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転移魔法陣

太郎達が居る部屋の手前でろろんの威嚇が聞こえてきた。なぜだ?この屋敷に他に敵がいたのだろうか


急いで部屋に入った


「お〜おかえりー」


にこやかな太郎と嫌がりながら片手で持ち上げられている、ろろんが居た


きゃいんと涙目で僕に助けを求めるろろんを救う為太郎の肋骨目掛けそのまま飛び蹴りをくらわす


「あっぶね…何してんだ?レン、大丈夫か?」


身体を前に倒して避けられたまま僕が床に叩きつけられ息が一瞬止まる。肋骨おれたかもしんない。


「くっ」


痛い、ものすごく肋骨が、いたい。


「ほいほい、手のかかる弟ですねーっと。というかこの犬喋るのな〜おもしれーいつかオレもテイムしよーっと」


太郎に起こしてもらい、うずくまる。傍らでろろんとりーりが僕を心配した。さっきまで負傷していた太郎に仕掛けるのはダメだったかも知れないけど、もう起きててピンピンしてるから…なんか今日は太郎がにこやかなのが許せない。


「兄弟ケンカは後にしろよ、かくかくじかじか…」


グレンが完結にりーりのことや自分達の事転移魔法陣の事を太郎に伝える。

そうだよ、太郎作戦練らなきゃいけないんだよ

てか回復してるのグレンのお陰なんだからお礼言って

「あんがとな」

よし。


皆んなはどんな風にしようと思っているんだろう?

Dランクか、、、気持ちだけでは倒せないよな…

倒すんじゃなくて逃げるのはどうだろう?いや駄目だな、村に向かわれたら皆んなが怪我しちゃう。


グレン、ホウカ、太郎、ろろん、りーりと転移魔法陣に向かいながらそれぞれ考える。


どうしよう…

さっきホウカが残るって聞いた時ありえないって思ってちょっと強がっちゃった。本当は策も力もない…

グレンも多分魔力は回復してないと思う

ホウカは野生感溢れる獣人族だけど、喋らないし人っぽくないしなんなのか分からない。りーりが一線刻んでるって言ってたけど、毛むくじゃらすぎて見えない。よし戦力の確認をまずしよう。獣人族って身体能力高いって聞くし、30mひとっ飛びしてるの見たしあながち間違ってなさそうだ。毛むくじゃらでも関係ないよね


「ホウカ、右手首にグレンみたいな線入ってる?」

「ウホ?」

(ん?あぁ産まれつきあるぞ)


ホウカが足元から自分の毛を掴みぶちぶちっとはじめはゆっくりその内一気に頭の先までむしり退け上げた…


「ギャー‼︎急にスプラッタしないでー‼︎」

「ひっ…え?…それがホウカ、本当のお前の姿なのか?」

「へ〜オレの首の証みたいなのがお前らチビ二人には手首にあるなーいいなーいっぱいあったら強そ…」


ろろんとりーりは一緒にビビって僕の両足首にそれぞれしがみ付いている

血は出てないよね?うん無傷っぽい。どんな原理なの?


今のホウカの姿は頭の毛まで毟ったと思っていたけど、ちゃんと残っていた。というか毛って連鎖している物なの?日本のなんかテープ貼ってエイヤァッてはいで毛を取る手法みたいだったよ?


焦げ茶の瞳と髪でライオンみたいに頭にフサァァと毛が肩甲骨ぐらいまでワイルドにあって顔も身体も手も足も人間だった。毛むくじゃら無くなるとちゃんと人間だった…

獣人族って聞いたから、ろろんみたいな耳か尻尾残っているのかな?って思っていたけど、至って少々野生味溢れる人間の子供がいるだけだった

無表情に静かに前を見据え、しなやかな筋肉をたずさえた戦士。太郎のガキ大将とはまた違う、目を合わせたらピンっと緊張してしまう張り詰めた雰囲気だ。僕より20cmくらい背が高い5才児。…いいな…雰囲気から強そう。僕は自分を見渡してカッコ良く見える所ないかなと探してた。グレンも探してた。はじめ確認したかった右手首の証はちゃんとあったけど、それよりもワイルドに目立つ容姿が羨ましくてグレンと一緒にどうでも良くなっていた


「ルゥガァーー‼︎‼︎」


突如屋敷が揺れる程の爆音

ハッとしてりーりを見るとホウカの姿を見て感銘を受けてりーりも自分の姿見渡していたたらしい。転移魔法陣への力を緩めてしまいモンスターが来てしまったようだ。気まずそうに顔を横に向けている。


「ルゥガァガガガぁ‼︎‼︎」


ドシン!ダシン!と暴れてる魔物の様子が伝わってくる。こわっ!


全部が中途半端になった

一旦ホウカを羨ましがるの後にしようっ

策も魔力も体力も心許ないけど、急がなきゃ!

3人で顔を合わせ頷き、心を決める

ずべこべ言ってらんない

やらなくちゃ僕達が殺される


「倒そう!」

「いや、お前ら子供だろ?ここにいな。Dランクぐらい30分ありゃ倒せる。丁度試したい能力があったんだよなー、この叫び声はルマルガだな。あーしてこーして…」


え?太郎何言ってんの?


「レンの兄貴さっきりーりにも負けてたじゃん。遊びじゃねぇんだぞ」


もっともですグレン。子供だろ?って貴方も充分子供ですから。


「あれなぁ不覚だったわぁ…いつもは舎弟のギャーダルスに乗ってあの崖から降りてるんだけどりーり弱いのな!もっと強いかと思って油断してた。アハハっ」


えっあの崖の下にいつも行ってるの?


「うそだよっ!太郎は確かに強いけど、テイマーとしての能力は丸っきりあってないようなもんじゃんっ!ギャーダルスが言う事聞かないよ!りーりに負けたのだって崖から落ちたんだから仕方ないよ、この命の危機に強がらないでよ…太郎一人でいったら死んじゃうよ…」


僕はちょっと焦りながら太郎に伝える

未だに野良犬に伏せできてないじゃん太郎、毎朝無視されてるの知ってるんだぞ

きっと僕達を安心させる為に言ってるんだ


「ん?何泣きそうになってるんだよ、ウケるな!」


イッラァ、、、弟が心配してるのになにを…


「あの崖開けてただろ?オレが作ったんだぜ!で、この辺の魔物は一匹残らずケンカで勝ってるからオレの全員舎弟だ!ギャーダルスは舎弟にしても舎弟にしても送ったらすぐ遊びに行っちゃうんだよ。困った舎弟だよな、やれやれだぜまったく。で、また毎回捕まえてんの。あの時も舎弟探してたらりーり見つけてケンカしたんだよ。ケンカで勝つとテイマーの能力で舎弟にできるんだろ?オレの縄張りだからな。躾は大事だ。」


太郎が準備体操しながら僕達に軽く説明する

ありえない内容なのだが嘘を言ってる様子は見受けられない。まず太郎は嘘はつくけど人を騙したりはしない。他の二人もえっまじで?ってなりながらも太郎の話を聞いてた。そんな悠長な場合じゃないんだけど。


「「「……(絶句)」」」


りーりが嫌そうに太郎から距離をとる

でも確かに来る時も今までも魔物に襲われていない

よく考えたらおかしいな…周りに居るなって思ったけど、向かってこなかった

太郎がしめてるから、こなかったのかな…

太郎の言ってる事は本当なの?

じゃあ隠れ家って、崖下に作ってるの?

そりゃモモくんとスイちゃんも分からないよ

村の大人でもわざわざ崖で侵入してこない化け物の地になんて行かないだろうし

太郎がDランク相手に毎日森に入ってるなんて思いもしないだろうな

バカじゃないの、あっバカだった。えぇ…招待してくれなくていいよ、僕lv.1だよ?10倍強いDランクがウジャウジャいる密林に入ったら…考えなくても分かるよ死ぬ。

僕の事殺したいの…かな、暗殺企てんの太郎?


皆んなで引き気味に太郎を見つめる


「それに見てみろ!親分がチビにあるもん持ってなかったら示しつかねぇからな!今やオレは全部の能力線持ちだぜっ」


キラキラと輝く瞳で腕を交差させながら太郎が神の休線を見せ付けてくる。確かにさっき羨ましがってる様子はあったけど、村の大人達の手首の線を見てもスルーだったのに急に付けたみたいだ。何故かは説明してくれたけど、そんなに容易く線つく?そんなに容易く第5級になれるもんなのかな…あっ酸欠になりそう、頭も心なしかクラクラする。また太郎が取り返しつかない事件を更新した。いや、いいのか?だって才能なかったら3本も所有できないよね?


いやいやいや…しっかりしろ!僕!あの感じだと第4級や第3級にだって無理したらなれたかもしれない、やっぱりこれは取り返し付かないことだよっ由々しき事態だ!モモくんスイちゃん兄の暴走また止めれなかった、ごめんなさいっ


「え?レンの兄貴なにしてんの?」


グレンが困惑した顔で僕に問い掛けてくる

ごめん、今僕も困惑してるから分かんない、正常でも太郎の行動は理解できないけど


「ウホ」


ぽんと僕の肩に手を置いてホウカがウホって言った

なんも言えないからあえて、ウホってそのまんま言ってその場をしのごうとしてる。便利だねそれ。けど僕とグレンはもうホウカが何言ってるかは分かるよ。気休めになんないよ…でもありがとう…気持ちだけ貰っとく


「ふっふっふっ!力が湧いてくるぜっ!」


怪しく太郎が笑いながら外へと続く扉を開けて外に出る。まだ心の準備僕達出来てないんですけどっ!太郎が呑気に外に出続けるので服を引っ張ろうとしたら、ギロっと僕達を魔物が睨んだ。日本の遥か昔に存在していた恐竜の小型版みたいな3m、いや尻尾もいれると5m程の危険生物が庭周辺の木々を滅茶苦茶にして佇んでいた。怖い…足が震える。見つかったじゃん。元々庭にいるから視界に入るだろうけど!太郎のばかっ!僕はテイマーだから魔物の気持ちが心に流れ込んできて、皆んなより余計ビビってると思う。僕の中の魔物の気持ち伝わりますアンテナを震える心で速攻切る。浅黒く強そうな体と猛烈に赤く尖った目、木を噛み砕く生き物殺しの口で


「ルガアァァア‼︎‼︎」


と凄く大きな村まで聞こえそうな叫び声をあげた。


「まずはテイマーとして挨拶しなきゃな。ふせ!」

「レンの兄貴ふざけてる場合じゃねぇよ!」

「いやこれはオレがいつもしてる事だから。オレの信条だな。弱いもの虐めダメだろ?だからボコられたくなかったら舎弟になるかって初めに聞いてんだよ。まっやっぱり魔物だな!弱肉強食の世界だ!今まで初めからふせした奴いねぇんだよな〜皆ケンカ好きみたいでさ、困るよねアッハッハ」

「何言ってんの太郎…あれはケンカしたいなんて生温い事なんて思ってないよ!急に知らない所に来てなにもかも敵に見えてるっただただ殺す。そう思ってるよっ!和解なんてする気ないからっあの魔物には!」

「じゃあ倒すまでだな」


ひゅんっと太郎の雰囲気が変わった。表情も態度も軽いままだけどさっきと何処か纏う空気が違う。魔物も叫ぶのをやめ太郎に向けて臨戦態勢に入った。僕達も喋るのをやめ、ビビりながら出来る限り態勢を整える。


一触触発そんな状態


「テイマーの能力が効かなかったから次は魔法使ってみるか…ん?魔法ってなんだったっけ?えーとはっ?意味わかんね…使えねぇな。」


くそっふざけないでよ!太郎!!

当たり前じゃんっこの世の中人それぞれ能力は違うんだよっ!でも無から何かを作り上げる事は人の一生をかけてちまちまやってたら碌な能力使えないまま死んでいっちゃうから、何代も何代も研究を重ねて出来た色んな流派ややり方を綴った本があるんだよっ!皆んな勉強して能力を効率よく使える方法を取得してんのっ!学校でなにやってんだよ!基礎は一通り色んな能力線でも教わる筈だよね!?


もしかして、頼りにしてた能力を太郎が使えなくて皆んな死んでしまう…そんな考えが頭をよぎって冷や汗をかいた時、太郎が爆走しながら魔物に突っ込んでいくのを視界の端っこの端っこで僕はまた見た。太郎は猪の獣人族なのかもしんない。


ドッカーン!ズザザザザザザーー……バキバキ……パキ………______


太郎が爆走しながら魔物に突っ込んだら、あの巨体が太郎と共に森の方へすっ飛んでゆき勢い止まらぬまま姿を消した。木々が折れ続ける音が聞こえる。ギャーっとギャーダルス達の騒ぎ声が森奥から聞こえはじめた。空に目を向けると幾つものギョロ目がパニックになってグルグルしながら逃げようと飛びながらもがいている。何が起こったかは見たから分かるけど、信じられない。森の中へ消えて行く時魔物が白目向いてるのをチラッと見たから太郎があの魔物にやられる事はないだろうけど、信じられない。たかが10才が超えていっていい壁を何重にも飛び越えすぎている。


明日病院でヒューマンなのかちゃんと確認させに行こう。


二人を見るとなんの表情も浮かべぬまま明後日の方向を見てた。


「と、とりあえず解決したね!た、太郎を探しに行こうと思うんだけど、ふ、二人はどう思う?」


二人が木をなぎ倒され続けて出来た新しい道に目を向けて思案する。そして嫌そうな顔をした。そんな目で太郎がいるであろう方向を見ないでっ太郎はいいお兄ちゃんなんだから、化け物を見たみたいな目で見ないでっっ


りーりが後ろを振り返った。あっ屋敷が…


くにゃんと空間が歪んで跡形もなく消えていった。

広いロビーも守りの扉も元主人の棺がある地下への入り口もボロボロの屋敷全部が無くなっていった。

数分したらあるのは長方形の芝生が生えてる模様付きの庭だけだった。


りーりが寂しそうにするけど、知ってたから大丈夫だよと僕に伝える。自分には帰る所もうあるからって。黒い液体が僕におぶさってじゃれてきた。なんか緊張が緩む、今安心感が戻ってきた。





「うわっ!お前ら何やってんだっ!大丈夫かっ?!」




「「「え?」」」




「え?じゃねぇよっルマルガが森の手前辺りにいるかもって今村じゃ騒ぎになってんだぞ!ガキがこんな日が暮れる時間帯に外に出てんじゃねぇよ!怪我はないか?大丈夫か?つかこんな森奥でなにしてんだっ!危ないだろっ!」


屋敷が消えて3人でりーりを心配していたら、太郎が消えた逆の森から一人のおっちゃんが焦りながら現れた。叱ってるのか心配してるのかまぜまぜに僕達の状態を確認しながら話掛けられる。


あっなんかこのおっちゃん見たこと…

あ、あれだ思い出した!取り返しつかない事件パート1の時に太郎の暴走を誘発した空気の読めないのか読めるのか分からない無神経だったおっちゃんだ!


「…坊主なんか失礼な事考えてないか?」

「おっちゃんがどうしてここにいるの?」

「聞いてんのは俺の方だよっ!そりゃDランクがこの辺りに出たってなりゃギルマスの俺の出番だろ?他の手練れは村の警備に割って確認しに来たんだよ。俺が来た方が早く済むしな。他の連中じゃ足が遅ぇ…けんどさっきDランクの魔物の気配がこの辺りにあったが失せたな。崖下に戻ったか?」

「それならレンの兄貴が倒した」

「レンの兄貴?…よく見るとお前モモ野郎ん所のガキじゃねぇか…後の二人は見ねぇ顔だな。…おいクソガキこれから晩飯って時に駆り出された俺にくだらねぇ嘘言ってんじゃねぇよ。何処ん所のガキだお前は、送ってやるから言え。魔物が崖下に帰ったんなら大丈夫だろう。さっさっと村に帰るぞ。」

「ウホ」

(グレンは嘘言ってないし、くだらない冗談も言っておらぬ)

「おちょくってんのか?ガキはすぐなんでも真似たがるなぁ。猿の何に憧れたんだよ。つかお前上の服着ろよ、なんでターザンみたいな格好してんだよ風邪ひくぞ…これ着てろ」


喋り方もちょっときついし、グレンの事もおっちゃんは信じてくれない。グレンもただ事実知ってるから伝えただけで流された事も気にしてないみたいだ。…僕達もまだ事実を噛み締めれてないしね。

おっちゃんがホウカに自分の着てた上着を投げる。

ホウカが上着を羽織るのを見ながら、ふとこれからホウカはどうするんだろうって思った。未確認生物じゃない事は分かったけど、なんで未知なる森に居たのかまでは聞いてなかった。ちょっとさっき話を聞いた感じでは家出?かなぁ…馬車にへばりついてきたって言ってたし。上着と腰巻の間の尻の上?に直径2cm程の紅い綺麗な円形の痣がある。


「ねぇねぇホウカ、その痣怪我?大丈夫?」

「ウホ?」

(ん?別に痛くないが…痣があるのか?自分では見にくいな…)

「痣にしちゃ綺麗な丸だな、産まれ付きなんじゃね?」


僕達が話てるとおっちゃんがおいおい怪我してんのかよと、ホウカを後ろから持ち上げて痣を確認する。そして言った。


「うわっめんどくさっ!」


何が?


「何だよおっさん、その痣病気かなんかなのか?」


グレンが心配そうにおっちゃんに尋ねるが、おっちゃんは渋面だ。僕達は不安になる。何処かで変な虫に刺されててもおかしくないし、説明して欲しいんだけどおっちゃん。


「お前獣人族だろ?冒険者で村に寄ってる奴の子供か?今ん所村人にゃぁ獣人はいねぇからな」

「ウホ」

(我は獣人族だが連れは居ない)

「何言ってんのか分かんねぇよ…」

「おい!おっさん!ホウカはふざけて言ってるんじゃねぇよっ!ちゃんと心では受け答えしてる!」

「まぁそう喚くな、分かってんよ。さっきは人族だと思ってたからおちょくってんのかと思ったが…この痣付きなら話は別だ。あーーー厄介な予感しか俺はしなくなってきたわぁ」

「…おっちゃん獣人族ならなんで厄介なの?ホウカ、此処よりもっと遠くから一人で最近きたんだって」

「なんだ坊主このガキの言ってる事分かんのか?」

「うん…僕は段々分かってきて今は普通に聞こえるよ。グレンもだよね?」

「あぁオレも支障はないな、普通に分かる」

「ウホ」

(我もはじめて理解してくれる者に出会えたからとても驚いてる…あの、なんだあれだな…二人にはとても感謝している、ありがとう)

「え!なんか照れるっ」

「まっまぁオレ達はそこら辺の奴らより、今日1日で仲良くなったしなっ」


グレンがむってしながら頬を赤くして、一緒に照れる。


「…なんでおめぇらが照れてんのかは分かんねぇが、これは驚いたな。だいたい先祖返りを理解するやつはいねぇのに」

「先祖返り?」

「そうだよ、この痣は先祖返りの証だ。獣人族全部に態々こんな印はねぇ。獣人族の先祖返りだけがあるんだよ。しかも先祖返りで血を引くのは絶滅した動物の血なんだ。血が濃く受け継がれすぎて10才まで喋れねぇんだよ理解は普通に出来るんだけどな。獣人族でも2〜3才までそれぞれの鳴き方をしたりもする。同じ動物の血だったら特有の喋り方でも伝わるし、暗号の役割みてぇなもんもするから便利っちゃ便利だか…先祖返りはそれが仇になる。なんせ同じ血は絶滅しちまってるから。だから分かんねぇんだよ親でもな。」


知らなかった…ホウカがウホウホ言うのは獣人族だからって思ってたけど違うんだ。


「でも確かに伝わらないのは厄介かも知れねーけど、オレ達が居れば大丈夫じゃないか?」

「うん、僕達手伝うよ?」

「俺が面倒くさく思ったのはそこじゃねぇよ。貴重な先祖返りは基本産まれたら親が莫大な富と引き換えに他所へ売るか、育児放棄するか、隠すんだよ。どっかの国じゃ問答無用研究の為無理矢理引きとられるな」

「「ひっ」」


やばいやばいっホウカが実験体になっちゃう!グレンと二人で焦りながらホウカを僕達の後ろに隠す。身長高いから余裕でおっちゃんとホウカは目が合ってるけど…


「「………」」


ホウカとおっちゃんが目を合わしたまま黙る。

どうしよう、多分ホウカは先祖返りの事は知らなかったみたいだけど自分の意志で元いた場所を離れたんだ。じゃないと馬車にへばり付かないよね…


「…お前、俺ん所来るか?」

「なっおっさん!ホウカをどうするつもりだよっ!」

「はぁ、さっきからうるせぇガキだな。どうするつもりってそのまんまの意味だよ、戻る所ねぇんなら来るかって聞いてんだよ。ガキがどうやって一人で生きてくんだよ」

「信用できない!ホウカはオレ達でなんとかする!ホウカ屋敷無くなったからここに新しい家建てるぞ、レン手伝え」


おっちゃんがグレンの胸倉を掴んで顔の辺りまで引き上げる。グレンが離せっと言いながら必死に退けようとするがおっちゃんは腹を蹴られても顔を引っ掛けられてもビクともしない。おっちゃんが厳しい顔付でグレンにいう


退けてみろと


僕もグレンに加勢して体当たりをする、ガンガン弁慶の泣き所を狙って蹴るがやっぱりビクともしない


ろろんとりーりはオロオロしてる


泣きそうだ、今日1日僕は何を自分で出来ただろう

迷い子は自分で脱出できないし

りーりの事は誤解しちゃうし

ろろんには頼りっきりだし

最後の魔物だって散々バカにしてた太郎が倒した。


力のない無力なただの5才児だ


息切れしてきた時にホウカが言った


「ウホ」

(もういい二人共。我は…ユールレよりもっと小さい村で親兄弟15人家族で過ごしてきた誰と比べても誰とも似ていなかった。親にもでき損ないの人間みたいな奴だと罵られ続けて兄弟には虐められる毎日。だったら人族の住む所で人のフリをしようと思ったんだ。自分で獣人族の縄張りから出てきたんだ。だから、自分のケツは自分で拭くべきだ。


おっさん殿よろしく頼みます。)


ホウカが不恰好ながら90度にお辞儀して、おっちゃんに頼んだ。


言葉は理解できてないだろうけど、さも面白い物を見たかのようにおっちゃんが極悪非道のようにニヤァと笑う


「力がねぇなら蓄えな、口先ばっかじゃただの無能者だ」


僕は下からのアングルでおっちゃんの猛烈な笑いを見てしまったからちょっとチビってしまった。ギルマスなんて嘘だ、悪人の顔をしている。

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