ポーション議論
「グレン、あの魔法は結果的に成功だったみたいだけど最後光るまではおかしかったよ?」
「うん?本当か?」
「ウーホ」
(5分経過したぐらいから明らか毒毒しい色に変わっていき、光る手前は目も当てられない物になっていた。レンとも話し合ったが…あれは退化してるみたいだった)
「そうなのか?」
「ホウカのコミニケーション力が上がってる…」
「オレも初めて高等魔術したけど、陣は狂ってないし…魔力もギリギリだが枯渇はなし…ん?…あっ、時間を巻き戻す陣じゃなくて、時間を早送りする陣に、そもそも間違えてる!」
「え〜!?グレン!そんな所でうっかりさん出さないでよっ!以外だよっ神経質じゃなかったの!?」
「う、うるさい!成功したんだからいいだろっ…てかオレは神経質ではない!結構3秒ルール守ってりゃ落ちた食いもんでも食える派だ!…でも不思議だな…退化したのになんで最終的にポーションになったんだ?」
「れ〜ん!ただいま〜」
「ろろん!」
「ウホ」
(腹壊さないようにな)
やっぱり魔法は退化だったみたいで、何故ポーションになったかは分らないままろろんが帰ってきた。戦い自体は優勢で基本影の中から攻撃してたから、怪我も見当たらない。相手も逃げ回るばかりで大した事はなかったらしい。僕のあげた魔力が底を尽きかけはじめたろろんがちょっと焦った時相手が逃げて行ってしまったらしい。ろろんに敵わないって思っちゃったのかな?
ふと足元を見ると仔犬のようなろろんが上目遣いで逃しちゃってごめんねとウルっとしてる。
3人で抱きしめる。
(((問題ありません!)))
「ぐ〜がー、腹減った!…むにゃむにゃ」
静かだなと思ってた太郎だったんだけどポーション飲んだ後また寝出したらしい。それはこっちの気持ちだよ!と訴えたくなる寝言を言った。今日は太郎に殺意が湧く。
***
「開かないか…」
あれから太郎を休養させ、ろろんを置いて見張せて僕達は玄関まで来てた。
扉はホウカがいい具合の所を蹴っても開かない。
一週間前ぐらいに未知なる森の奥からこちらに来たらしいホウカは、此処を寝床にしていた。
だから詳しかったんだね。
今まではこんなに頑なな貝になった事はないとのこと。
ウンともスンとも言わない
んーなんでだ?
「レン、ホウカ。魔術の後がある」
グレンが扉のホコリを拭った所に庭にあった模様と似てる物が見える
「ねぇねぇグレン?それに似てるの庭にあったよ、関係ある?」
グレンが扉のホコリを落としてゆく
所々朽ちているけれど、確かに立派な黄金色の線がはしる陣が描かれていた
「これは守りと選別の類いの魔術だな…この屋敷の元住人がかけていた物だと思う」
それって今まで入ってたホウカと太郎は大丈夫だったから、僕かグレンがダメだったんじゃ…はっ!違う!最後に入ったの僕だっ!僕が悪いんですかっ!
「ん?最後に入ったのお前じゃね?」
「え?そうだったかなー実はグレンの服の端がなびいてたりして最後の最後はグレンだったんじゃない?」
「…風は吹いてなかったし、着てるのはオレだか服は服だ。オレではない」
くっ…。確かに。魔術に詳しいグレンが警察に見える…僕の何がいけなかったんだよ!自惚れ屋な所ですか?!欲に忠実な所ですか?!だったら太郎の時点で弾けよっあいつ歩くトラブルメーカーなんですよ?!
…いや待てよ?
魔術の事は分らないけどテイマーの事なら分かる。
首が熱くなった気がした
よく考えると守りと選別が敵に向けてなら、入ってから閉まるのはそもそも守った事になるのか?ならないでしょ…
勘違いしてたのかも…
僕の勘がテイマー関係では?と騒めく
そうだ、ホウカという未生物に会って忘れていたけどもう1体いたじゃないか!ろろんの様な子が!
太郎と逸れた原因になった黒い液体の様な魔物が!やっぱりここら辺でポンポン知らない魔物なんて出てこないよっ!
どうしよう…
僕は何てことを…
あぁ〜ごめんよっ!僕の読み通りだったとしたら、泣きそうになるよ!初めての森で翻弄されていたんだっ言い訳だけど!許してっ!
「「ウホ?うわっレン何処に行くんだっ!」」
「いいからついてきてっ!」
説明してる暇はない
何処?どこにいるのー?!
ごめんよ、
怖かったよね寂しかったよね
ろろんと太郎に傷つけられてない?
太郎は別だけど、ろろんは悪くないんだ
僕を守ろうとしてただけなんだよ
いつから一人だったの何を助けて欲しいの?
気付いてあげれなくてごめん
僕が、ぼくがもう一人にしない
君を助ける
屋敷中を走り回り
部屋中を二人にも探してもらい
ひとつの地下へと続く階段を見つけた
「レン、真っ暗だぞ。本当に降りるのか?」
「行く。絶対行く。」
(………)
「はぁ…分かったよ。ホウカも行くか?どうする?」
「ウホ」
(付いて行こう)
3人でゆっくり足元を注意しながら降りてゆく
カンカンカン…
5分ぐらい降り続けたら10畳ぐらいの空間に辿りついた。少し燃える松明の灯りから肩を落として棺を眺める何処か寂しそうな、液体の魔物が居た
駆ける、
何年
何十年
いや下手したら何百年も
一人残されてしまったオリジナルモンスターの元へ、一秒もこれ以上は一人にしたくなくて、飛び付いた。
「ごめん〜ひっくごめんよー!うぅ…もう一人にしないっ!!ウワァ〜っ!」
液体モンスターからの、仲間にしてくれとのメッセージを受け入れた瞬間だった…ずっと送るか悩んでいたらしい
僕の使徒モンスターになった事でりーりの能力、思いが溢れでてきて
また号泣した
「ひっく…ズズっ…もう大丈夫です」
「おう」
落ち着いた所で(僕の気持ちが)
訳も分からず付いて来てくれた二人に、オリジナルモンスターについて説明をする
まずオリジナルモンスターなんてポンポン産まれない。最低条件が“絡み合う蔦”持ちだ。絡み合う蔦とは一つの箇所に3本能力線が刻まれている様子だ。一線は真っ直ぐに後の二線がうねりながらはじめの一線に絡んでいる。何処か他の箇所に浮気しようものなら、永遠に絡み合う蔦持ちになる事はない。
一線だけを動かぬ運命の道筋
二線同じ箇所は、交差した和
三線同じ箇所を、絡み合う蔦
違う部位に一線ずつ持つものは、神の休線
動かぬ運命の道筋と交差した和持ちなどを別の定義で表したりもする。
線持ちにもランク付けがある
格付けで絡み合う蔦持ちは第3級、動かぬ運命の道筋と交差した和持ちは第4級、神の休線持ちは第5級。
だが本人の基本能力(魔力量、基礎身体能力、種族の元々の特性など)で「あいつは第5級だが、能力は第4級に引けをとらねぇ」と級が必ずしも強さの序列を表している訳ではない。どういう線持ちなのか分ける為に格付けされている。一線だけしか何処の箇所を足してもない者に級は貰えない。高みへの階段を上がって行く者にだけ与えられるのが級だ。って2年前調べた。太郎がバカするから。
動かぬ〜とかやたら難しい呼びかたをはじめたのは、大昔のどこか神を讃える人達だったらしい。
国々が出来はじめ色々な組織で能力の振り分けがスムーズになるように級を作ったそうな。
能力線は神が与えたものだという神話もあるがこの際省きます。結果的に能力のルールが分かれば僕は始まりとか終わりとかはどうでもいいです。
第3級だ。最低条件が第3級。それでもオリジナルモンスターを産み出す条件には不十分だろう。
はーい!他に何がいるんですかー?
意欲がありますね、勉強熱心なのはいい事です。他にはですね…
解明されてません。
理由はまず中々第3級までいく人は多くなくて、スタート地点に立つ人すらそう居ない事。
生贄ですか?世界に散らばる綺麗な宝石ですか?はたまた本人の血肉が対価ですか?本人の魔力量、精神力、モンスターへの愛、恐怖支配、etc
可能性に溢れてて正解もなく、その能力に目覚める事なく死んでいく事だってざらじゃない。
テイマー系第3級から授かれるオリジナルモンスターは未知だ。
ただ、オリジナルモンスターは主人が亡くなると消える。一つの要因は自分の元となる魔力元がこの世から無くなるので衰弱死が原因だと推測されている。
リーリの様な生き残るオリジナルモンスターも時々いるが姿をくらますので発見されにくい。
研究も進まない。
総じて優秀な場合が多いので余計未知が広がるばかり。
唯一無二の魔物
だからリーリの元主人は結界を貼り邪な輩がリーリを捉え自由を奪う事を防ごうとしたのだろう
それがこの屋敷の回りの不自然なぴっちりした長方形の敷地や扉などだ
誰かが馬鹿力で扉を開け、リーリを亡き主人の亡骸眠る棺から目覚めさせた
この屋敷はしっかり者のか弱き元主人と孤独を嫌うリーリの防波堤だった。この屋敷でいつか、いつか寂しがり屋なリーリを託せる人が現れるまでと願って作ったものだった
余命いくばかの元主人が、一人この世を彷徨うのが怖いと訴える自分の子への最後のプレゼントだった
オリジナルモンスターゆえに同族がいない
帰る所はなかったのだ
馬鹿力で開けたホウカが邪な輩ではなかったので、庭の転移魔法陣からこの未知なる森の奥から魔物が転移される事はなかった
リーリは屋敷の角からそっとホウカを見ながらあれは獣人なので身体主義者の証がもう刻まれているだろうと、新しい主人になるには無理そうだとがっかりしてしまった。一人が嫌で眠って居たのに、扉を開けて入ってきたホウカの所為で起きてしまった…扉は壊されてはいないが、並大抵の力じゃ開かないのにと泣きそうになった。どうしようこのままじゃ一人だ、勇気を出して探そうと決意し森に出た今日テイマーを見つけた。しかも自分と同じオリジナルモンスターを従えている。どうしよう、自分は出来損ないのオリジナルモンスターだ。喋れない。お手紙送るみたいに超音波を送ればいいのかな?よしおくって/「お前何者だー!オレの縄張りで何してやがるー!」
以下略
なんとか太郎を落下から和らげ着地したが、あの崖から落ちるのは並大抵の事では済ませれなかった。しかも自分は起きたばかり、元々強くないのに無理があった。
焦った。
少し奥の森を進むと、屋敷の庭に繋がる転移陣があった筈だ。この子の手当てをっ!
そして僕達がやってきて、ポーションが腐っている事に余計気が動転していたリーリは危機迫る思いで僕にタックルしそうになったそうだ。
「以上大まか説明終了」
「……色々大事な要件はあったりしたが、例で言えばホウカが人間だった事とか…。けど感想で言えば、お前の兄貴が台風の目だった気がする」
「うん。……今すぐ太郎を問いただしたいけど、先にやらなきゃいけない事があるんだグレン、ホウカ。」
(なんだ?)
「森を抜け出す事か?確かにもうすぐ日が暮れるな…けどお前の兄貴がいれば帰れるだろう一安心だ。」
「リーリを不要に攻撃した所為で転移魔法陣が作動します。」
「「ウホ?え?」」
「元主人とリーリの防波堤の役割をしていたこの守りの術はリーリが僕の使徒になったからもう崩れる筈なんだけど、攻撃したのがその前なので転移は発動します。ていうか太郎が襲いかかった時点で発動していたものをリーリが必死に止めてました。ですがリーリの力では後15分が限界です。」
「え?リーリ魔力切れか?オリジナルモンスターだから町に大人呼びに行くまでお前が魔力上げたらいいんじゃね?もうレン魔力ないのか?」
「まだ半分あります。ですがリーリは通常主人から魔力を貰うオリジナルモンスターと違い特殊ケースで、ヴァンパイアの元主人らしく血で回復したり成長したりします。良い点は魔力切れという概念が突破割れている事悪い点はゆっくりと踏みしめながら毎日数滴ずつしか成長しない事です。過剰摂取無理。リーリは勤勉なので努力を怠りませんが、どんなに頑張ってもゆっくりとしか強くなりません。すごくいじらしく可愛い良い子です。」
(……絶句)
「……どうするんだ、オレポーション復元で魔力もうないぞ」
「太郎が落ちた崖下の森から魔物が転移してくるらしい。ここら辺がダルス付きとかのランクEだとすると、10倍程の強さDランクがくるらしい」
「ウホ」
(我は未知なる森の奥から来たと言ったが、本当は未知なる森より遥か向こうから馬車の上にへばり付きこの手前の森辺りに入ってきたんだ。だから10倍と言われても勝てるか分からないが……獣人族は獣人族だ、人間より丈夫だ二人は太郎殿と一緒に村へ行き応援を呼んでこい。それまでくい止める。我が二人を守る)
「「ばかやろう」」
「それじゃ意味ないよ、バカは太郎だけで充分だよ」
「そういえば、ポーション復元してから時間経ってたな。魔力回復してるわ。」
「「よし、皆で戦うぞ来いホウカ!」」
(………。)
「時間がねぇ!走るぞっ」
「まずは太郎叩き起こそう!あとグレン!さっきから復元復元言ってるけどあれ退化だから!」
「うるせぇ!終わり良ければすべて良しなんだよ!つーかっお前が一番今重要な事さっさっと言わねぇからこうなるんだよっ!」
「だって!結果の前に順序があるじゃんっ内容知らないのと知った結果ってなんか違くない?」
「ウホ!」
(急ごう!)
「「うん!おう!」」
太郎の元まで僕達は駆けた___
転移魔法陣作動まで後10分