな」

 『はい!』


 二人は声を揃え言った。

 そのまま、ニコッと笑い早神は去っていった。


 「ちっ、由良波先輩に振られたくせに面倒くせぇ奴だなぁ」

 「馬鹿っ! 聞こえるぞ!」


 早神が聞こえてないところでそんな愚痴を呟いていた。

 俺には絡んでこない。

 そう思っていた。そう信じていた。


 「お前も雪乃目当てか?」


 案の定、狙われた。


 「あ、いや、違います」

 「だったら、何で雪乃のこと見てたの?」

 「……見てません」

 「へぇ」

 「がぁは!」


 俺のみぞおちに衝撃がくらった。

 殴られたのだ。


 「もう、やめてください」

 「俺に逆らってんじゃねよ」

 「早神くんやめて!」


 もう一発殴られる瞬間に声が聞こえた。

 由良波さんだった。


 「雪乃、どうしてこいつなんかに告白したんだよ。俺と付き合ってくれよ!」

 「それはできない」


 雪乃は断った。


 「俺のどこが気に入らないんだ?」

 「暴力する人は嫌い」

 「だったら、もう暴力しないからさ。ほら、こいつももう殴らない」

 「そうやってまた嘘ついて」


 その時、由良波さんの言葉の意味がよく分からなかった。


 「私言ったのよね? 私に告白してくる人に暴力しないでって」


 あの噂は本当だったんだ。


 「し、してねぇよ!」

 「また嘘つく」

 「分かった。雪乃に告白していたやつも殴らねぇ」

 「行こ」


 由良波さんはそう言い、俺の腕を掴み起き上がらせてくれた。


 「ごめんなさい、あなたとは付き合えません」

 「ちっ」


 早神は壁を思いっきり蹴った。

 俺と由良波さんはそのまま早神を離れ、人の少ない目立たない場所へ移動した。


 「痛かった?」

 「……うん」

 「ちょっと待って。今から絆創膏貼るから」

 「だ、大丈夫。今回は血は出てないから」

 「みぞおちは痛いでしょ?」

 「……うん」

 「冷やしてあげる。ちょっと待ってて、保健室に行ってくるから」

 「それくらい俺一人で行けるよ」

 「そんなすぐに立っちゃ駄目! ちょっと我慢してて」

 「……ありがとう」


 由良波さんは保健室まで猛ダッシュで行った。

 由良波さんが戻ってきたのは僅か五分ほどであった。

 さすがは運動部のエースである。


 「お待たせ!」


 由良波さんはもともとかいていた汗以上に汗だくだった。


 「ありがとう」


 俺は言うと、由良波さんは嬉しそうだった。


 「ちょっと服上げるね」


 由良波さんに服は俺の服を上げ、冷やした。


 「冷たっ!」

 「ごめん」

 「大丈夫」


 冷たかった。

 それ以上に微妙にだが、俺の肌に由良波さんの指が当たっていることの方が気になった。

 ドキッとした。


 「そのまま冷やしてて」

 「うん」

 「私、部活行かなきゃいけないから痛みが治ったら一人で行ける?」

 「うん、行けるよ」

 「よかった。また後でね!」


 そう言って由良波さんは部活に戻った。

 俺は一旦、教室に行きラノベを読みながら冷やした。

 そして、家に帰ることにした。


 「ただいま」

 「おかえりー」


 先に帰っていたのは由良波さんの方だった。


 「痛みおさまった?」


 由良波さんは心配そうな目で言った。


 「大丈夫だよ」


 俺は応えた。


 「よかったー」


 由良波さんはホッとしていた。


 「またごはん作ったから食べて!」

 「今日は先に風呂に入るよ」

 「余計に痛くならない?」

 「大丈夫。風呂に入って落ち着く」

 「そう」


 俺は風呂に行った。

 服を脱ぎシャワーを浴びてから浴槽に浸かる。

 とても小さい浴槽で俺が入るだけでもギリギリだった。

 身体を洗い、もう一度浴槽に浸かることにした。

 とても温かく、気持ちがいい。

 浴槽から出て、身体を拭き服を着た。

 髪を乾かした後に俺は由良波さんのところへ行く。


 「来た来た、じゃーん!」


 そこには昨日以上に豪華な食事が並べられていた。


 「全部作ったの?」

 「もちろん!」

 「食べきれるかな」

 「いっぱい食べて海堂と早神をぶっ飛ばしてよ!」

 「暴力嫌いじゃなかったの?」

 「本当に殴っちゃダメよ?」


 その言葉に俺と由良波さんは笑った。


 「いただきます」


 俺は料理を口にした。


 「どう?」

 「おいしい」


 昨日以上にいや、今までの中で最高の美味しさだった。

 由良波さんの手料理は日に日に美味しさが増している気がする。


 「由良波さんは食べないの?」

 「私はさっき食べたからいい。それにこうして司くんがいっぱい食べるところを見つめてたいの」

 「なんか恥ずかしいな」


 俺は顔を赤らめた。


 「ふふ、可愛い」


 ますます顔が赤くなった。


 「俺、もう寝るから」


 俺は照れ隠しのようにまだ眠くはないが明日も学校だし、早く寝ようとした。


 「私今からシャワー浴びてくるからちょっと待って」

 「先に寝てるよ」

 「一緒に寝よ?」


 由良波さんは首を傾かせ、こっちを見つめた。

 その表情もまた可愛かった。

 女の子が頼み事をするときの顔はこうも可愛いものなのかと思った。


 「……いいよ」


 俺は断ることができなかった。


 「やったー!」


 由良波さんは嬉しそうに喜び、鼻歌を歌いながら風呂場まで行った。


 「ねぇー、タオル忘れたから取ってー」


 少し時間が経つと、風呂場からそんな声が聞こえた。

 俺は少し恥ずかしかったが、彼女のためだと思いタオルを持ってきてあげた。


 「はい」


 風呂場の扉を由良波さんの裸が見えない程度に僅かに開け、タオルを渡す。


 「ふふ」


 由良波さんは笑いながら、俺の腕をそのまま引っ張った。


 「うわっ!」


 俺は無意識に目を瞑る。

 由良波さんの裸が見えてしまうからだ。


 「目開けていいよ」

 「嫌だ」


 俺は断った。

 目の前にあるであろう由良波さんの裸と女の子らしいとてもいい匂いが俺を動揺させた。

 いやらしいことは考えていないと言ったら嘘になる。

 俺だって健全な男子高校生だ。


 「服着てるよ?」

 「本当ですか?」


 俺にはそれが嘘か本当か分からなかった。

 それでも、由良波さんを信じてみることにした。

 俺はそっと目を開ける。


 「じゃーん!」


 由良波さんはパジャマ姿だった。


 「期待した?」

 「……してない」

 「下着は履いてないけど」

 「ブゥフ!? は、履いてよ!」

 「あはは、嘘だって! 司くんは本当に可愛いなー」

 「またそう言って」

 「本当だよ。あの時から本当に変わらないね」

 「あの時?」


 俺には由良波さんの言っていることがよく分からなかった。


 「覚えてないか。昔、私を助けてくれたこと」


 俺が由良波さんを助けた?


 「そんなことあったけ?」


 「本当に忘れちゃったんだ。あの時、私にキスしてくれたじゃん!」

 「き、キス!?」


 俺、そんなことしたのかよ。


 「ねぇ、もっかい私にキスしてよ」

 「で、できるわけないだろ!」

 「じゃあ、目瞑って」

 「……仕方ないな」


 俺は静かに目を瞑った。

 別に由良波さんに期待してるわけじゃない。

 キスは無理でも目を瞑るだけならいいってことだ。


 「ん!?」


 俺は頭をグィと持っていかれ、唇になんだか柔らかい感触がした。


 「目開けていいよ」


 俺は目を開けた。


 「ん、んん!?」


 俺の唇は由良波さんの頬に当たっていた。


 「これで私は司くんからキスされたね」


 俺は焦りながらも唇を離す。


 「何のつもり!?」

 「私たちカップルでしょ?」

 「そ、そうだけど」


 俺は由良波さんの彼氏なんだ。

 考えてみればこれくらいは当たり前なのかも知れない。


 「よし、もう寝よ!」

 「……うん」


 由良波さんはそう言い、髪を乾かし寝る準備をし二人で布団に入った。

 二人の距離はかなり近かった。

 俺と由良波さんは同棲している。

 この関係が学校中に知れ渡るとは、この時はまだ知る由もなかった。


 「おやすみー」

 「おやすみ」


 俺が寝ようとした瞬間にピロンとスマホが鳴る。

 起き上がってスマホを見る。

 沙織からの連絡だった。

 鈴蘭沙織。俺と幼なじみであり、由良波さん以上の理解者である。

 沙織もまた美貌だ。

 かなり短い分量でこう書かれていた。

 由良波雪乃とは関わるな。

 その言葉の意味が俺にはよく分からなかった。

読んでくださりありがとうございます!

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