幼馴染 ステータス ミルクティー
幼馴染に、彼氏が出来た。能天気で、不器用で、我儘な私の幼馴染に。
今日、それを私に報告しに来た時のアイツの顔は見たことない位緩んでて、きっと、その時の私の顔からは完全に表情が抜け落ちてしまってると思う。
というか、多分今も私の顔は石みたいに固まってる。顔だけじゃなくて、全身が石になってる。
何だか凄く重い……。
アイツに告白した男は、この学校の生徒会長だった。成績は常に学年一位で、サッカー部の主将で、性格も良い……らしい。
まあ、そんな完璧超人居る訳ないから、叩けば何らか埃が出てくるんだろうけど、アイツが頭がいいとか、そういうステータス面を見て付き合った男の報告をする時にあんな顔をする訳ないだろうから……多分別の部分を好きになったんだろう。
私が持ってない何かに……。
いや、そもそもアイツが私みたいに同性を好きにならないだけかもしれないけど。
何にせよ私は、いつの間にか好きになって、突然振られてしまっていたんだろう。
___悲しい?
……あぁ、悲しい。
___辛い?
……身を切られる位には。
何度も何度も、アイツの緩み切った顔を思い出して……ふと横に目を向けると、公園があった。
アイツが未だに好きな…ブランコのある公園だ。
特に何を考えるでもなく、公園に足を踏み入れる。
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公園に置いてある自動販売機でミルクティーを買って、ベンチに座る。
私は、昔からこのブランコが好きだった。
良く見えるからだ。アイツがブランコで遊んでる姿が。
運動神経悪い癖に昔からブランコだけは得意で、ベンチに座ってる私に最初だけ後ろから押して欲しいと頼んでくる。
何が楽しいのか、1時間位ずっと漕ぎ続ける。私も何故か、ブランコを漕いでるアイツをずっと見続けていられる。
……馬鹿だな、私は。
こんな事を思い出しても、辛いだけなのに…。
こんな所にいても虚しいだけなのに…。
……帰ろう。
帰って、早く寝よう。
そう思って、ゆっくり立ち上がる。
そこで、下に向けていた視線を、前に向けてしまって……ブランコが目に映る。
止めて。止めて。止まれ。止まって。
必死に止めてたものが一気になだれ込んできて、嗚咽が漏れる。
……忘れるって決めたのに、もう考えないって、決めたのに...。
折角立ち上がったのに、蹲ってしまう。
忘れようとする程、思い出してしまう。
止め処なく気持ちが溢れて、動けなくなってしまった。
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それから、暫く泣きはらして……。
漸く立ち上がれるになって、公園を出た。
「こうなるくらいなら、告白……しとけばよかったなぁ」
最後にボソリと呟いて、苦い気持ちにサヨナラした……。